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男性の育児休業を推進している企業の取り組み実例を紹介

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育児に積極的な「イクメン」が増えたといいますが、令和元年度の男性の育児休業取得率は7.48%です。

育休を取る必要がないと考えている男性社員もいますが、職場に前例がなくて取りたいのに取れない人も少なくありません。

しかし、近年は男性の育児休業を積極的に推進している企業も増えています。中には会社のトップが自ら育休を取得し、男性従業員が育休制度を利用しやすい環境を作り出している企業もあります。

男性が育休を取得しやすくなれば、社員がワークライフバランスを実現できるだけでなく、企業にもメリットがあるでしょう。

今回は、男性の育児休業を推進している企業の取り組み実例をご紹介します。

育児・介護休業法の改正が成立し、今後は男性社員も育休を取得しやすくなるとともに、企業には対象の男性社員に対して育休の意向確認が義務化されます。職場環境の改善のため、男性の育児休業推進に成功している企業の実例をぜひ参考にしてください。

イクメン企業アワードとは

男性も子育てしやすい社会の実現に向けて「パパ・ママ育休プラス」制度などの導入をはじめとした新制度が2010年6月30日に施行されました。このような制度見直しと合わせて、厚生労働省が2010年6月に「イクメンプロジェクト」を発足。

イクメンプロジェクトでは、男性の育児と仕事の両立を積極的に推進する企業を「イクメン推進企業」と表彰しています。

2013年に初の「イクメン企業アワード2013」が決定し、初代グランプリには花王株式会社と医療法人社団三成会が選出されました。

以後、毎年イクメン企業アワードでは、男性の育児と仕事の両立を促進するため、業務改善がおこなわれているイクメン推進企業が表彰されています。

イクメン企業アワードでグランプリを受賞した企業の取り組みについて見ていきましょう。

株式会社技研製作所の取り組み

高知県の株式会社技研製作所は、「イクメン企業アワード2020」でグランプリを受賞しています。男性育休取得を促進したことで、在籍男性社員の育休取得率は0%(2008年〜2018年度)から30%(2019年度)に上昇。また、2019年度の平均取得日数は110.2日だそうです。

技研製作所では、女性主体の社内プロジェクトチームが「男性育休取得推進」を掲げて、男性が育休を取得しやすい職場の雰囲気づくりをサポートしています。

育休取得対象者とその上司に対し、プロジェクトチームのメンバーや人事課員が説明会を実施。育休推進のプロジェクトマネージャーである女性役員が、育休取得を自ら後押しすることで、社員の意識改革をおこなっています。

また、仕事と育児を両立するためにノー残業デーの設定や定時退社を促進。全社でQCサークル活動を展開し、業務の改善や効率化を図って生産性を高めることに取り組んでいます。

その結果、業務の属人化を排除し、時間を効率的に使う意識を高めています。

社内全体の意識改善と誰が抜けても対応できるように仕事の進め方を見直すことで、仕事と家庭を両立させようという職場風土が醸成されました。

このような取り組みにより、新卒採用の応募者数も増加し、人材確保への好影響も出ているということです。

積水ハウス株式会社の取り組み

大阪府の積水ハウス株式会社も「イクメン企業アワード2020」でグランプリを受賞しています。

「キッズ・ファースト企業」として、子育てを応援する社会を先導する積水ハウスでは、男性の育児休業取得率100%を実現しています。9月19日を「育休を考える日」として記念日制定し、2019年より「イクメンフォーラム」を開催して社長自らが旗振り役となり、メッセージを発信。

また、男性が育休取得することをよりよい社会づくりのきっかけにしたいという思いから、2019年より企業で働く男性の育休取得実態を調査し「イクメン白書」を発表しています。

積水ハウスでは、2018年9月より「イクメン休業」制度の運用を開始。3歳未満の子どもを持つ全ての男性社員を対象とし、1ヵ月以上の育児休業(イクメン休業)完全取得を目指しています。

最初の1ヵ月は有給とし、最大で4分割での取得を可能としているため、経済的な理由で育休を取得しにくいと感じている人も取りやすく、家庭の事情や業務と調整しながら育休を取得しやすい環境が整えられています。

また、休業取得の3ヵ月前までには家族で育休取得時期や家事・育児の役割分担について話し合い、2ヵ月前までには業務の引き継ぎなどについて上長と面談、1ヵ月前までに「イクメン休業」取得計画書を提出することで、休業の事前準備をしっかりおこなう「イクメン3-2-1Action」という取り組みがなされています。

2019年2月以降、イクメン休業の取得期限を迎えた男性従業員は取得率100%を実現しています。また、職場や家庭でのコミュニケーションが活性化し、「お互い様」という助け合いの風土も醸成。イクメン休業の取り組みにより、社外からの評価が向上し、就活生からも好印象を持たれています。

株式会社サカタ製作所の取り組み

新潟県長岡市の株式会社サカタ製作所は従業員数が約150人の中小企業で7割が男性ですが、2018年に「イクメン企業アワード2018 両立支援部門」でグランプリを受賞しています。

サカタ製作所では、まず勤務時間内で成果が出せる人を評価すると全社集会で宣言し、残業ゼロを目指しました。また、部下の男性従業員に子どもが生まれた場合、その従業員の育休取得の有無が上長の評価基準につながることを明言。

育休取得前には本人、上司、役員が話し合いの場を持ち、休業スケジュールや休業中の給与シミュレーションを提示することで、従業員の不安を取り除く取り組みがされています。

また、「有給は1時間単位で使える」「育児短時間勤務の対象年齢を引き上げて小学4年生未満まで認める」など、小さな子どもがいる従業員も働きやすい環境が整えられています。

有給が1時間単位で使えることによって、職場を離れる時間を最小限に抑えられるため、社員は周りに遠慮なく有給を取れるようになったとのことです。

サカタ製作所では、男性従業員の育休取得を推奨したことで、2018年の取得率は100%を実現。自社で実施したアンケートによると、従業員満足度は95%を超えています。

男性育休取得100%に取り組む企業が増えている

2006年の創業以来、他業界・他業種900社以上の働き方改革に携わってきた株式会社ワーク・ライフバランスは、男性の育児休業取得率100%に向けて具体的な対策をおこなっている企業の経営者が宣言・発信する特設ページを開設。

すでに100社以上の企業が宣言していて、これまでの取り組みや育児休業取得状況などが閲覧できるようになっています。

近年は、多くの企業が仕事と育児の両立を目指し、社内の意識や風土を変える取り組みがなされています。

育児・介護休業法も改正され、男性が育休を取得しやすい制度が整ってきましたので、育休取得を希望する男性社員が誰でも取得できるような取り組みが求められています。

まとめ

これまでは「自分が抜けたら迷惑をかけるから」という責任感から、育休を取得できない男性社員が多かったことでしょう。

しかし、法が改正され、男性が自分から申し出なくても企業から男性社員に取得の意向を確認することが義務化されます。

「男が育休なんて」という時代ではなくなりましたので、新しい価値観で男性も女性も関係なく育休が取得できるように社内の風土や仕事の進め方を改善していく必要があります。

男性従業員が育休を取得すると人手が減るためネガティブにとらえる方もいらっしゃるでしょうが、業務の見える化や情報の共有化が進み、残業が減るなどのメリットもあります。

また、従業員を大切にする企業というメッセージになり、社員の帰属意識を高め、対外的には企業イメージのアップにつながります。

よりよい人材の確保につながったという企業もあるため、男性の育休推進は企業にとっても好ましい影響が多いのです。

男性が育休を取得しやすい職場づくりをすることで、社員にとっても社外の方にとっても魅力的な企業となるでしょう。

著者:早瀬 加奈子

会社員時代は、楽器小売業の会社で10年以上経理に携わっていました。
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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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