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コロナ禍における新卒採用にどう臨むか

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こんにちは!栗原誠一郎です。

2021年3月卒の採用計画の調査状況

5月25日に新型コロナウィルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が解除されましたが、日本経済だけでなく世界経済全体に大きな影響を与えました。そのような中、2021年3月卒の新卒採用はどうなるのでしょうか?現時点で公表されている各種調査結果をまずは確認してみましょう。

感染問題の深刻化前

毎年、日本経済新聞社は翌年3月卒の新卒採用計画に関する調査を行っています。今年も3月末に1次集計結果(集計企業数1,281社)を公表しました。

その内容は、大卒採用予定人数の20年春採用実績見込み比で4.2%増と前年の7.5%増から増加率は減少したものの、理工系卒を中心に採用予定人数は引き続き増加という結果でした。

しかし、この集計結果は3月4日までの集計が対象で、まだ世の中に楽観ムードが残っていた時期でした。

日経新聞は毎年4月末には最終集計を公表しているのですが、今年はまだ公表されていません。1次集計後の状況変化を受け、集計が遅れているのでしょう。

感染問題深刻化後(大手企業)

一方、日経新聞程は調査対象企業数が多くないものの、4月20日に読売新聞が主要企業100社、5月17日に毎日新聞が111社を対象とした採用計画に関する調査結果を公表しました。

読売新聞の調査では20年春入社より減らすと回答した企業の比率が29%、毎日新聞の調査では26%という結果でした。(大卒に限らず新卒全体の採用数)

採用人数自体が多い企業で採用予定人数を減らしている企業としては、
イオングループ:20年度2600人→21年度2200人
セブン&アイ・ホールディングス:751人→635人
JR東日本:1366人→940人 ※大卒に限らず新卒全体の採用数
三井住友銀行:622人→530人
東京海上日動火災保険:621人→570人
(詳細は毎日新聞の図表を参照)

もちろん、ほぼ前年同様の採用を予定している企業も多いことがわかりますが、5月の時点で、採用予定人数を、まだ「未定」としている企業も111社中27社もあります。

そもそも新型コロナウィルス感染症拡大の問題は採用活動自体の停滞にもつながっていますから、「何人欲しいか」以前の問題もありますね。

感染問題深刻化後(中堅中小企業)

上述した採用計画は大手企業が中心でしたが、中堅中小企業はどうでしょうか?
東京商工会議所が4月末から5月上旬にかけて行った調査結果によれば、当初計画通りに採用する企業が66%、当初計画より抑えて採用する企業が11%、当初計画より拡大採用する企業が2%、現時点では未定と回答した企業が22%という結果でした。

今後の予想とあるべきスタンス

2019年のリーマンショックの際は、2019年3月卒まで大卒求人倍率は2.14だったものが、翌年には1.62にまで急落しました。(リクルートワークス大卒求人倍率調査

大卒求人総数が前年比23.5%減(民間企業就職希望者数は0.9%増)になったことが大きく響きました。

今回の新型コロナウィルス感染症拡大の経済への影響はリーマンショック以上と想定されていますが、仮にリーマンショック時と同程度に求人総数が減少したとするとどうなるでしょうか?

前述したリクルートワークスの直近調査によれば2020年3月卒の大卒求人倍率が1.83でしたが、これに対して2021年卒は1.4程度にまで下がることになります。

2015年3月卒以降大卒求人場率は1.6を超えていましたから、それ以前の状況にまで売手市場は緩和されることになります。

この記事を読んでいただいている皆さんの会社でも、採用予定人数の抑制を考えていることもあるでしょう。
もちろん、新型コロナウィルス感染症拡大により赤字が想定されている企業であれば、採用人数の抑制は致し方ない選択だと思います。

しかし、そうでないならば、単に先行きが不透明だからといって採用を抑制すべきではないでしょう。そもそも日本企業における新卒採用は長期的な視点(事業構想、人員構成)に基づいて行うものであり、目先の景気の良し悪しで増やしたり減らしたりすべきものではありません。

逆に大手企業を中心に採用減になる状況をチャンスととらえ、採用活動にしっかり取り組み、採用者の質の向上を図る。こうした姿勢が必要でしょう。

さて、あなたの会社はどういうスタンスで新卒採用に望みますか?

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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