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世界経済概観(2020年第1四半期)

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こんにちは!栗原誠一郎です。

主要国の第1四半期GDP成長率

現在、世界の名目GDPの上位3位は、米国(約25%)、中国(約17%)、日本(約6%)で、この3カ国で世界のGDPの約半分を構成しています。その各国の第1四半期実質GDP成長率が発表されました。結果は下表のとおり新型コロナ・ウィルスの影響を受け、軒並み前期比でマイナス成長となりました。

それでは主要各国の状況の詳細を見ていきたいと思います。

米国

米国の直近のGDP成長率の推移と各需要項目の寄与度は以下のグラフのようになっています。(成長率は前期比年率表示;前期からの変化が4期(年間)を通じて生じた場合の成長率)

米国経済を支えるのはGDPの構成比で約7割をしめる個人消費で、この個人消費が大幅に低下しているのことが大きく影響していることが良く分かります。

個人消費の構成は、下表で示しているように財が約3割、サービスが約7割を占めており、この第一四半期の内訳を見ていくと、特にヘルスケアと飲食・宿泊サービスの消費が個人消費の低下に寄与していることが分かります。

こうした結果は新型コロナ・ウィルスの感染拡大を受けた外出禁止措置などの影響によるものですが、この第一四半期には都市封鎖が実施されてから2週間程度の影響しか含まれていません。

実際に自動車ディーラー、ガソリンスタンド、レストランを含む小売売上高の月次推移をみると、本格的な悪化は4月からであることが分かります。

また失業率も4月に急増していますから、外出禁止だけでなく、第2四半期は失業による消費減の影響も大きくなるでしょう。

中国

次に中国です。中国の名目GDPで一番大きい要素は資本形成(=投資)で全体の約45%占めています。次に大きい要素が個人消費で全体の約39%を占めます。

中国は米国の様にGDPの詳細データはオープンにされていません。したがって、個別の月次統計を見て状況を判断していく必要があります。

下表の月次データを見ると、GDPの資本形成につながる指標である固定資産投資は1・2月に急速に悪化、その後も前年累計対比でマイナスのままで推移していますが、下げ率を縮小していっています。

また、同様に個人消費につながる指標である小売総額(実質)も1・2月に急速に悪化、その後徐々に下げ幅を縮小しています。

下げ幅を縮小しているとは言え、4月の各指標も対前年でマイナス幅はまだ大きく、第2四半期も昨年までのような成長は期待できないでしょう。

日本

最後に日本です。日本の直近のGDP成長率の推移と各需要項目の寄与度は以下のグラフのようになっています。

米国経済同様、日本経済を支えるのはGDPの構成比で約55%をしめる個人消費です。個人消費は第1四半期においてマイナス成長にはなっているものの、2019年第4四半期と比べ下げ幅を縮小しています。

2019年第4四半期は消費税増税により個人消費が大幅に縮小しました。緊急事態宣言が出されたのは4月7日ですから、第1四半期のマイナスは消費税増税の影響の方が強く、新型コロナ・ウィルスの影響で個人消費が本格的に落ち込むのは4月以降ということになります。実際に月次の消費関連統計からも見てとれます。

もちろん、中国の生産拠点停止や出入国規制に伴い、前期(19Q4)に比べて、輸出・輸入ともに減少していることは、新型コロナ・ウィルスの影響と言えるでしょう。

日本もついに5月25日に緊急事態宣言が全面的に解除され、海外同様経済活動が再稼働し始めることになりますが、感染第二波に対する警戒が続く以上、すぐに成長軌道に戻ることはないでしょう。

予測不可能な1年?

今、中国では全国人民代表会議が行われていますが、毎回発表されていた経済成長目標の発表は見送られました。
また企業においても今後の業績予想を見送るケースが続出しています。

さぁ、実際はどのように経済は進んでいくでしょうか、さて、あなたはどう思いますか?

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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