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人材育成を100年企業に習う|時代を超えて実力を維持する方法

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「この会社は100年以上の歴史があるのか…」

取引先との打ち合わせで、ふと社史に目を留めてそう思ったことはありませんか?

明治・大正時代から続く老舗旅館、江戸時代から続く和菓子店、そして戦後から高度成長期を経て、今もなお業界の最前線で活躍し続けるメーカー。時代が目まぐるしく変化していく現代において、創業から100年以上続く企業は決して多くはありません。

では、変化の波に飲まれることなく生き残り続けられる秘訣とは何なのでしょうか。

その答えは、「人」への投資です。

長寿企業の経営者が抱える「不変の価値観」と「変化への対応」という課題をクリアするためのカギは、まさに人材育成。本記事では、100年企業に共通する人材育成の特徴や具体的な取り組みを、実際の事例を交えながら深掘りします。

長寿企業が「人材育成」に成功している3つの理由

多くの100年企業が人材育成に成功しているのには、明確な理由があります。ここでは、特に重要な3つのポイントについて詳しく見ていきましょう。

社員の定着率が高いから

100年企業は、社員が長く働ける「居心地の良い職場」作りを常に重視しています。

社員が頻繁に入れ替わると、企業に蓄積されたノウハウや技術、文化が継承されることなく途切れてしまうことを危惧しているからです。情報はもちろん、技術やノウハウ・文化は一朝一夕には作り上げられません。であれば、社員自ら「ほかの企業ではなく、この企業で働きたい」と思ってもらうことが非常に大切なのです。

そして社員に長く働きたいと思わせるには、居心地の良い職場が不可欠。社員が安心して長く働ける環境作りに注力するからこそ、ベテラン社員が若手に知識を伝え次の時代を担う人材が育つのです。

企業理念が浸透しているから

100年企業は、創業者の想いや哲学を大切にし、企業理念を社員全員で共有しています。時代が変わっても、企業理念という共通の羅針盤があるため、社員は進むべき方向を見失うことがありません。

重要なプレゼンの場面ではもちろん、日常業務のちょっとした選択を迫られる際にも、必要以上に迷うことなく社員個人が企業に沿った選択肢を選べるようになるのです。企業理念が社員全員の行動指針となることで、組織全体の一体感も生まれてくるでしょう。

社員の成長を長期的な視点で捉えているから

100年企業は、短期的な成果だけでなく、社員の長期的な成長を重視している点も特徴的です。

「新卒に一から教える必要があることはもちろん、幹部候補を育てるとなれば数十年かかる」と、当たり前のように考えているため、企業全体が目先の利益にとらわれないのです。

ここで大切なポイントとなるのは「企業全体が目先の利益にとらわれない」という点。経営陣や幹部、上司が長期的な視野を持つことは、昨今の人材育成では当たり前のことだと感じます。しかし、この視野を一般の社員も持てるかといえば難しいですよね。100年企業では、連綿と培ってきた人材育成の基礎ができているため、育てられてきた一般社員も「育成には時間がかかる」 と自分事として知っています。

この全体的な長期視点があるからこそ、じっくりと人材を育てるための投資・環境ができるのです。

100年企業に学ぶ人材育成の事例

ここでは、実際に100年以上続く企業がどのような人材育成を行っているのか、具体的な事例を紹介します。

三越伊勢丹ホールディングス:社員のライフステージに寄り添う

創業180年を超える老舗百貨店の三越伊勢丹は、社員のライフステージに合わせた働き方を整備することで、高い定着率を維持しています。

少子高齢化が進む現代において、女性社員の活躍は企業の成長に不可欠です。三越伊勢丹は、育児休業制度の取得を奨励するだけでなく、育児中の社員が安心してキャリアを継続できるような短時間勤務制度や、フレックスタイム制度を導入しました。

これにより、出産・育児で一度退職した社員が復職するケースも多く、ベテラン社員が持つ高い専門性や接客ノウハウを失うことなく次世代に継承できています。

住友グループ:創業精神の浸透

創業300年を超える住友グループは、創業者の精神を大切にすることで、組織の一体感を保っています。住友グループの事業精神は「自利利他公私一如(じりりたこうしいちにょ)」。これは「自分や自社の利益だけでなく、社会全体の利益も追求する」という考え方で、グループの各社に深く浸透しています。この理念が社員の行動指針となることで、組織全体の一体感が生まれているのです。

新入社員研修では、座学だけでなく、住友グループの歴史や創業者の想いを学ぶ機会を設けられています。また、各事業会社でも、部門のミッションを創業精神と結びつけて共有することで、社員は自分が何のために働いているのかを理解し、使命感を持って業務に取り組むことができるのです。

資生堂:長期的な視点でのキャリア育成

100年以上の歴史を持つ大手化粧品メーカーの資生堂は、短期的な成果にこだわらない長期的なキャリア育成に力を入れています。

資生堂は、新入社員に対して「まず3年間は基礎を学ぶ期間」という考え方を徹底。入社後すぐに専門職に就かせるのではなく、幅広い部署でのジョブローテーションを経験させ、長期的な視点で社員の適性を見極めているのです。これにより、社員は多様なスキルを身につけ、将来的にリーダーシップを発揮できる人材へと成長するのでしょう。

100年企業になるための具体的な人材育成方法

ここからは、自社が100年企業になるために、明日からでも実践できる具体的な人材育成方法を3つのステップで紹介します。

1. 従業員のモチベーションを維持する仕組みづくり

社員がモチベーション高く働き続けるためには、働きやすい環境と明確な目標が必要です。

第一に行うべきは、キャリアプランを明確化し、働きやすい環境を整えることだといえます。定期的な面談やスキルマップを通じて個人の成長を可視化することで、「この会社で働き続ければ、こんなキャリアが描ける」という希望を持てるようになるでしょう。 また、柔軟な勤務制度や休暇取得の推奨、育児・介護と仕事を両立できる制度を整えることは、優秀な人材を確保し、離職率を低下させ、生産性を向上させることにもつながります。

2. 時代に合わせたスキルを身につけさせる仕組みづくり

目まぐるしい変化を伴う時代を生き抜くには、社員が常に新しいスキルを学び続ける必要があります。

従業員の成長を加速させるためには、継続的な学びの機会を提供し、実践と理論の両面からスキルアップを支援することが重要です。外部セミナー参加や資格取得を奨励する制度を導入することで、常に最新の知識を身につけられる環境を整えられます。また、先輩社員による実践的な指導(OJT)と、社内勉強会や外部研修(Off-JT)を組み合わせることで、知識を実務に昇華することができるでしょう。

3. 次世代のリーダーを育成する仕組みづくり

企業の未来を担う次世代のリーダーを、計画的に育てていくことが重要です。

企業の持続的成長のためには、次世代のリーダーを計画的に育成することが不可欠です。次期経営幹部を早期から発掘・育成するリーダーシップ開発プログラムを導入し、若手社員に経営層との対話機会やグローバルな経験を積ませることで、幹部候補を育てることができます。

また、年齢に関わらず若手社員に責任ある仕事を任せる「権限委譲」を進めることも重要です。小さなプロジェクトでもリーダーを経験させ、失敗を恐れずに挑戦できる文化を醸成しましょう。これによって、自律性や判断力を養い、将来のリーダーとして大きく成長する機会を与えられます。

まとめ

100年企業が成功し続けている理由はひどくシンプルだと解説してきました。

結局のところ「人」という財産に、時間と労力を惜しみなく投資することこそが最も重要なのです。ただ、理屈が分かっていても、時間のかかる人材育成に際限なくコストをかけられないことも事実です。人材を育てたいけれど、業務で人手を回せない。人材をしっかり育てられないために、退職・求人募集の悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。特に中小企業においては、上記の課題は深刻なはずです。

この悪循環を断ち切るには、無理に社内だけで回そうとするのではなく、潔く外部サービスを活用する方法がおすすめです。自社にとって一番良い人材育成の方法は何か、手探りをしながら進めて行きましょう。

もし、自社の人材育成について悩みや不安を抱えているのであれば、ぜひ一度弊社にご相談ください。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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