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職業・職種別のアンガーマネジメント活用例

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アンガーマネジメントの導入は数多くのメリットを生み出します。

職場やオフィスの活気や士気も高まる可能性があり、さまざまな業界や企業で導入するところが増えています。

今回はアンガーマネジメントの導入がポジション別でどのようなメリットをもたらすのか。

また職種別でどのように活きるのか具体例をご紹介します。

アンガーマネジメントを学んだ上司のメリット

アンガーマネジメント研修で怒りをコントロールできる社員が増えると、スムーズなコミュニケーションが生まれやすくなります。

トラブル回避にも有効です。

例えば部下をまとめる立場である上司や管理職ならば、オフィス内の雰囲気を整え働きやすい環境づくりが進み、最終的に部署やプロジェクトチームの生産性向上にも繋がっていきます。

特に魅力的なメリットが2つ。

働きやすい環境を整えられる

同じ部署に所属している、同じプロジェクトメンバーだとしても一人ひとり価値観は異なり、考え方も違います。

誰一人として全く同じものをもっているわけではありませんし、それが普通ですね。

ただ、上司という立場で働いている人は、その千差万別の考え方や価値観をうまくまとめる能力が求められます。

自身がイライラして衝動的な怒りを抑えられないようでは、まとまるものもまとまりません。

怒りをコントロールできないまま独断で方向性を決定するなど、誰のためにもならないでしょう。

上司と言う肩書ゆえの苦労ですが、アンガーマネジメントで学ぶ「許容範囲を広げる」というスキルならば、意見をまとめなければならない立場のイライラを抑えることは可能です。

許容範囲を広げるということは、会議や打ち合わせでありとあらゆる意見が出る場面で

「ここまでは認められる」
「このラインまでなら許せる」

という線引きの範囲が広がることを意味します。

線引きの範囲が広がると、自分とは合わない意見や提案が出てもイライラする頻度は下がるでしょう。

多種多様なアイデアを柔軟に取り扱えるようにもなり、プロジェクトや企画も内容の幅が広がると期待できます。

上司といえども人間なので、自分が許容できない意見にイライラするのは当然です。

しかし、自身の許容範囲が広がれば受け入れられることも増え、受け入れられない意見が出た場合でもさらなる有効活用の手段や柔軟な対応が可能となり、部下にとってもストレスを抱えるシーンが激減し働きやすい環境へと近づきます。

部下やメンバーにとって、率直な意見やふと沸いたアイデアをストレートに提案しても怒られない環境が整えられると、一人ひとりがのびのびと発言できるようになります。

意見を出すたび怒られて、部下やメンバーが委縮する会議で柔軟な発想が生まれるとはいいがたいですよね

上司が怒りをコントロールし、広い許容範囲で意見を受け止めてくれる会議のほうが楽しく積極的に参加できます。

怒るのではなく妥協点を探る、条件付きで検討するなどの柔軟な対応は社員の心に余裕をもたせ、会議や打ち合わせの雰囲気にも余裕が生れるでしょう。

これは社員のモチベーションを高めることにもつながるので、やがては会社全体の生産性や利益にも良い影響をもたらすでしょう。

パワハラと正しい叱責の区別が明確になる

部下をまとめなければならない管理職の立場にいる人は、叱責と怒りを混同してはいけません。

叱責とは部下やメンバーを正しい方向へ導くためのもので、感情的な怒りをあらわすのはただのパワハラになってしまいます。

衝動的に感情のまま怒りをあらわにする上司では、信頼関係の構築は難しいでしょう。

また、正しい叱責ではなくパワハラにもなりかねず、コミュニケーションや業務に支障をきたす可能性もでてきます。

近年はニュースやSNSでパワハラが取り上げられることが増え、企業としても社内でパワハラが起きるのは避けたいところ。

そこで注目されているのがアンガーマネジメントです。

アンガーマネジメントには「6秒我慢する」という基本スキルがあります。

これは衝動的な怒りをコントロールする考え方で、感情的な怒りのパワハラを抑制する効果も期待できることから、社内全体で積極的に習得したいスキルと言えるでしょう。

また、アンガーマネジメントでは「相手の状況を理解する」や「できないことを受け止める」といった考え方も学びます。

冷静な状況判断と最適解をチョイスするなど管理職の人材育成に欠かせない部分を育み、パワハラ回避にも繋がると一石二鳥です。

また、「〇〇すべき」という固定観念や決めつけを緩めることもアンガーマネジメントの一環になります。

例えば、上司が部下に対して怒る際に次のような心理が働きます。

・この気持ちは伝わるべきだ
・怒りを見て改めるべきだ
・怒られたことで理解するだろう

これは上司サイドの甘えや期待、そして「〇〇すべき」という固定観念にすぎず「思い通りにしたい」という感情がもととなり、怒りへ転じている可能性があります。

正しい叱責は相手のため、そしてスムーズな業務進行へと着地する重要な言動です。

正しい叱責とパワハラは真逆に位置するものであり、アンガーマネジメントで怒りを紐解いていくのは、正しい叱責とパワハラの違いを明確に認識できるメリットにもなるでしょう。

アンガーマネジメントを学んで介護職に活かす

介護職の場合「イライラしない方が上質なケアができて業務もスムーズにいく」ことは現場の誰もが理解しています。

しかし、実際は利用者から理不尽な言葉をかけられたり、家族からのクレームや無理な要望が寄せられます。

認知症だとわかっていても、忙しい時に何度も同じ話を繰り返されてイライラしたり、利用者からの暴力に悩まされるケースもありますが、介護の現場は非常にデリケートかつストレスが多いのです。

そのため、介護業界でもアンガーマネジメント研修を導入する企業や施設が増えています。

介護だけでなくどの仕事でも、怒りをゼロにはできません。

しかし、アンガーマネジメントの考え方とスキルで怒りのコントロールが可能となれば、不要な怒りに振り回されて疲弊する時間を減らせます。

例えばアンガーマネジメントで学ぶ「怒りを6秒やり過ごす」。

6秒で怒りが消えるわけはありませんが、衝動的に怒鳴るなど不適切な対応を回避する手段になります。

他者との価値観の違いを学ぶこともアンガーマネジメントの一環ですが、これは「~すべき」という自分の価値観だけではないと学ぶ機会です。

自分の「~すべき」と他人の「~すべき」には違いがあり、自分の許容範囲を広げる方法や、受け入れられずとも認める工夫を取り入れるのもアンガーマネジメントになります。

何度もコールで呼ばれる、過剰なサービスを要求されるといったストレスシーンでも受け流す、冷静な対応を優先するなど余裕が生まれやすくなれば、イライラの度合いや頻度を下げられるのです。

アンガーマネジメント研修を導入する企業が注意すべきポイント

アンガーマネジメント研修を導入する際、企業が注意しなければならないのは「すべての社員が怒りをパーフェクトにコントロールできるようになるわけではない」ということ。

多彩な感情をもつ人間だからこそ、怒りはとても身近で当たり前の感情です。

日本語で「喜怒哀楽」と表現するほど定番なので、怒りをゼロにすることは難しく、完璧にコントロールすることも同じくらい難しいかもしれません。

けれども、アンガーマネジメントはその怒りがほんとうに必要か考え、怒りを抱く頻度を減らす、もしくは感情的に怒りを爆発させるのではなく消化し昇華することが目的です。

また、社員の中でもアンガーマネジメントをすんなり身につける人もいれば、考えを理解するのに時間がかかったり、実際に応用するまで苦労する人もいるでしょう。

そんな社員に対し経営者が「アンガーマネジメントを必ず習得すべきだ!」と考えてしまっては意味がありません。

アンガーマネジメント研修の導入を検討しているなら、社員や管理職だけでなく経営陣も学ぶことをオススメします。

著者:立石 みか

35歳、魚座のB型。
アンガーマネジメント診断では「天真爛漫タイプ」の結果がでました。
ほどほどに天真爛漫したいと思います。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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