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5Gの歴史と未来とは?世界の5G普及状況と活用事例について

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今回は5Gに至るまで、通信規格がどのように発展してきたのかについて振り返りましょう。そして、グローバルな視点で5Gの普及状況、世界の5Gの活用事例について紹介します。

通信規格の歴史

それでは通信規格の歴史についてまとめて見てみましょう。

第1世代の移動通信規格(1G)は1980年代まで遡り、自動車電話やショルダーフォンとして採用されました。

各国で地域ごとに技術開発が進められ、アナログ無線技術の仕様として策定後、商用化されました。アナログ電波で通信するため、ノイズは大きい、盗聴されやすいという特徴がありました。

第2世代の移動通信規格は(2G)1993年に登場した、デジタル方式の規格です。

無線技術がアナログからデジタルに変わったことが大きな変化であり、携帯電話によるデータ通信の利用が本格化します。

1999年に、NTTドコモが「iモード」のサービスを開始します。

ここで、携帯電話を使ってメールやインターネットもできるようになります。

1Gや2Gの時代の携帯電話は、地域別に技術開発を進めていたため、通信規格がバラバラで、世界中で同じ携帯電話を使うことはできませんでした。そこで標準規格として誕生したのが、第3世代の移動通信なのです。

ここでは、通信速度が飛躍的に伸びており、下りで最大64kbps程度から最大3.6Mbpsまで高速化しました。

このサービスにより、音声だけではなく、テレビ・動画などのコンテンツが充実していきます。

3Gをさらに高速化した3.9Gにあたる通信規格がLTEです。
厳密にはLTEは4Gではありませんが、4Gに限りなく近い技術であるため、4Gとする場合が多いです。

4Gではさらなる充実したサービスを受けられるように、最大受信速度が1Gbpsまで引き上げられています。

各世代の通信規格の歴史を振り返ると、1〜2Gでは音声通話を目的とした品質向上を、3〜4Gではリッチコンテンツに合わせたデータ通信の高速化・大容量化がテーマとなっています。

そして、5Gではさらにサービスを拡充させるため、またIoTのインフラとして、4G以上に高速・大容量化を実現すべく進化しています。

世界の5G普及状況について

海外に目を向けてみると、米国、欧州、中国、韓国のいずれにおいても、5Gはすでに実用化されております。

そして、周波数に関しては、日本と同様に、6GHz以下と24GHz以上の周波数帯の双方を5Gに割り当てていることがわかります。

また、諸外国の5Gへのネットワーク投資規模としては、実に40か国で、70以上の商用ネットワークがすでにサービス展開しております。

そして、5G対応という点において、主要ベンダーによる市場への5G用のチップや端末の投入は、韓国や米国の5G展開サービスに合わせ、2019年ごろに集中しています。

この2019年のベンダーの開発状況は、4G端末時代と比較しても活発化しております。

それでは、各国の商用利用についてまとめます。

世界初の5Gサービスは韓国で2019年4月3日に3キャリアで一斉に開始されています。
米国では同じく4月3日にサービスが始まりました。
中国は、当初予定していた5G商用開始の時期を1年前倒しして、2019年11月に開始しました。
欧州では、2020年3月、既に11か国が5G商用サービスを開始しています。
日本は2020年の春から商用利用が始まっていますので、世界と比べると少し遅いと言えます。

5Gのサービスが開始されてから1年以上経つ国もありますが、ほとんどの国で4Gと同時運用で展開しています。

そのため、5Gだけの特長を存分に活かすレベルまで達しておらず、サービスの本格展開にはまだまだ時間がかかります。

まずは5Gのインフラが浸透していくのを待つしかありません。また、5Gを導入することでデジタルデバイドの解消は加速しますが、5Gの電波特性から4Gよりも細かく基地局を配置する必要があります。

そこで事業者にとっては、ネットワーク展開のコスト、周波数の確保が大きな課題となっています。

一方で、2030年頃に実用化予定の6Gについて、世界各国で議論がすでに開始されており、日本においても2020年1月に総務省が有識者会議を立ち上げました。

6Gにおいては、5Gの各特長をさらに高度化させるとともに、エネルギー効率の向上などが目標とされています。

6Gでは、5G以上によりアプリケーションにおいて無線通信が活用されることになり、感覚通信(触覚、嗅覚、味覚)、自動運転、工場自動化などの実現が期待されています。

それでは、ここから5Gの具体的な活用事例を見てみましょう。

ネットワーク構築が急速に進み、ユーザ数が急増する中国の活用事例

中国の5Gに対する取り組みは、世界でもトップレベルです。

通信機器メーカー、ネットワーク整備状況、市場規模の観点から見てみます。

通信機器メーカーの競争力が分かる指標として、5G関連の特許数があげられます。

その特許出願件数ランキングでは、1位がファーウェイ、3位がZTEです。国別シェアを見ても、中国が全体の3割を占めており、韓国、欧州勢、米国、日本と続いていきます。

また、2019年のネットワーク通信機器の売り上げは、ファーウェイとZTEで世界シェアの約4割も占めています。

ネットワーク展開を見ても、沿海部の都市部を中心に、5Gのネットワーク基地局建設が急速に進んでいます。

2020年末までに、30万台の基地局を整備し、340もの都市がカバーされています。

さらに中国は、5Gの基地局整備にあたりスタンドアローン方式を採用しています。

日本など他国が4Gネットワークと併用するノンスタンドアローン方式を採用しているので対照的となります。

続いて、市場規模ですが、世界最大です。5Gの基盤となる中国の4G携帯ユーザー数はすでに12億以上で、5Gユーザー数は、既に5,000万を超えております。

市場規模の拡大とネットワーク整備の充実により、具体的な活用事例も多くなります。

5Gを活用して、新しいサービスを素早く世界に生み出していくことがポイントになります。

東軟漢楓医療科技が、医療のIoTシステムを提供

東軟漢楓医療科技は、中国のソフトウェア会社の東軟グループが立ち上げた企業です。

提供している重症新生児のオンライン面会では、看護師がAR眼鏡をかけて看護することで、家族が看護師の視点でよりリアルに面会体験できます。

また、病院同士を接続することにより、瀋陽市の専門医がエコー機器を操作し、50キロ以上離れた撫順市の患者を診断した事例もあります。

低遅延という5Gの特性から、画像、音声、バイタルといった医療データの送信、機械の操作を遠距離で制御することに成功しております。

ロボット開発のUBTECHとモバイルネットワーク開発のvrdeteが、深セン市黄田派出所にAI警備ロボットシステムを提供

高速道路の検査スポットにおいて、深セン市に出入りする車両情報を24時間記録します。

さらに、24時間の自動巡回および体温計測プログラムがあり、コロナ禍でも警備員の省力化・感染リスク低下に貢献しています。

また、5Gの多数同時接続という特徴を活かし、10万人の警備チームとリアルタイムの同時通話も可能です。

吉利新能源が提供する電気バスに、SOYEAが公共交通ネットワークシステムを提供しました。

吉利新能源は、エネルギー車などのブランドを手掛ける企業です。

SOYEAは、液晶テレビのほか、コネクテッドカーなどのネットワーク設計を手掛ける企業です。

このシステムを活用したスマートバスには、20台のカメラが搭載されています。

5Gの低遅延、多数同時接続の特徴を生かし、交通信号など道路情報と車両が相互に通信することで、ドライビングサポートシステムを実現します。
さらに、顔認証による支払いも可能になります。

参考
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/1155124d9beb3a88.html

まとめ

いかがでしたでしょうか?

世界に目を向けると、5Gは、中国、韓国、米国、欧州で急速に浸透しつつあります。

今後、5Gを活用した新しいサービスが続々と登場し、日本でも展開されていきます。

中堅中小企業においても、その5Gの波に乗り遅れないように、各国の最新動向を常に抑えておきましょう。

著者:ko0820

幼少期より、無線機器に興味を示し、中学生でアマチュア無線免許を取得。大学では、情報通信を専攻。その後、携帯キャリアに就職し、ネットワーク装置の設計・開発に従事。
プライベートでもMVNOの回線を複数契約し、価格や品質を調査しながら、5Gの最新動向も追う。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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