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中堅中小企業が導入できる越境ECの現実的選択肢と成功パターンとは

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越境ECの始め方

越境ECの始め方としてJETROは以下のようにポイントをまとめています。

商品を選定し、ターゲット(エリア)を絞込み、ECプラットフォームを選択するのが越境ECビジネス展開の流れです。

商品を決める

日本国内でそれほど需要が無い商品でもニーズがあります。ターゲットを絞り込めば、求められている商品像が具体的になり、絞り込まれたターゲットに合わせた売り方があります。

出典:「中国EC市場と活用方法」JETRO
出典:「越境ECとは?海外にビジネス展開する方法や最新トレンドと成功例を解説【2022】」Shopifyブログ
出典:「アメリカ市場で成功するための越境EC・商品選びのいろは」Shopify ブログ
出典:ICHIGO

商材により成功パターンが異なります(第二章)。
そのうち自社サイトで成功するパターンの商材は「カテゴリ検索される日本特有品」と「定期購入品かつ中価格帯以上の商材」です。

上記の表でいえば「日本でしか入手できない限定品」が日本特有品で、Tokyo Otaku ModeSAMURAI STOREを見てもらえばイメージしやすいでしょう。

「定期購入品かつ中価格帯以上の商材」は上記の表でいえば「高品質の日本製品」と「地域やターゲットに合せた売り方」のうち中価格帯以上の商材です。

「高品質の日本製品」の事例では、アパレル以外は低価格帯の商材に属しモール型で成功しやすいパターンの商材です。

但し、低価格帯の商材でもICHIGOのように売り方次第で自社サイトでも成功する可能性があります。

Shopifyブログで取り上げられている「日本でしか入手できない限定品」

Shopifyブログで取り上げられている「地域やターゲットに合せた売り方」

ターゲットを決める

ターゲットを決めるとは、収益を見込めるエリアとエリア内の具体的顧客像を選択することです。

その際、ニューヨーク大学のパンカジ・ゲマワット教授が提唱している、情報を整理し課題を見つけ出すフレームワーク「CAGE」、その課題を克服する戦略「AAA」が有用です。

(1)海外進出先環境整理フレームワーク「CAGE」
CAGEとは、4項目の頭文字の総称です。越境ECに関連する事項を入れると以下のようになります。

JETROが東南アジアと中国の「CAGE」をまとめた次の表が参考になります。

こうして海外進出先の課題を抽出していきます。
JETROのまとめを見ると東南アジアより中国の方が進出しやすいターゲットのようです。

しかし次節で取り上げるターゲットエリアで有効なプラットフォームを分析すると状況は変化します。

モールに関しては中国より東南アジアの方が収益化しやすいのです。

(2)「CAGE」分析で明らかになった課題を克服する「AAA」戦略

AAA戦略とは、3つの戦略の頭文字の総称です。越境ECに関連する事項を入れると以下のようになります。

この具体例から東南アジアに対してモールの「Shopee」を通じてお菓子をサブスクする越境ECの戦略が浮かび上がります。

越境ECプラットフォームを決める

(1)プラットフォームの選択肢
経済産業省は越境ECの事業モデルを以下のようにまとめています。

経済産業省がまとめた事業モデルのプラットフォームだけに焦点をあて、種類と代表例で分類し、それぞれの強み弱みをまとめると次のようになります。

中国は世界最大のEC市場ですが、モールへの出品では高い出店料と維持費で収益が出にくい環境です。

東南アジアは規模まだ小さいですが、将来性があり、モールでの収益を上げやすい環境です。

(2)中堅中小企業が選択できる現実的な越境ECプラットフォーム
経営資源の限られている中堅中小企業が、現実的に選択できる有用な越境ECプラットフォームとして以下の3パターンを紹介します。

①自社ECサイトクラウド型プラットフォーム「Shopify
Shopifyは予想以上に労力とコストを要し収益化できる中堅中小企業は少ないでしょう。しかし、3つの記事を通じて紹介する機能の優秀性からどうしても外せないので選びました。

より取り組みやすいプラットフォームは②③です。

②東南アジア最大級モール「Shopee
出店料・維持費無料、配送料の一部補助も有り、中国のモールと真逆で、収益化しやすい点が強みです。

展開エリアも秀逸で、ASEANの中で所得が高いシンガポールやマレーシア、タイ。人口が多いインドネシアにベトナム、フィリピン。ASEANではないが地理的に近く、所得も韓国に並ぶ台湾をいれ、東南アジアで人気の国を網羅しています。

③自社ECサイト(オンプレミス型クラウド型関係なく)+海外発送代行サービス「Buyee Connect」(第3回記事第二章事例参照)
「Buyee Connect」とは、国内配送システム・決済システムのまま、既存の経営資源を拡大せず、負担も増えず越境ECを実現するサービスです。

「国内サイトをShopifyで越境EC化」した場合と「国内ECのまま海外配送代行サービスを利用」した場合を図式化してみました。

「国内サイト+海外配送代行」に比べると「Shopifyによる越境EC化」は、導入企業の負担や自社構築しなければならない部分が多く、不完全な越境ECサイトになる可能性が高いといえます。

越境ECの4つの成功パターン

越境ECの成功パターンとは

成功パターンは扱う商材により異なり、以下のように4つのパターンが考えられます。

既にブランティングできている高額商材の場合、出来るだけ多くの人の目に触れる機会の多いモールの方が効率的ですし、サポート体制が充実しているのでトラブルがあっても安心です。

それ以外の商材の場合、モールでは独自のブランティングが出来ないので価格競争に巻き込まれます。

価格競争を回避するため、自社サイトで価値を訴求するのですが、集客力がないのでカテゴリ検索される日本特有品か一定の広告費を書けても収益化できる中価格帯以上の商材でなければ成功は難しいでしょう。

この2つのパターンを構築できなければ、モールで集客し自社サイトに誘引、自社サイトで顧客教育しモールで買ってもらう越境ECの王道パターンと採用するしかありません。

Shopifyの成功パターン対応機能

Shopifyはマルチチャネル機能があるので成功パターンの全てに対応できます。

(1)モール主導型に対しては、モールとの同時販売が可能で、AmazonとShopify両方で商品や注文を追跡できますし、楽天市場での商品登録や在庫管理、受注管理の店舗運営業務をShopifyの管理画面で操作できます。

(2)自社サイト主導型に対しては、SNSやGoogle検索をチャネル化できる機能が満載です。

FacebookショップでShopify商品を表示。Instagramの投稿とストーリーに表示されている商品にタグ付けしてInstagramで販売。Messengerの会話から直接購入。

ShopifyのGoogleチャネルは、商品、及びストア関連の情報をGoogleMerchantCenterと自動的に同期し、ショッピング広告やその他のGoogleサービスを利用できるのです。

(3)ECサイト&現地店舗併用型に対しては、ShopifyPOSを通じて一元管理しオムニチャネル化できます。

(4)モール&自社サイト併用型に対しては、モール主導型と自社サイト主導型の機能が使えます。

モールでの出品と自社サイト販売を一元管理し、下記図のような顧客管理機能と商品管理機能で集客力を高め、ブランティング力を向上できるのです。

おわりに

この記事では、中堅中小企業が導入できる越境ECの現実的な選択肢を検討してきました。

確かにShopifyは越境EC成功パターンのいずれにも対応できる現在最良のECプラットフォームです。

しかし、その機能・アプリを十分に使いこなすには極めて高い能力と労力を必要とします。

使いこなすためのコンサルティング料を含めると越境ECサイトだけで月商数百万円なければ収益化できないのではないでしょうか。

そこで、より金銭的・人的負担の軽い「国内サイト+海外配送代行」という形態を紹介しました。

第3回記事では、この形態を実際に導入した事例を紹介しますので、サイト自体の越境EC化の場合と比較して自社ならどちらの形態が現実的な選択肢なのか検討してみて下さい。

著者:maru
2011年から中小企業診断士として経営コンサルタントをはじめる。
通常の企業経営コンサルから、無農薬農業経営、介護施設運営等の幅広い業種に関わり、
エンターテインメント施設の開業のための市場調査から、債務超過企業の事業デューデリジェンスまで、企業成長段階に応じたコンサルタントを行っています。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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