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POSシステム活用応用編「勤怠管理・オーダーエントリーシステム」

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働き方改革が2020年4月から中小企業にも適用され、全ての企業に残業の規制や有給休暇の一定以上の取得など、ただでさえ人手不足の流通・飲食・サービス業界にとっては、さらに生産性を求められる時代になりました。

今回はPOSシステムを活用した勤怠管理の仕組みと、オーダーエントリーシステムの有効性についてご紹介します。

POSシステム勤怠管理の仕組み

あまり知られていませんが、実はPOSシステムでは従業員の勤怠管理が可能です。

特に流通・飲食・サービス業においては、多くの従業員が働いています。
その従業員の就業形態はパート・アルバイト・正社員など多様で、タイムカードの集計も多大な労力を要します。

タイムカードデータの収集方法は色々あります。
多くは紙のタイムカードを打刻(印字)するタイプか、社員カードをスキャナーで読み取る方法です。

POSシステムでは、POSターミナルにクレジットカードやポイントカードの読み取り装置がついている場合は、それを兼用して出退勤のデータを収集することが出来ます。
バーコードスキャナーを活用することも可能です。

つまり、既存の機器だけで勤怠管理が出来るわけです(ソフトウェアは必要)。

POSシステム勤怠管理のメリット

POSシステムを活用して勤怠管理をすることで、タイムカードの集計業務が軽減されるだけでなく、かなり戦略的な活用が可能になります。

POSシステムでは、そもそも売上や入客のデータを扱っています。
それに従業員の勤怠データを加えることで、次のような色々な分析が出来ます。

時間帯別売上入客+シフト人員分析

もともとPOS単体でも分析できていた時間帯分析に従業員のシフト状況を合わせて分析することで従業員一人当たりの接客人数がわかり、シフトスケジュールに役立ちます。

労働生産性分析

流通・飲食・サービス業は費用に占める人件費の高い産業です。
シフトの分析と合わせて、従業員一人一人がどの位の粗利を生み出しているかを分析することも可能です。具体的には人時生産性(従業員一人一時間当たりの粗利益額)で把握できます。

残業監視

勤怠データは働き方改革に直結します。
残業時間の原則上限45時間を超えていないか、特定の従業員だけに残業が集中していないかなど、法律を順守するだけでなく、従業員の健康管理や過度な人件費の抑制にもなります。

オーダーエントリーシステムの仕組み

主に飲食業で普及が進んでいる機器です。

仕組みとしては、先ずお客様からの注文内容をハンディターミナルなどの機器で受け送信すると、メニューごとに指定された調理場のキッチンプリンターから調理指示が出力されます。

さらに、注文された情報は会計データとして蓄積され、会計時にPOSターミナルで呼び出されて、瞬時に会計が終わる仕組みです。

最近は、ハンディターミナルの代わりに、お客様自身がテーブルに置かれたタブレット端末で直接注文をするタイプも普及しています。

オーダーエントリーシステムのメリット

この仕組みは、従業員の生産性を格段にアップさせます。

通常、従業員はお客様から注文を受けた後、複写式の伝票に記入し、記入した元伝票を調理場まで持っていき、調理の指示をします。

この部分を電波で行うため、作業動線が圧倒的に削減されます。

さらに、オーダーストップの場合など、従来であれば、調理場に行って初めて分かった場合、再度お詫びに客席に戻り、再度注文を取り直すなどの重複作業が必要でしたが、最高注文数を予め設定しておくことで、注文時にハンディターミナルで分かるようになっています。

最近は客席に据え置き型のタブレット端末でお客様自ら注文してくれるため、さらに省力化できるようになっています。

また、お会計もほとんど時間がかかりません。

すでに注文内容がデータで保存され、税金の計算も済んでいるため、レジで注文内容を再入力必要はありません。
伝票番号やテーブル番号でデータを呼び出し、会計するだけです。

さらに、オーダーエントリーシステムは次のような戦略的な活用も可能です(別途ソフトウェア開発が必要な場合もあります)。

従業員別、テーブル別の稼働分析

従業員が注文を受ける際、担当者ナンバーやテーブルナンバーなどを入力するため、「誰が担当したか?」や「どのテーブルの売上か?」ということが識別できます。

そのため、従業員ごとの販売実績やテーブルごとの稼働状況が分かり、販売促進キャンペーンや店内のレイアウトの検討等に活用できます。

滞在時間データの活用

POSシステム単体の場合は、お客様の入店時間は分かりませんが、オーダーエントリーシステムを使うと、オーダーを取った時に時刻データが取り込まれるため、入店時間が分かります。

さらに、会計時に退店時間も記録されるため、滞在時間が明確になります。

そのため、シフトスケジュールが立てやすくなるとともに、従業員の過不足も明確になります。

まとめ

今回はPOSシステムを勤怠管理やオーダーエントリーシステムといった、「人の管理」や「生産性」という面に絞って、その活用方法をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

慢性的に人手不足に悩む流通・飲食・サービス業界ですが、働き方改革の本格的な実施を機に、抜本的な人手に関する改革を行わなければならない時期に来ています。ぜひ参考にしてみてください。

次回は、これまでに見てきたPOSシステムを導入する際のポイントについてみていきます。

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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