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キャリアの5Gとは異なるローカル5Gとは一体何か?

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2019年3月から特定のエリアにはなりますが、5Gのサービスはすでに始まっています。

今回はキャリアに依存することなく、企業や自治体が独自で5Gを構築できるローカル5Gという仕組みをご紹介します。

中堅中小企業においては、5Gの商用展開を待たずに活用できる、ローカル5Gの方がより身近な存在になることでしょう。

中堅中小企業でも活用できるローカル5Gとは?

ローカル5Gの概要についてみてみましょう。

ローカル5Gとは

現在キャリアが提供している5Gとは異なるもので、ローカル5Gとは、企業や自治体が、5Gのプライベートネットワーク用の基地局を構築し、専用の無線通信回線として利用するものです。

つまり、通信キャリアに依存することなく、自前で5Gのインフラを持つことができます。

ローカル5Gの利用にあたり、事前に利用目的や規模を明確にします。

そして、総務省へ申請後、免許を取得することで、周波数帯を割り当ててもらいます。

総務省もローカル5Gの普及を推進しています。

それは、大容量通信・低遅延・同時多数接続の特徴を持つ5Gですが、企業や自治体が大容量サービスを利用することで、回線が逼迫してしまうからです。

キャリアの一般利用回線とは別に、専用の回線をあらかじめ作れば、ネットワークの分散がはかれます。

また、ローカル5Gは、道路など、他者の土地をまたいだ通信も認められております。

そのため、電波が干渉しないように、周波数帯など厳密にルールを決めて運用しなければなりません。

それでは、ローカル5Gの特徴を抑えおきましょう。

特徴

広範囲をカバーできる

企業や自治体ではプライベートな無線ネットワークとして、Wi-Fiを使用してきました。

しかしながら、Wi-Fiは狭い部屋では十分に通信可能ですが、例えば大規模な工場や屋外も含めてカバーしようとすると、出力が弱すぎたり、干渉したりと安定した通信ができない状態でした。

また、無線ネットワークを構築するにはアクセスポイントを細かく設置する必要があり、ネットワークの管理が煩雑になります。

外部の5G回線と干渉することがない

具体的にローカル5Gの周波数帯域としては、4.6〜4.8GHzと28.2~29.1GHzが想定されています。

ローカル5Gは独立したネットワークであり、現在提供されている5G回線の影響を受けることはありません。

特に、イベントや災害時はネットワークが混雑することがあり、接続が切れたり、繋がりにくいなど、回線が不安定になりますが、そういう問題は発生せず、安定したネットワーク品質を維持できます。

自前で5G環境を構築でき、キャリアの動向に影響しない

キャリアが展開する5Gは、一部のエリアに限られて運用されています。
4Gのように日本中をカバーするのにはまだまだ時間がかかります。

その点、ローカル5Gは開設するとすぐに利用でき、高速で大容量通信の恩恵を受けることができます。

また、4Gが未だに山間部では繋がりにくいように、企業インフラとして使用するには、5Gのエリア展開が大きな意味を持ちます。

こうした場所の制約を受けずに、企業や自治体の独自サービスをリリースできるのは大きな魅力です。

セキュリティが強化される

ローカル5Gは外部ネットワークからは完全に独立した専用回線です。

そのため情報漏洩のリスクを抑えます。また、ローカル5Gでは認証にSIMを使用します。

スマートフォンのように、物理的なSIMを使用することで、不正アクセスされにくく、

高いセキュリティを保つことができるのです。

通常の5Gとの違い

ここで、通常の5Gとローカル5Gの違いについて整理しておきましょう。

通常の5GはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアに対して、電波が割り当てられ、すでに限定的にサービスを開始しております。

そして、この4つのキャリアはローカル5Gが使用できないことになっています。

一方、この4つのキャリア以外の企業・自治体を対象として、局所的ネットワークという条件で利用できるのがローカル5Gです。

ローカル5Gで取得した免許は、原則として建物や土地の所有者が、建物内や土地の敷地内で利用する場合でのみ使用できます。

また、通常の5Gとローカル5Gでは使用される周波数帯が異なります。

・通常の5G:3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯
・ローカル5G:4.5GHz帯の200MHz幅、28GHz帯の900MHz幅

Wi-Fiとの違い

それではWi-Fiとローカル5Gは何が違うのでしょうか。こちらも整理しておきます。

まずWi-Fiは免許が不要です。アクセスポイントを設置し、個々の機器を設定すれば無線ネットワークが完成します。

速度に関しては、ローカル5Gの方が高速ですが、どちらもギガビットレベルの速度を実現できます。

また、セキュリティについては、利用時にパスワードによる認証はどちらもあるものの、ローカル5GではSIMによる端末の認証もあるので、より強固となります。

そして、Wi-Fiの周波数帯は障害物でも回り込みやすくなりますので、屋外では電波の漏えいが問題となります。

例えば、スマートフォンを使い、屋外でWi-Fiを使用する際、SSIDが多く検出できるのはそのためです。

一方、ローカル5Gでミリ波を用いるので、Wi-Fiと比べるとより直進性が高いため、よりスポット的な利用が可能であり、電波の漏えいを防止することができます。

ローカル5Gの活用ケースとは

さて、それではローカル5Gはどのようなケースでの利用を想定しているのでしょうか?

スマートファクトリ

製造現場では、ベテラン技能者の減少により、技術の伝承や人手不足の問題が深刻化しています。

そこで、大容量の通信環境を提供できるローカル5Gを使うことで、工場内の無線環境を整え、生産ラインの柔軟な変更、機器データの情報収集、ロボットの制御などができます。

さらにロボットによる自動化、遠隔支援による作業効率化により、労働力不足を解消できることでしょう。

建設現場での建設機器の遠隔操作

建設現場では、作業効率の向上や高い安全性が求められています。

高速で大容量な通信環境を、エリアを絞ってスピーディに構築できるローカル5Gを使うことで、ネットワークが不安定な環境においても、柔軟に通信ができるようになります。

また、災害現場、高解像度の映像伝送により、遠隔での重機操作、AIなどを活用した自律運転が可能となります。

スマート農業

農業でも、後継者や人手不足が深刻であり、対策が必要です。

そこで、超高解像度カメラ、スマートグラス、自律走行型ロボットなどを活用することで、遠隔監視や指導を充実させ、効率的な農作業支援が実現します。

河川監視などの防災利用

防災においても、監視や対策を人手に頼っている部分が多く、効率化が必要です。

そこで、ローカル5Gを使えば、リアルタイムでデータが取得できるようになります。

例えば、気象データ、河川情報、ダム管理情報などをAIで分析することで、災害予測サービスが実現できます。

ローカル5Gの導入事例

岩見沢市でローカル5Gの実証を開始

NTT東日本は、日本国内で初となるローカル5G「Sub6・SA方式」をスマート農機の遠隔監視制御等の実証を岩見沢市北村地区で開始します。

今回の実証内容は次の通りです。

(1)ローカル5Gを用いた高精細かつ低遅延の映像伝送により、ロボットトラクター等、無人の自動運転農機をほ場から約10キロ離れた遠隔監視センタにて適切に運用・遠隔監視・制御する実証

(2)自動運転農機やほ場に設置する各種センサーから取得される生育データ等ビッグデータの送受信・集積等に関する実証

(3)既存BWAや最新のLPWA(802.11ah)など多様な通信ネットワークとの組み合わせによる幅広い領域で最適なネットワークを利活用する実証(映像やセンサーを用いた排水路監視、スマートウェアによる健康管理)

(4)ルーラル環境における4.7GHz帯の屋外利用実現に向けた遮蔽物に対する性能評価、ローカル5Gとキャリア5Gの準同期運用を含めた共用検討

(5)スマート農機の地域実装を促進するための環境形成・ビジネスモデル検討

参考
https://www.ntt-east.co.jp/hokkaido/news/detail/pdf/20210121.pdf

ローカル5Gの実験試験局免許取得、自社拠点でSAシステムの実証実験を開始

パナソニックシステムソリューションズジャパン株式会社は18日、1月13日に総務省関東総合通信局よりSub6帯域(4.6GHz~4.9GHz)を活用したローカル5G SA(スタンドアローン)システムの実験試験局免許を取得し、自社拠点で以下についてローカル5Gの実証実験を開始すると発表しました。

・ローカル5Gの性能検証およびアプリケーション実証
・電波伝搬の知見深化

参考
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2021/01/jn210118-2/jn210118-2.html

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はローカル5Gの特徴と活用事例について紹介しました。

中堅中小企業にとって、ローカル5Gはとても身近な存在であるということがご理解いただけかと思います。

いかがでしたでしょうか?今回はローカル5Gの特徴と活用事例について紹介しました。

中堅中小企業にとって、ローカル5Gはとても身近な存在であるということがご理解いただけかと思います。

著者:ko0820

幼少期より、無線機器に興味を示し、中学生でアマチュア無線免許を取得。大学では、情報通信を専攻。その後、携帯キャリアに就職し、ネットワーク装置の設計・開発に従事。
プライベートでもMVNOの回線を複数契約し、価格や品質を調査しながら、5Gの最新動向も追う。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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