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ナラティブとwell-beingの経営的意味

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ナラティブの経営的意味

ナラティブとは

narrativeという言葉は、物語、語りという意味です。
ストーリーは主人の物語を客観的にみるもので、ナラティブは共体験です。

ナラティブを経営理念化させたものが、ステークホルダーに対して企業の志を示した「パーパス」といえます。

ナラティブが話題になっている理由

(1)消費者が情報の王様に
マーケティングの権威、フィリップ・コトラーは、インターネットが一般に普及したことで「消費者は情報の王様になった」と称しました。

消費者が情報の王様になったことで、企業からの一方的なブランドstoryに違和感を覚えるようになったのです。

(2)新しいブランドストーリーの必要性

SNSの普及で消費者は情報の発信者になりました。こうした変化はマーケティングを価値中心から自己実現中心へと変遷させたとコトラーは述べています。

こうした流れはマズロー欲求5段階に相似しており、物理的欲求のモノの価値を醸成してきた一方的な成功storyでは、精神的欲求を満たせなくなっています。

マズローによれば、精神的欲求を充足するには、少なくとも好ましい集団への所属とその集団からの存在価値の承認が必要となります。ブランドstoryへの参加と共感が求められているのです。

ナラティブの経営的意味

(1)ナラティブによる業績向上
①顧客との共創物語
価値中心となったマーケティング3.0で購買条件に加わった企業の社会的姿勢を共創物語で示すことで満たせるようになります。

共体験することで顧客が置かれた状況に「共感」し、必要なアイデアを考え出すデザイン思考で、ニーズ・ウォンツを満たした商品・サービスを開発しやすくなります。

②従業員との共創物語
企業活動の方向性が共感できれば、働く自律的動機付けが出来、生産性が上がります。現代経営学の父ピーター・ドラッカーは「労働者の自律的動機が生産性を上げる」と述べています。

(2)ナラティブによる企業価値向上
ステークホルダーとの共創物語で企業の社会的姿勢を示すことはESG投資やSDGs等CSR活動として企業価値を向上できます。

well-being (ウェルビーイング)の経営的意味

well-beingとは

 

well-being の直訳は、「幸福」「健康」を意味します。

幸せ示す言葉にhappyがありますが、happyは短期的な感情としての幸せを示し、well-beingは身体的、精神的、社会的な面で長期的に良好な状態を示すと世界最大級のプロフェッショナルサービスファームPwCを定義づけしています。

well-beingが話題になっている理由

(1)消費者は自己変革にお金を払う
欲しいモノ・情報はIT革命ですぐ手に入るようになったため、物理的欲求ではなく精神的欲求に消費者の興味が移ってきています。モノによる一時的なhappyでは精神的欲求を十分に満たせないのです。

さらに、iPhoneの登場でSNSでのコミュニケーションが常態化し、マズローの欲求5段階の最終段階、特定コミュニティでの自己実現の段階に入っています。

つまり、社会や所属集団に承認されたいという欲求から、自分らしさを発揮できる特定コミュニティでの良好な状態(自己変革)を消費者は求めているのです。

(2)人材から「人財」へ

希少性を増す人材を「人財」と捉える傾向が一層強まっています(特に中堅中小企業)。

人財を獲得するために働き甲斐のある職場を用意する必要が出てきたのです。さらに、人生の大半を占める職場・仕事での自己実現が求められるのは当然の流れといえます。

獲得できた人財の能力をいかんなく発揮してもらうために生きがいや幸福、つまりwell-beingが必要なのです。

well-beingの経営的意味

 

消費者が自己実現段階に入ったのと同じように労働者も自己実現段階に入っていると考えるのが自然です。

消費者や従業員の物理的欲求を満たすだけでなく精神的欲求も充足することが必要になっているのです。

しかも社会や帰属集団からの承認欲求を超え、自分らしさを発揮できる環境を求めています。商品やサービス、給与による一時的なhappyではなく、長期的なwell-beingが求められているのです。それを実現するのがwell-beingマーケティング戦略とwell-being人事戦略です。

(1)顧客のwell-beingの効果
・新しい物好き(イノベーターやアーリーアダプター)の集客
・消費意欲向上
・LTV(顧客生涯価値)最大化

PwCによれば、幸福度が高い顧客がもたらす効果は上記の通りです。自己実現へ向けての新しいサービスの出現でイノベーターやアーリーアダプター等新し物好きを集客できるようになります。

これまで満たせなかった精神的欲求を充足する製品・サービスが増えることで消費意欲が向上します。

一次的なhappyではなく、長期的な良好な状態(well-being)が実現するのでLTVが最大化するのです。

参考:「全国消費者実態・幸福度調査2020」PWC2021/04/26

https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/well-being-report201224.html

(2)従業員のwell-beingの効果
・生産性1.3倍
・売上1.37倍
・創造性は3倍
・個人・組織パフォーマンス向上
・継続就業意向向上・転職意向低下

米イリノイ大学心理学部名誉教授であるエド・ディーナー氏らの論文によると幸福度が高い従業員がもたらす効果は上記の通りです。

物理的な職の安定や給与の安定以外に働きやすさや遣り甲斐が生まれたことで、能力や可能性が最大限発揮できる職場になり、生産性や創造性がアップします。

現代経営学の父ピーター・ドラッカーも自律的動機があれば生産性が向上するといっています。

もちろんそうした職場で出来るだけ長く働きたいと考えることは自然なことです。

参考:「イノベーティブ人材獲得の要となるウェルビーイングの視点」PWC2021/06/24

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/well-being-marketing/well-being-

well-beingで作るナラティブカンパニー

ブランドstoryとwell-beingの共創物語の経営理念化「パーパス」

 

企業の目的は業績とその価値を高めることにあります。従って、ステークホルダーのwell-beingとの共創物語を業績及び企業価値に結び付けられるのがナラティブカンパニーです。

そのためには各戦略の方向性を決める企業理念を、ブランドstoryとステークホルダーのwell-beingの共創の観点から作ることが必要です。

従来のような表面的正義を並べた「MVV(Mission・Vision・Value)」ではなく、顧客や従業員、株主を躍動させるような企業の内側から湧き出てくる志(こころざし)である「パーパス」が求められています。

well-being実現するには、ステークホルダーの幸福度を上げる必要があります。その幸福度を構成するのが、慶應義塾大学大学院前野隆司教授がまとめた、以下のような性質を有する「幸せ4因子」です。

 

well-beingマーケティング戦略

消費者の幸福度に影響するのは、年齢や年収などのデモグラフィック項目だけでなく、信頼、自信、心の持ちようなど精神面も大きな割合を占めます。

こうした精神面での課題を利用して売れる仕組みを作るのがwell-beingマーケティング戦略です。

幸せ4因子を醸成する施策に盛込むことで消費者のwell-beingを実現するのです。

実現した場合の効果は、従来のマーケティング戦略でも課題となっていた消費意欲向上やLTV最大化です。その具体的な実現方法は第2回記事で紹介します。

well-being人事戦略

マーケティングと同じように幸せ4因子を施策に盛込むことで従業員のwell-beingを実現するのがwell-being人事戦略です。

その実現した場合の効果は、従来の人事戦略の一般的課題であった売上や生産性の向上だけでなく、イノベーションや人材確保といった難解な課題の解決にもつながります。具体的施策内容は第2回記事で紹介します。

おわりに

ステークホルダーとの共創物語であるナラティブは、経営理念ではパーパスとして、マーケティング戦略と人事戦略では顧客と従業員のwell-beingを実現する施策として具体化します。

消費者と従業員のwell-beingを実現することで業績と企業価値を向上させるのがナラティブカンパニーです。

ナラティブカンパニーは、経営の一般的課題である消費意欲向上やLTV最大化、売上アップ、生産性向上を獲得できるだけでなく、これまでの経営戦略では手に入れることが難しかった創造力や継続就業意欲の向上も望めます。

第2回記事では、中堅中小企業がこのような成果をどのようにして獲得するのか紹介します。

著者:maru

2011年から中小企業診断士として経営コンサルタントをはじめる。
通常の企業経営コンサルから、無農薬農業経営、介護施設運営等の幅広い業種に関わり、
エンターテインメント施設の開業のための市場調査から、債務超過企業の事業デューデリジェンスまで、企業成長段階に応じたコンサルタントを行っています。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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