みなさんは、SDGs(エスディージーズ)をご存知でしょうか?
最近では、メディアでも取り上げられる機会も増え始めてはいますが、まだ知らない人が多くいるのが現状です。
今後の社会の中でSDGsが、かなり重要なテーマになっていく事を表す指数をご覧ください。
・SDGs達成により生み出される市場機会の価値は「年間12兆ドル」
・2030年までにSDGsに関与して生み出される世界の雇用は「約3億8000万人」出典:プライスウォーターハウスクーパース(PwC)2015年調査、Better Business, Better World, Business & Sustainable Development Commission
この数字を見てもまだ、SDGsに無頓着でいられますか?
今後、SDGs関連で、新しいビジネスがどんどん生まれていき、既存の会社もSDGsとどのように付き合うかは、社会課題の枠を超えて、事業継続の課題の一つになる可能性もあります。
今回から、全5回にわたって企業が考えるべき「SDGs」についてご紹介させていただきます。
具体的な内容自体も、全部で169個もあるのでややこしく感じる方も多いと思いますが、企業にあったSDGsとの関わり方が見えるまでの流れを、分かりやすくご紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
SDGs
この記事では、基本的な「SDGs」自体の理解を高めていただき、それを前提に第2回以降で、企業にとって有益な情報を共有させていただければと考えています。
SDGsの正式名称は「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」、それぞれの頭文字をとってSDGsと呼びます。
SDGsは、2001年に策定されたMDGs(ミレニアム開発目標)の後継として、2015年9月に国連サミットで採択された、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された
2016年から2030年までの15年間で達成を目指す国際目標です。
SDGs17を理解するための「5つのP」
SDGsの具体的な内容は、17の大きな目標と、それらを達成するための169のターゲットで構成されて言います。
複雑で細かいSDGsの内容に入る前に、SDGsの理解を深めるための「5つのP」の説明をしていきます。
・People(人間)
・Prosperity(繁栄)
・Planet(地球)
・Peace(平和)
・Partnership(協働)
People(人間)
まだまだ世界には、飢餓や貧困に苦しむ人がいます。そのような人たちを救い、みな平等に暮らせる世界を作る事が大切です。
住む場所などの生活環境、健康を維持するための医療サービスも、貧困で苦しむ人々には、満足に行き届いていません。
SDGsの価値観には、「人々」の幸せを追求する観点が組み込まれています。
Prosperity(繁栄)
自然との調和を大事にし、テクノロジーの進歩で世界をよりよくする事。
働き方(収入、やりがい)や安全な暮らしを大切にしていく事を、本当の意味での「繁栄」と考えています。
Planet(地球)
「地球を守る」ためには、国単位ではなく世界全体で問題を改善する必要があります。
限りある自然を、未来にも残して行くためには、個人単位で身の回りの環境に対して、意識する事からスタートします。
Peace(平和)
いつの時代も、争いは起き、今でも世界のどこかで紛争が続いています。
争いは、貧困の始まりです。国内だけでなく、一人一人が「世界の平和」を意識しましょう。
Partnership(協働)
国や個人ではなく、世界全体で問題意識を持ち、みんなで「協力する事」が、より良い世界を作る第一歩です。
一人でも多くの人が協力しあう事で、世界の目標であるSDGsが達成され、本当の意味での「より良い世界」が実現されます。
SDGs17の目標と169のターゲット
SDGs17の目標は、大きな目標として掲げられていますが、その一つ一つに細かいターゲットや詳細が169個にわたって記載されています。
また、開発途上国のみに該当するような内容に感じる人もいるかもしれませんが、実は全世界に当てはまる問題として定義されています。
SDGsの17の目標【1〜6】
17の目標を一つずつ見てくと、1〜6までは開発途上国に特化した内容のように見えます。
しかしながら、日本を含む先進国でも解決すべき問題が存在しており、1〜6の中でいうと、ジェンダーの問題が低い評価になっています。
2018年に発表された、世界「男女平等ランキング」では、G7の中でもダントツ最下位の110位を記録し、あらためて日本国内のジェンダーの問題が根強い事が明らかになりました。
SDGsの17の目標【7〜12】
7〜12を見ていくと、エネルギーや働き方、住む環境など、時代の変化における多様性や、テクノロジーに関係する内容が多く存在しています。
この中でいうと、日本は12番の「つくる責任 つかう責任」の分野で低い評価を受けています。
具体的な課題でいうと、日本は「食料廃棄」の問題があります。食べられるが賞味期限が切れるのを理由に廃棄処分をするなどの「食品ロス」を改善していく事が重要です。
また、2020年に行われる東京五輪では、選手に渡すメダルをリサイクル金属で作る事が決まっています。
SDGsの17の目標【13〜17】
地球環境や気候変動の課題を、先進国や発展途上国などで分ける事なく、世界全体の問題として意識する事を明記した「パートナーシップで目標を達成しよう」などの目標があり、環境保全を中心に、SDGsを象徴するような内容になっています。
特筆すべき点は、日本が解決すべき課題にあげられている「14.海の豊かさを守ろう」で、SDGs全体の達成時期は2030年になっていますが、14番に関しては、2020年を達成目標に掲げており、早急の対応が迫られています。
SDGs 169のターゲット
SDGsの17の目標とSDGs 169のターゲットの違いは、SDGsの17の目標の中に、SDGs 169のターゲットがあるといった形です。
この細かなターゲットの中で、すでに企業が行なっている取り組みに、当てはまる物がある可能性があります。
SDGsの17の目標で概要を理解し、169のターゲットで具体的な企業との関係性を考察していきましょう。
まとめ
今回は、SDGsの概要を説明していきました。企業としてSDGsを考える時に前提となる部分なので、今回の記事をSDGsの基礎として理解いただければ幸いです。
しかし、なぜ環境保護や貧困などの社会問題が、中堅中小企業の規模まで影響を及ぼすようになったのでしょうか?
そもそも、なぜここまで経済に影響するほどの力を持つ事になったのでしょうか?
次回は、SDGsが単なる「世界平和を促すトレンド」の一つでは無く、経済に根付いた世界的取り組みである理由と、そこまでの力を持つ事になったSDGsの歴史についてご紹介していきたいと思います。
著者:久貝 将太
フリーランスでライター業を営んでいます。主に、SDGsやサスティナブルを取り上げるメディア、キャッシュレス関係で記事執筆をしています。筆者自身、SDGsを取り入れたファッションサービスを展開するため、それにむけて準備中です。