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中堅中小企業が実践したいトレンド経営手法/フリーミアムとは?

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インターネットを活用した販売方法として、近年「フリーミアム」という方法が注目されています。

主にコンテンツの配信やネット上のサービス手法で活用されていますが、コロナウィルスが蔓延し、既存事業の売上が低迷したり、商品の対面販売が困難になっていたりする企業にとって、有効な手法です。

フリーミアムとは一体何?

フリーミアムとは、フリー(Free)とプレミアム(Premium)という言葉を掛け合わせた言葉です。

まず、ビジネスの最初の段階で無料のサービスを開始し、まずはそのサービスのファンを増やします。その後、希望者に対して有料サービスを購入してもらうことで、収益に繋げていこうという販売戦略です。

広い分野で活用できる手法ですが、先ずはコストを掛けずに無料サービスを構築・普及させることが必要なため、「インターネット」を活用した商材が最も普及しています。

フリーミアムの代表的な事例

クックパッド

料理のレシピを自由に検索できるインターネット上のサイトです。
無料でレシピを検索できますが、有料ユーザーなると人気順のレシピが検索出来たり、「つくれぽ」と言われる、クックパッドのレシピで作ってみたレポートを過去にさかのぼって閲覧出来たり、栄養士が献立を提案してくれたりします。

クックパッドでは誰でも無料で自分が考えたレシピをアップロードすることが出来ます。

そもそも、料理をする人には「人に見てもらいたい」というニーズや、毎日料理をする主婦には「献立を考えるのが大変」というニーズがあります。

そのため、クックパッドでは、膨大な無料コンテンツを、コストを掛けずに準備することが出来るわけです。

さらにクックパッドでは、ユーザーに対して、広告や特売情報を有料配信出来る企業向けサービスもあるため、無料サービスを支える基盤が出来ています。

ドロップボックス

インターネット上のサーバー(保管場所)にデータを保存できるサービスです。

インターネット上にデータがあるため、会社でも自宅でも移動中でも、インターネットに接続できる環境さえあればデータを活用できます。

当初は個人向けのサービスでしたが、現在では対象を企業にも拡大しています。

同社では当初、検索連動型広告(注1)などを利用し、新規ユーザー獲得を行っていましたが、なかなか有料ユーザーを獲得できずにいました。

そこで、販売戦略を転換し、既存のユーザーを活用したプロモーションを始めました。

既存ユーザーに対して、「新しいユーザーを紹介してくれたら、紹介者の使えるデータ容量を増量!」というプロモーションを開始したところ、無料の新規ユーザーが増えるとともに、ドロップボックスの機能を気に入った無料ユーザーが有料ユーザーに移行していく動きが始まりました。

今いるユーザーの満足度を高めることが有料化を加速させる要因になったわけです。

注1)ホームページなどが、検索サイトで上位表示されるようにする広告手法。

フリーミアムを成功させるためのポイント

フリーミアムを成功させるためには、実は法則やポイントがあります。自社で開発する際の参考にしましょう。

先ずは無料コンテンツ・サービスの質が重要

何といっても、無料サービスの質が最も重要です。
フリーミアムは、一種の確率ビジネスです。

無料サービスに魅力が無ければ顧客の母数が増えず、確率論的に有料ユーザーを獲得しにくくなります。

逆に一定の無料ユーザーを獲得できれば、顧客の母数が増え、顧客の中にはとことん利用したいヘビーユーザーや、仕事上利用したいユーザーが一定数出現してきます。

そのためには、一定の母数を獲得できるサービスの魅力が最重要となります。

無料コンテンツ・サービスを支えるための体制・資源

魅力あるコンテンツやサービスを発見できたとしても、急に有料ユーザーが増えるわけではありません。

有料コンテンツ・サービスの収入が潤沢に入ってくるまで、無料コンテンツ・サービスを維持できなくてはなりません。

コンテンツやサービスをユーザー側から供給してもらう方法(クックパッドの例)や、広告収入などの確保などが重要です。

無料ユーザーと有料ユーザーの割合

フリーミアムにおいては、有料ユーザーが拡大するほど収益は安定していくのですが、そうそううまい話はありません。

多くの無料ユーザーに対して、ごくわずかな有料ユーザーが存在するというのが、一般的な割合です。

その比率には、特に法則があるわけではありませんが、アメリカの総合誌「WIRED」の編集長クリス・アンダーソン氏がその著書「FREE」で述べている内容では、「5%の有料ユーザーが、残り95%の無料ユーザーを下支えしている」と発言しています。

有料サービスへ移行してもらう動機付け

フリーミアムの収益源は有料サービスからの売上です。
そのため、無料ユーザーから有料ユーザーへスムーズに移行してもらうプロセスが重要です。

一般的に、有料サービスに移行させるには、大きく分けて以下の4つのきっかけがあります。

【制限解除】・・・利用回数や時間の制限が無くなる。利用スピードが速くなる。

【機能アップ】・・・機能が拡大したり、使えるデータ容量が増えたりする。

【価格】・・・利用ごとの課金が無くなり、一定価格で使い放題。

【魅力的なコンテンツ】・・・有料ユーザー限定のコンテンツやプレゼントが得られる。

また、効率良く有料サービスへ誘導するために、一定期間無料にしたり、お試し期間を設けたり、紹介キャンペーン(ドロップボックスの例)などを行ったりします。

まとめ

コロナ禍や自然災害などで既存ビジネスが大規模な損害を受けている昨今、新しい事業の手法として、「フリーミアム」が注目されています。

特に、インターネットでコンテンツやサービスを提供するため、物理的な製品を製造するビジネスに比べて、比較的参入しやすいビジネス手法であると言えます。

成功するためには、「魅力的なコンテンツ・サービスの開発」「無料サービス維持の手法」「有料サービスへの移行の動機付け」などが鍵になるでしょう。

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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