中堅中小企業が実践したいトレンド経営手法/中小企業のサブスクリプションビジネス事例研究1「北の達人コーポレーション」

サブスクリプションを活用したビジネス事例として、「北の達人コーポレーション」の事例を紹介します。

同社では、サブスクリプションをフル活用した化粧品・健康食品の販売で、中小企業から一気に東証1部に駆け上がった企業です。

同社のサブスクリプション戦略及び関連戦略の特徴・手法を分析していきます。

北の達人コーポレーションの企業概要

・企業概要

株式会社北の達人コーポレーションは、北海道札幌市に本拠地を構える化粧品・健康食品の通信販売業です。資本金2億7399万円(2020年5月31日現在)、年商100億9334万円(2020年2月期)、経常利益29億2399万円(2020年2月期)と、現在の事業に転換してからわずか6年で東証一部上場を果たしている、急成長企業です。

・取扱商品とビジネスモデル

同社では、化粧品や健康食品を、自社工場を持たずにメーカーに製造委託し、製品をOEM供給してもらい、インターネットを通じた通信販売を行うビジネスモデルを実践しています。

・経営理念とモットー

同社の経営理念は、「創造性や独創性を大切にする人間成長企業として、お客様、株主、取引先、従業員など、あらゆるステークホルダーとの共存共栄を目指すとともに、法令を遵守し、公正かつ透明で堅実な経営を行うこと」としています。

また、企業のモットーとしては、「おもしろいをカタチにして、世の中をカイテキにする達人集団」としています。

サブスクリプション方式に移行した経緯

代表である木下勝寿氏は、北海道で創業し、北海道の特産品をインターネット販売する事業を開始しました。

さらに、2007年からはウェブサイト「北海道わけあり市場」を開設し、足の取れたカニや、割れたせんべいなど、商品価値は変わらないが正規価格では売れない商品を、ワケありグルメとして販売を始め、大ブレイクしました。

しかし、そのビジネスを模倣する企業が続出し、価格競争に巻き込まれて撤退を余儀なくされました。

その際同氏は、誰にもまねされないビジネスを作ることを痛感し、本当に良い製品を開発し、本当に必要とする消費者に提供する戦略に転換しました。

そして、健康食品・化粧品のオリジナルブランド「北の快適工房ブランド」をつくり、急成長過程にあります。

近年では特に、女性用アンチエイジング化粧品である、ヒアルロン酸マイクロニードル「刺す化粧品シリーズ」の「ヒアロディープパッチ」の大ヒットや「刺す化粧品シリーズ」の新商品のリリースにより、売上高100億円の大台に到達しています。

同社の商品分野は、便秘やアンチエイジングなど、ニーズがベーシックな市場であり、そこへ他社が真似できない商品を投入することによって、定期購入をしてもらえる必然性が生まれています。

サブスクリプションを支える主要経営戦略

同社では、サブスクリプションを維持するための様々な戦略が駆使されています。

究極にまで品質にこだわる製品戦略

同社では、「びっくりするほど良いものができた時にしか商品化しない」という製品開発コンセプトを実践しています。

創業者がわけありグルメで体験した苦い思い出がベースとなっていますが、製品の独自性を維持することで、定期購入へ誘導しやすくなり、契約継続にも貢献しています。

必要な人にだけアプローチする広告戦略

同社では、大々的なテレビCMなどを行っていません。主にインターネットの検索サイト検索連動型広告(※注1)を活用して顧客へ最初のアプローチを行います。

そしてAIを活用した同社独自の「アドマネ」といわれるシステムにより、同社製品に関心がある消費者を特定し、アプローチしています。

大々的な広告を打てば、顧客を獲得するチャンスが増えますが、その分ニーズに合致しない顧客も多くなり、契約解除やクレームに繋がりやすくなると同社では考えています。

つまり、同社製品に魅力を感じる消費者をピンポイントで特定することにより、その後のサブスクリプションを安定的なものに出来るのです。

注1)ホームページなどが、検索サイトで上位表示されるようにする広告手法。

生産性を求めない顧客フォロー

同社では、社内にコールセンターを設置して、受注や顧客からの相談業務に対応しています。その際、解約に関しては「2分から2分30秒以内」という目標を掲げて取り組んでいます。

反面、顧客からの健康美容相談には10分以上かけて丁寧に対応するようにしています。

解約に際しては、しつこく説得を試みたりせず、スムーズに解約に応じることで、そこからも顧客満足を得ようとしています。

つまり、生産性を求めない丁寧な顧客対応をすることにより、口コミを呼び、更なるサブスクリプションの安定化に貢献しています。

また、顧客からの相談内容は、新製品の開発にも活用されています。

まとめ

普遍的なニーズに対して独自商品を開発し、効率良くターゲットを開拓し、サブスクリプション方式で安定的に販売する同社の戦略は、「良い商品を必要とする消費者に長く愛用してもらいたい」という同社の願いが結実した手法と言えます。

つまり、サブスクリプションだけでなく、その他の戦略もサブスクリプションが成功するように有機的に連結しているわけです。

私たち中堅中小企業にとって、大いに参考になる事例ですね。ぜひ、現有事業の見直しや、新規事業の開発に参考にしていただけたらと思います。

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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2 件のコメント

  • サブスクリプションモデルを取り込めた企業は今後も伸びそうですね。
    やはりテクノロジーのリテラシーは現代には必須だと感じます。

    • 深センの友さん、コメントありがとうございます!
      テクノロジーのリテラシー本当に必要ですね。
      テクノロジーの本質はより人間に身近になってきているのに
      テクノロジー=難しいもの
      という構図で敬遠しているのではと思います。

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