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クライアントインタビュー「人材育成に対する我が社の想い」(タカノ株式会社)

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弊社主催の異業種交流型合宿研修「錬成講座」に社員を派遣しておられるタカノ株式会社の幹部の方々(常務取締役 経営企画本部、人事部、アグリ事業推進室担当 大原明夫さん、執行役員 人事部部長 橋爪岳郎さん)にお話しをお聞きしました。

 

「人は企業のすべてである」

貴社の経営基本理念を拝見すると、「人が企業のすべてである」と明確に打ち出されています。いつ頃からこの理念を掲げていらっしゃるのでしょうか?

 

(大原常務)この理念はかなり以前から掲げています。30年前ぐらいでしょうか。

大原常務

 

今は会社も大きくなって、色々な事業を行っていますが、その過程、つまり企業の存続・成長を考えると、そこには当然ながらすべてに「人」が関わってくるので、「人を育てる」ということが基本であり、軸になっていると思います。これは、歴代の社長、そして現社長のバックボーンになっています。

当社は町工場から発祥しており、製造業が基本なのです。モノを作って、お客様に納めてという一連の作業はすべて人が介在しています。その人の人格がよくないといいモノは作れないし、モノも売れないというところが、この企業理念を創ったという根本にあると思います。

 

また、最初はバネ作りから始まって、今は家具、画像検査装置などに事業を展開していったのですが、新しい事業をやる上で、その事業を担う人が必要になります。その意味でも、人の教育が非常に重要だという認識もありますね。

 

現在、創業77年になりますが、歴代社長は節目節目でそのことを痛感してきたのだと思います。

―確かに、貴社は様々な事業を手掛けているということも特徴だと思いますが、新しい事業に対応できる人材を育成するということは、簡単な事ではないですよね。

 

(大原常務)確かに簡単なことではありません。志を高くして、色々な事にチャレンジして行こう、付加価値のあるものを創り出して行こうということを常に意識づけるようにしています。

また、当社のような中堅企業としては早かったと思いますが、大学との共同研究を昔から行っています。そうした取り組みの中で、採用した社員を大学の研究室に派遣して、博士号を取得してまた会社に戻ってきてもらい新規事業を担当してもらうといったことも取り組んできました。こうしたことも教育の一環ですね。

 

―人がいないと企業が成り立たないといのは、当たりまえと言えば当たりまえですが、特に貴社は、「事業の前にまず人なんだ」ということが中心にあるのは、ある意味ユニークですよね。

橋爪執行役員

(橋爪執行役員)そもそも社長の考え方がそうなんですよね。「事業というのは必ず寿命がある」という考え方をしているので、常に新しいことにチャレンジしていくということが基本方針でもあります。そして、そのためには人を育てなければならない。そこがベースになっていますね。

 

社長は、普通の会社だと寿命は20年ぐらいだという話をされるのですが、当社は中期計画の中でも百年企業ということを掲げています。しかし、それは単純に通過点であり、その後も脈々と続けていくことを目標にしています。そういう意味では人を大切にするということを基本におかないと、目標は達成できないということが社長の信念でもあります。

―続いていくというところが、大切なことなんですね。

 

(大原常務)それから、これは日本経営開発研究所に教育を頼んだきっかけでもあるのですが、昭和40年代、他社と同じように当社においてもストライキなどがあり、経営者として相当悩んだ時期があったんですね。その時に、企業人とは何か、運命共同体としての企業と社員の関係を社員に理解してもらって、全員がベクトルを合わせていかないと企業の発展はないと考えたのです。

 

先ほど説明したようにチャレンジ精神も必要だと思っていますが、やはり基本となるのは企業人としてどうやって社会に貢献していくのかという考え方だと思います。その辺りの理解を新入社員の頃からやっていかないなといけないと思ったんですね。それ以来、ずっとこの研修(錬成講座への派遣)を続けてきたんです。

 

 

企業人としてのベースの重要性

―そういう意味では、貴社は弊社以外の外部による研修も活用していらっしゃいますが、弊社の錬成講座はベースになる部分なのですかね?

 

(大原常務)そうですね。技術などの知識・スキルについては、他社の研修も活用しています。そういったものとは別として、やはり、企業人とは何か、社会における企業の位置づけなどは企業活動をしていく上でベースとなる部分ですから、我々としても引き続き重要視していきます。新入社員の時から頭に入れてもらいたいという想いが強いですね。

 

―今の世の中、すぐに役に立つものを求め、それによっていくら売上が儲かるのかという話が注目されがちですが、貴社では企業人としての「考え方」がまず大切だと考えているんですね。

 

(橋爪執行役員)目的別の研修と企業人として持っているべき考え方の研修とでは位置づけが違います。企業人としてあるべきものがないと、いくら目的別の研修をやっても身に付いていかないと思います。

また、そのようなベースがないと、いくらスキルを身に付けても物事に対してちゃんとした判断ができないとも考えています。他の目的別の研修に参加しても我が社の社員は他社の社員に負けていないという自負がありますが、それは、軸を持っているからだと思います。

 

―実際、錬成講座に参加する受講生の中にも、「自分は知識がない、世間のことをあまり知らない」という受講生もいます。でも、日常業務に直接必要な専門知識は勉強するんですよね。その差は結局、関心があるかどうかだと思います。

「自分が企業人としてどうしたいか、どうありたいか」というものを持っていれば、自然と自分から学ぼうとするものだと思います。そういう意味でも、ベースとなる部分は大切だと私も思います。

(橋爪執行役員)これからの時代、そのベースになる部分が一番大切だと考えています。一般的な知識・スキルは研修を受講させればある程度身に付きますが、それだけではダメで、「自ら学ぶ」という姿勢を習慣づける。これが大切だと思っています。

 

―貴社が最初に錬成講座に参加されたのは昭和何年頃ですか?

 

(橋本執行役員)先ほどの話にあったように、労使対立があったことが組合事務所に行ってもわかる頃ですから、昭和50年代の中頃ですね。

 

―確かに、労使が対立関係にある中では、社員も企業に貢献しようとは思わないですよね。企業が社会を豊かにする存在であること、企業と社員は運命共同体であるということ、企業に貢献することは、結局、自分のためであるという理解に至ってもらわないと、「会社に都合が良いように使われているんじゃないか?」みたいな話になってしまいますよね。

(大原常務)ガバナンスコードやコンプライアンスも同じ事が言えますね。企業とは何か、どうやって社会貢献したらよいかという考えがないと、技術的なところだけで防ごうとしても限界があります。企業の中で何がしたいか、というところをつかまえるのが本筋だと思います。

 

―弊社でも企業からの要請でコンプライアンス研修を行っていますが、その研修の中で、内部で不祥事が発覚した際に「どのような対応をすべきか?」というようなケース課題に取り組んでもらうと、その会社で優秀だと言われている社員が、詳細にメリット・デメリットを分析し始めるんですね。

しかし、そういう人に対して私は違和感を覚えます。メリット・デメリットを分析するという事は、結局、メリットがあるならやるという話、損得勘定みたいな話になるんです。本当は正しいかどうかの判断が先にあり、その後、デメリットを如何に最小限に抑えるかを考えなければならない。知識・スキルや単なる論理的思考力だけだと、道を外しかねない。論理的思考力よりもその前に大切なものがあると思います。

 

(橋爪執行役員)今一流企業でも不祥事で問題になっていますからね。やはりベースになるところがしっかりしていないと、判断する基準自体を間違えることになると思います。

 

 

技術環境の変化に対応できる人材育成

(大原常務)また、育成という点では、技術環境の変化に対応できる人材をどうやって育てていくかということも大事だと感じています。今、IT、ロボット技術や人工知能など技術環境の変化が激しいので、そうした変化が会社経営にどのような影響を及ぼすのかということを見極めて対応していかなければ、この2、3年は良くても、5年先、10年先、企業は存続していくことが難しいと思います。

 

―貴社はもともと新しい事をやってこられた企業だと思いますが、もっと新しい事にチャレンジしていかなければならないということですね。

 

(橋爪執行役員)会社自体が変わっていかないとダメですよね。ですから、人事部門としても時代に合わせて人材を育てていくこともしていかないといけない。単に今までの教育を続けるだけでなく、AIやIoTといった技術を駆使できる人材を、採用して育成していかなければならない。だから人事部門自体も変わっていかねばならないと考えています。

 

―AIやIoTを駆使できる人材の要件とは何でしょうか。

(橋爪執行役員)我々も今それを探求しているところですが、結局は、自分が会社に入って何を実現したいかという「想い」があるかどうかだと思います。今、採用は売り手市場なので、自分がこういうことをやりたいと言う学生は多いですが、そうではなくて、会社として何が実現したいのかということを考えられると、また見える世界が違ってくると思います。

 

―確かに、入社してこんなことをやりたいという想いは、それはそれでいいと思いますが、それでは自己実現のレベルが低いと思うんですよね。

 

(橋爪執行役員)そうなんですよね。それで合わないと思うと残念なことに会社を辞めてしまうというケースもあるんです。折角、入社したのだから、辞めるのではなく、逆にこの会社を一緒に伸ばしていってもらいたいという想いがあります。

 

―人間、一人でできることなんて知れているわけじゃないですか。企業という器を使えばもっと大きなことができるんですよね。社会にだって貢献できる。そこの魅力を感じてもらうと良いなと私も思います。寄らば大樹の陰みたいな気持ちで企業人という人生を生きるというのではもったいない。せっかく企業人という道を選んだのだから、企業を活用して人生をもっと楽しむことが実現できたらいいですよね。

 

 

「知識」を学ぶのではなく、「自ら考える」ことを学ぶ

ー橋爪さんは、新入大卒、若手リーダー、管理職の3回の錬成講座を受講されていますよね。一番思い出に残っていることは何ですか?

(橋爪執行役員)やはり新入大卒の時ですね。「運命共同体」、そんなこと初めて知りました。それはインパクトありましたね。

 

―錬成講座は他の会社からも人が集まってくるじゃないですか。そのあたりについてはどうですか?

 

(橋爪執行役員)大卒で同じ研修を受けるじゃないですか。皆、スタンスが違うんですよね。その時に思ったのが、会社を代表して来ているという気持ちもありましたね。他の会社に負けてはいけないとも思いました。

 

―そういう意味で、錬成講座の段階を重ねていくと何か変わりました?

 

(橋爪執行役員)上になればなるほど看板を背負っている感じはありますよね。発言は意識しているわけではないのですが、他流試合をやっている雰囲気ですよね。こういうことが人を育てるんだなと思いまいた。考え方も会社内と外部、企業風土では違うんだなと思ったり、考え方の違う人と触れ合うというのは面白いですよね。

 

それから、若手リーダー錬成講座について思い出すのは、「リーダー」という定義ですよね。そこを自分の中でどういうふうに置くかということなんですけれども。そこをしっかり自分で考えていかないとダメだなと思いました。そういう意味で、自分で錬成講座は考えるという力をつける講座なのかなと思っています。

―新入大卒の講座で貴社の受講生が研修最終日に「この研修は知識を学ぶ研修だと思って参加しましたが、考えることを学ぶ研修だということがわかりました。」と話してくれました。それは錬成講座のあるべき捉え方で、「リーダーって何だろう」「自分が目指すリーダーって何だろう」と考えて掴んでもらう研修であり、「場」なんですよね。

 

(橋爪執行役員)たぶん正解というのはないんですよね。自分がどういうふうにありたいか、将来どういうふうにありたいかと「考える」ことが一番大切なんだと思います。

 

(大原常務)「自分で考える」ということは重要だと思います。上からの指示に従うばかりではなく、自分の頭の中で整理して、どうすべきかを考える。冒頭、AIの話もしましたが、今の自動運転技術などは3、4年前には想像もできませんでした。我々のような年齢層にはやはり理解するのに無理がある。だからこそ30代、40代の社員には特に頑張って欲しいと思います。

 

 

グローバルな志向を持ってほしい

―そういう意味では、「自ら考える」という「思考力」については錬成講座で今後もフォーカスしていきたいと思います。他に錬成講座で期待すること、要望などはありますか?

(橋爪執行役員)自分の会社の中にいるだけではなくて、外に出ないとダメだなと思います。弊社は海外にも拠点があるんですね。しかし、若い人たちはあまり行きたがらないんですよ。せっかくチャンスがあるのに、何故チャレンジしないのかと思います。若い人にとって自分で経験するということは良いことだと思うので、チャレンジするマインドを持ってもらいたいですね。

 

(大原常務)昔は、海外に行っていろいろ開拓するというのが社会的な雰囲気だったのですが、今、目の前のことだけ見ていると、そういう必要もないんでしょうね。確かに、海外に行かなくても生きていけると思うんですけれども、本当にそれで良いのか心配な部分もありますね。

 

―マスコミは日本の将来に対して暗い話しかしないので、将来的な明るいイメージは持ちにくいですが、今現在の生活という面では意外と満ち足りているんでしょうね。単に生活できるという以上に実現したいものに気づく。そして、企業にいるというとはすごいチャンスなんだと。企業をうまく使ってもらえるようになればいいと思いますね。

 

(橋爪執行役員)その辺りを錬成講座でも刺激してもらうと助かります。

 

(大原常務)今後はメキシコにも駐在員を置く予定です。もっとグローバルに活躍してもらいたいという想いがありますね。

 

(橋爪執行役員)海外に行けば、好きなことができる(笑)。自分の判断できる。そこが一番魅力ですよね。

 

―橋爪さんは上海に駐在されていましたよね。実際に上海に駐在してみて、いかがでしたか?

(橋爪執行役員)やはり、生活してみると、現地の人は育った環境が違うし、色々な制度も違う。一緒に仕事をするのも、言葉の壁がありますので、最初は難しいと思いました。しかし、一度仲良くなってしまうと、会社を超えたところで助けてくれたり、欲しい情報をくれたりしてくれたり。一対一で腹を割って色々な事を話せると、皆良い人だなと感じられるようになります。

 

―体験しているうちに思っているほど大変じゃないということに気付くのかもしれないですね。

 

(橋爪執行役員)場所が上海と日本というだけで、やっていることは変わらないですからね。日本でも人と人とのコミュニケーションは必要ですし、上海でも一緒だと思います。

 

―改めて、お忙しい中貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。タカノ株式会社様の「人が企業のすべてである」という基本理念や、人材育成に対する「想い」を良く理解することができました。我々としても、しっかりと貴社の人材育成をサポートしていきたいと思います。

 

こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。

タカノ株式会社

1941年創業。「百年企業となる~常に革新・進化し続ける~」をスローガンに定め、これからもなお一層社会から必要とされ、感謝される存在であり続けるための活動に、グループをあげて取り組んでいる。

 

住所:長野県上伊那郡宮田村137

電話番号:0265-85-3150

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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