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統制と自由:インドネシア

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こんにちは!栗原誠一郎です。

インドネシア中部のスラウェシ島で地震

9月28日、マグニチュード7.5の地震が発生し、津波が発生、1,200人以上が死亡したと報道されています。まずはお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

 

超渋滞都市ジャカルタ

前回記事でお知らせしたように、インドネシアを実際に見てきました。

現在、インドネシアに赴任している前職時代の同僚に空港から市内まで車で送ってもらったのですが、まず、最初の驚きは渋滞の凄さでした。

3月にカンボジアを訪問した際も状態がひどいと思いましたが、別次元の渋滞です。

車が渋滞しているところに大量のバイクがその隙間を縫うように進んで行くので、バイクでもスムーズには走れません。

歩いて15分のところを車で3時間かかることもあるそうで、半端ではありません。

そんなに渋滞するなら車に乗らなきゃよいのではと思いましたが、ジャカルタは治安も悪く、また、そもそも歩道が整備されていません。なので、ジャカルタ市民の移動手段は車かバイクです。

現在、自動車ナンバープレート末尾の数字で主要道路への進入可否を判断する奇数偶数制度を導入しているそうですが、実際に渋滞を目撃してみると、その効果はさほどないように見えます。

警察が一応監視していますが、賄賂を払えば見逃してくれるとのことですし、お金に余裕のある人々は奇数番号と偶数番号の車を2台所有し使い分けているとのこと。

この辺の事情も実効性を下げているのかもしれません。

しかし、このような渋滞が起きるお陰で、警察官でもないのに勝手に交通整理をして、チップをもらって生活している人もおり、旅人視点でみれば面白いとも言えます。

 

急速に高まるモータリゼーション

さて、何故このような渋滞が起きるのかと言えば、一つはモータリゼーションが急速に進んでいるからです。

一般的に一人当りGDPが$3,000を超えるとモータリゼーションが加速すると言われますが、インドネシアの一人当りGDPが$3,000を超えたのが2010年、ジャカルタに限って考えればもっと早いでしょう。

政府も、低価格・高燃費(Low Cost Green Car)に対する減税政策を2013年度から実施し、更に自動車の普及率は高まっています。

 

都市計画の遅れ

もう一つの渋滞の理由は都市計画の遅れによるものです。

近年になってやっと公共交通の開発が進み、空港から市内には電車が開通。2019年には地下鉄も開通する予定ですが、そもそも道路網自体も都市の規模の割に整備されているとは言えません。

実際、車に乗って外を見ていると、そもそも大都市のわりに道路そのものが狭いように感じました。

また交差点も少なく、道を挟んで隣の建物に移動するにも、かなり先の交差点まで進んでUターンしなければならないなど、道路の作り方自体にも問題があります。

色々調べてみると、いままで公共交通開発が進んでこなかった理由として、土地収用の難しさがあることがわかります。

元々、インドネシアの土地は基本的に国家のものという前提があります。

長期政権だったスハルト政権時代にはその前提に基づき強制的な土地収用を行っていましたが、その後、民主化が進むと、権利意識が高まり土地収用が困難になったのです。

インフラ整備のための土地収用法が2012年に整備された今でも、土地収用の困難さは公共交通の開発のネックになっています。

 

統制は悪か?

前述のカンボジアのように、近年、独裁政権化により民主主義が後退しているアジアにおいて、インドネシアは珍しく民主主義が生き残っています。

現地で聞いてみると、カンボジアのように政権批判をSNSで投稿したら翌日には警察に捕まるなんてことはありえないとのこと。

一方で、都市計画を進めようと思えば、国家による統制も必要になります。

昔はよく中国で政府による土地の強制収用により住民がひどい目にあっているというニュースを見ましたが、国家全体の為(良い言い方をすれば、最終的には国民全体の為)には、個々の国民の無制限な権利の主張には制限を掛ける必要もあるでしょう。

勿論、真に民主的に成立した法律と政権によってという大前提はありますが、どこまでの権利の主張に制限を掛けるべきかについては判断が難しいところですね。

さて、インドネシアについては、1回の記事では説明しきれませんので、続きは次回以降の記事でのお楽しみとさせて頂きます。

では、また。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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