現在、日本では多くの企業がCSR活動に注目し、取り組んでいます。そのCSR活動を行っている企業は、SDGsの目標である持続可能な社会を実現するために様々な取り組みを行っています。
しかし、実際にSDGsとはどのようなものなのか、SDGsとCSR活動をどのように結びつけて社会問題解決に取り組んでいるのかわかりませんよね。
そこでここでは、SDGsとCSRの活動を行っている企業がどのようなことを行っているのかについて紹介していきます。
SDGsとは…
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて採択された17のゴールと169のターゲット、232の指標のことです。
上の図を見てもわかるように、SDGsは環境、教育、資源、衛生など地球全体が協力して解決すべき課題が網羅されています。
これは、150を超える加盟国首脳の参加のなか、全会一致で採択され、2016年から2030年までの国際目標として掲げられました。
SDGsは人間の安全保障の理念を反映し「誰一人として取り残さない」(leave no one behind)ことを強調しています。
ジャパンSDGsアワード
2017年6月に行われた第3回SDGs推進本部の会合において創設された「ジャパンSDGsアワード」。
これは持続可能な開発目標達成に向け、国内外において優れた取り組みを行う企業、団体などを表彰するものです。
NPO、NGO、有識者、民間セクター、国際機関などの様々な関係者が集まるSDGs推進円卓会議構成員から成る選考委員会の意見も取り入れて決定されます。
また表彰の内容としては、優れた1案件を総理大臣によるSDGs推進本部長表彰、他の4案件を官房長官・外務大臣による副本部長表彰とし、その他、特筆すべき功績があったと認められる企業や団体があった場合、特別賞を付与する場合があります。
選考の基準は、普遍性、包摂性、参画性、統合性、透明性と説明責任の5つの選考項目を4段階で評価し選考します。
ジャパンSDGsアワードで表彰された団体の取り組み〜その1〜
第1回ジャパンSDGsアワードでは、282の企業や団体が応募したなか、12組織が受賞しました。
SDGs推進本部長賞は北海道下川町が選ばれ、SDGs推進副本部長賞では特定非営利活動法人しんせい、パルシステム生活共同組合連合回、金沢工業大学、サラヤ株式会社、住友化学株式会社の5組が選出されました。
他にも特別賞では、吉本興業株式会社や株式会社伊藤園などが選ばれています。
サラヤ株式会社の取り組み
サラヤ株式会社はCSR活動の1つとしてSDGs(持続可能な開発目標)の達成を企業理念に取り入れ、世界の衛生・環境・健康の向上に貢献しています。
サラヤ株式会社は、2004年からボルネオ島・サバ州において生物多様性の保護と持続可能なパーム油の活用に取り組んでいます。ボルネオ島はかつて広大な低地熱帯雨林が広がっていました。
しかし近年ではプランテーションの開発にともなって、わずか50年ほどの間にボルネオ島全体で40%もの面積が消失しています。
また、これが原因で希少な野生動物が減っていっている現状があります。このことを受け、作られたのがRSPOです。
これは、「持続可能なバーム油のための円卓会議」の略で世界規模の非営利組織団体です。
サラヤ株式会社はRSPOに加盟し、RSPO認証油であるパーム油を製品づくりに使用しています。
他にもアフリカにあるウガンダで100万人の手洗いプロジェクトを始めました。ユニセフと連携し、子供達の命を守る手洗いを普及するために活動しています。
また、ウガンダでSaraya East Africaを設立し、ユニセフの支援だけでなくビジネスを通じた衛生事業を開始しました。
現地生産の消毒剤やその使用方法を含めた衛生マニュアルの提供などをしています。
ジャパンSDGsアワードで表彰された団体の取り組み〜その2〜
第2回ジャパンSDGsアワードでは、247の企業・団体が応募し15組織が受賞しました。
SDGs推進本部長賞は株式会社日本フードエコロジーセンターが選ばれ、SDGs推進副本部長賞では日本生活協同組合連合会、鹿児島県大崎町、一般社団法人ラ・バルカグループ、株式会社LIXIL、特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS、会宝産業株式会社が選出されました。
前回の第1回ジャパンSDGsアワードに比べ、受賞した組織の数が増え、受賞団体の半分以上が企業という結果になり、多くの企業がCSR活動としてSDGsの目標達成に向けて具体的な取り組みを行っていることがわかります。
株式会社日本フードエコロジーセンターの取り組み
株式会社日本フードエコロジーセンターは、主にゴミ処理と畜産経営の問題解決に取り組んでいます。
ゴミ処理の問題では、現在、焼却炉で燃やされている約半分が食品廃棄物であることや化石燃料の高騰が課題となっています。
また、畜産経営では、輸入飼料原料価格が高騰しており、畜産経営コストが高いことが問題となっています。
これを解決するために、食品廃棄物を有効活用するリキッド発酵飼料(リキッド・エコフィード)を産学官連携で開発しました。
国内で生じる食品の残りから良質な飼料を製造し、輸入飼料の代替をすることで飼料時給率の向上とともに、穀物相場に影響を受けにくい畜産経営を支援し、食料安全保証に貢献しています。
また、株式会社日本フードエコロジーセンターの飼料を一定割合以上用いて飼養された豚肉をブランド化し養豚事業者や製造業、小売り、消費者を巻き込んだり、食品廃棄物を排出する事業者の CSR の取り組みへとつなげることで、食品リサイクル事業を通じた循環型社会の形成に貢献しています。
まとめ
このように、CSR活動でSDGsに取り組むことはビジネスとして利益を生むだけでなく、社会課題の解決に役立っています。
また、企業がSDGs(持続可能な開発目標)を取り組む必要がある理由として、ESG投資家などのステークホルダーが企業価値を評価する際に、SDGsを共通言語にしていることが挙げられます。
このことから企業は、SDGsに基づいた事業戦略を外部に発信することが重要であると考えられます。
参考文献
外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/award/index.html外務省https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/about_sdgs_summary.pdf
第1回ジャパンSDGsアワード受賞団体https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/japan_sdgs_award_dai1/siryou2.pdf
第2回ジャパンSDGsアワード受賞団体https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/dai6/siryou2.pdf
SARAYAホームページ
https://www.saraya.com/株式会社日本フードエコロジーセンターホームページ
http://www.japan-fec.co.jp/認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパンhttp://www.bctj.jp/3minutes-palmoil/
日本フードエコロジーセンターの取り組みと「SDGs」
http://www.japan-fec.co.jp/img/JFEC-SDGs.pdf第2回食品産業もったいない大賞http://www.jora.jp/mottainai2/pdf/05Japan-fec.pdf
筆者:綾部菜香
大学で国際協力(SDGs)、防災、企業のCSRについて研究。世界をよくするためにボランティアという支援という形ではなく、ビジネスを通して社会の課題解決につなげたいと考えており、活動中。