こんにちは!栗原誠一郎です。
組織問題の解決手法NVC
NVC(Nonviolent Communication:非暴力コミュニケーション)とは、世界中の紛争地域で問題解決のための活動を行ってきたアメリカの臨床心理学者マーシャル博士が開発したコミュニケーション手法です。
観察・感情・ニーズ・リクエストの4つの段階に分けて、 コミュニケーションで起こっている問題やズレを整理・解決していくというものです。
そして、今、このコミュニケーション手法は上述した紛争地域の問題解決だけでなく、企業の組織内の問題に対する解決手段としても取り入れられ始めています。
コミュニケーションで起こっている問題やズレにアプローチする訳ですから、状況の違いはあれど、活用できるという訳ですね。
NVCの世界観
NVCでは、人間のあらゆる行為・行動はその人の生命力(=ニーズ)を満たすためのものであると考えます。
ここで言うニーズとは、例えば、受容、尊厳、帰属、自主性というような言葉で表されるもので、人間の生きる活力につながるものです。
したがってニーズ自体は人であれば皆持っているものであり、どんなニーズも否定されるものではありません。
ところが、人間は人それぞれの異なるニーズに基づいて行動するために、相手と自分の行為のズレが起きてしまいがちです。
そしてそのズレを放置していると、そこから問題が大きくなっていくのです。
したがって、異なるニーズを理解し、お互いのニーズを満たす最適解を見つけることが問題解決に必要なのです。
自己共感
このNVCの世界観からすれば、他者のニーズへの理解が必要ということに当然なる訳ですが、これが実際は難しい。なぜならば、我々は自分自身のニーズも実は理解できていないからです。
先述したように人間は自分のニーズを満たすために行為・行動をする訳ですが、ニーズが満たされているかどうかは「感情」という形で現れてきます。
ニーズが満たされればポジティブな感情として、満たせていない場合はネガティブな感情として現れるのです。
そしてこの感情から、自分が満たしたいと思っているニーズが何かを明らかにしていくわけです。
我々は子供から大人になる過程で、社会の中で生きていく手段として、自分の感情というものを抑圧して生きてきてしまっているので、自分の中にある感情を探求するのが苦手になってしまっているのです。
なので、自分が満たしたいニーズは何だろうかとなると、自分の「感情」を「思考」を通じて整理しようとしてしまい、結果として自分のニーズ(のようなもの)を導きだしてはみるものの、「なんとなく違う」という感じになるわけです。
Don’t think! Feel.
そんな時、NVCのトレーナーがいうセリフが、「Don’t think! Feel.」(考えるな!感じろ)です。
自分のニーズを頭で考えて、答えをだそうとするのではなく、起きている事を「観察」した時、自分の体にどのような感覚が生まれているのか、ただそれだけに意識を集中させなさい。そうすると、ある瞬間、「あぁ、自分のニーズはこれだったんだ」と閃くのだと。
この話を聴いた時、思い出したのが座禅です。座禅を行う時、「雑念を捨て『無』になる」なんて言いますが、私なんて座って目を閉じた瞬間に雑念がどんどん出てきて全く座禅に集中できません。(笑)
そんな話をお坊さんにすると、「自分の呼吸に意識を集中しなさい」と言われます。呼吸に意識を集中するとは、息を吸い込んだ時、鼻が感じる空気の流れだったり、おなかが膨れたり凹んだりする感覚に意識を集中させることです。
そうすることにより心が穏やかになり、「悟り」に繋がるのだと。
正にNVCにおける自己共感のやり方と同じですね。
「感情」を客観的に味わいつくす
前述したように、我々は社会の中で生きるために、「感情」を抑圧して生きてきてしまっている訳ですが、それは「怒りを露わにする」「人前で泣く」など、「感情」を「表」に出すことはいけない事・恥ずかしい事だと言われてきたからです。
確かに、自分の怒りの感情を相手にぶつけるということは、相手にダメージを与えるため良くないことなのかもしれません。
しかし、「感じる」こと自体は本来だれにも否定されるようなものではないでしょう。
逆に自分の怒りの感情や悲しみの感情を体に起きる変化として客観的に味わいつくす。
そうすることで、心は穏やかさを取り戻し、感情を外にだしてしまうことも無くなり、そして、自分のニーズ対する「悟り」へと繋がるのだと思います。
言うは易し、行うは・・・という話ではありますが、日々、実践して行きたいところですね。
さて、皆さんは自分の感情にどのように向き合っていますか?