請求書クラウドサービスの仕組み

新型コロナウィルス感染拡大を機に、急速にテレワーク化が進んでいますが、その中でも請求書の処理はどうしても出社して処理しなくてはならないとして、一部の会社員は出社を余儀なくされています。

本当に請求書処理は紙での処理が必要なのでしょうか?そんな中、これを機に、クラウドサービスを活用した請求書処理のテレワーク化が注目されています。

テレワークで処理できない請求書処理とは?

日本では従来、請求書は紙で印刷し、捺印して郵送することが一般的です。請求書の担当者は、取引先に納品した際に受取のサインをもらった納品書を元に、請求データ(売掛データ)を作り、関係者に承認を貰った後、請求書を作り、郵便で取引先に発送します。

つまり、紙で処理し、承認印を貰う必要があるため出社が必要であるというわけです。

また、そもそも、請求書などの国税関係書類については、不正会計処理を防ぎ、法人税などの納税を公正化する目的から、過去7年間の紙での保存が義務付けられてきました。

どうしても、紙を使用する必要があったわけです。

請求書クラウドサービスの普及の背景

そんな、法律を根拠にした伝統的な日本企業の紙処理文化は、コンピュータやインターネットの普及に伴い、大きく変化しています。

法律の規制緩和

請求書の電子化は、法律面からも緩和されつつあります。1998年に施行した電子帳簿保存法では、それまで紙の保存が義務付けられていた国税関係書類に関して、電子データでの保存を認めるようになりました。

また、2005年にはe-文書法が施行され、企業が扱う国税関係以外の書類も電子化が認められるようになりました。

しかし、請求書データの電子化にはまだまだ細かな規制も多く、進展していませんでしたが、近年では、電子化対象の取引額の制限を緩和したり、改ざん防止のための電子的なタイムスタンプの要件を緩和したりして、更なる規制緩和が進み、法律面からも取り組みやすくなっています。

政府や民間企業の取り組み

2020年12月、企業間でやり取りが行われる請求書について、政府と会計システム企業約70社が協議し、請求書データの完全デジタル化を目指して、国際規格を導入する検討に入りました。

共通の仕様のデータを利用すれば、システム上で自動的に請求書のやり取りが行われるようになります。2022年10月をめどにサービスを開始し、23年度中に日本全体での普及を目指すとのことです。

BCPの実効性を高めるツールとして注目

近年、地震や豪雨などの自然災害で企業活動がストップするケースが頻発しています。そんな状況に備えてBCP(事業継続計画)の事前整備が求められています。

BCPの主な目的は災害時にも製品やサービスの供給をいち早く回復させることですが、その実効性を高めるツールとしても請求書処理のクラウド化は有効です。
災害に遭ったとしても、インターネット環境さえあれば企業間の決済処理が進むからです。

どんな状況下でも、信頼される企業として認知度が高まっていくでしょう。

請求書クラウドサービスの仕組み

請求書を電子化するとは、一体どんな仕組みなのでしょうか?システムを導入する前に、その方法やメリットを明確にしていきましょう。

一般的に請求書処理のクラウドサービスは、システム会社の持つサーバーを使って請求書の発行、取引先への送付を行います。

そのため、特定のシステムをインストールする必要が無く、インターネットに常時接続できる環境さえあれば利用できます。

請求書クラウドサービスのメリット

コストダウン

クラウド化した場合に最も大きいメリットです。請求書の紙代や印刷費、郵送料、請求書の保管場所のスペースコスト、請求書を折り込み、封入する人件費など、大幅に削減することが可能になります。

スピード化

請求書を紙で印刷して郵送する場合に比べて、処理スピードは格段にアップします。

基幹システムへのデータ処理

請求書を電子化する際、CSVデータなど、会計システムで取り込める形で受け取れば、再入力などの手間も省けます。

共有、検索のし易さ

請求書を電子化すると、内容を検索することが簡単になります。パソコンからキーワードを入力するだけで画面に表示されるため、取引先からの問い合わせや、税務調査などにもスピーディーに対応できるようになります。

保管性、セキュリティの向上

紙の請求書は場所を取るだけでなく経年変化して見にくくなったり、紛失や破損したりする恐れもありますが、データにしておくと一定の品質でバックアップもしやすく、安全に保管することが出来ます。

請求書クラウドサービス導入のポイント

国の方針や法律の規制緩和に伴って、数多くの請求書クラウドサービスが生まれています。

サービスの導入にあたってのチェックポイントを考えてみましょう。

法律規制をクリアしているサービスか?

電子化された請求書データを活用する場合、e-文書法や電子帳簿保存法で定められた要件を満たしているかを確認する必要があります。

具体的には、請求書データの「真実性」を確保するため、電子署名やデータの中に作成や更新がされた日付と時刻を証明する仕組みがあるか?などです。

取引先の同意が得られる仕組みか?

請求書処理は取引先あっての重要な業務です。サービス導入をするにあたって必要な機器やシステムの導入をしてもらえる可能性があるかどうかの確認は必要になります。

一部だけクラウドで一部は従来の手書きでとなると、かえって不効率になる場合もあります。

安全で簡単な運用が出来るか?

請求書処理は企業間の信頼を表す重要な業務です。内容の改ざんや紛失が無いシステムは最低限です。

しかし、専門知識が無くても比較的操作方法が容易であれば、さらにテレワーク化がしやすくなります。

また、押印に代わる承認プロセスが付加されていると、決済者も出社しなくて済みます。国や公的機関などのセキュリティ認証を受けていることも重要なポイントです。

コストパフォーマンス

請求書のクラウドサービスの費用は、取引先情報などの設定に必要な初期費用と、月額利用料から構成されているケースがほとんどです。今後の事業展開や操作性、セキュリティ面も総合的に考えてコストパフォーマンスを比較しましょう。

システムの拡張性

請求書の電子化だけでなく、出来れば会計システム(買掛・売掛)へのデータ取り込みまで出来ると一気に電子化が進み格段に業務効率がアップします。どこまでの拡張性があるのかもチェックしておきましょう。

まとめ

テレワークが普及するにつれて、出社しなければ処理できないと言われる業務が明らかになりつつあります。今回の請求書の他にも営業活動や経費精算など、「従来はこれで良かった」言われる業務です。

しかし、感染症の拡大という、未知の難題に立ち向かう時、私達企業人は、柔軟性が問われています。どんな状況でも仕事が前に進んでいく仕組みに変えていく事は、BCPの観点からも非常に重要です。こんな時だからこそ、これまでの請求書処理方法を一から見直す機会にしたいものです。

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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