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インナーブランディングについて

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社員全員が会社のブランドを意識すること

ブランドの名称やロゴマークを作るだけで、ブランドが顧客に浸透する訳ではありません。

顧客の期待や信頼に応えられるように、一貫した製品やサービスが提供できるような体制が整っていなくてはなりませんので、企業で働く従業員がブランドを意識して働くことが重要となります。

インナーブランディングは、ブランドに関する社内の意識を統一して、従業員の行動とブランドの方向性を一致させるものです。

一般的な顧客向けマーケティングのアウターブランディングに対して、インナーブランディングはあまり対外的に宣伝されないために、その内容や重要性を認識する機会が少ないのですが、ブランディングを成功させるためには欠かすことのできないものです。

 

ブランドは自分とは関係ないと思っている社員はいませんか?

担当者はブランドについて深く理解しているけれど、一般の社員は自分とは関係のないことだと思っている。そんなことはありませんか。

実は、社員の働きぶりもブランドの一部。社員がブランドを意識して働くことはブランドを浸透させる上で非常に大切です。

一流ホテルや高級ブランドのショールームに行くと、サービスマンやスタッフは一流のホスピタリティを持っていますよね。

ブランドネームやロゴマークも必要ですが、ブランド構築には社員の協力も欠かせないのです。

インナーブランディングを実施するメリットはブランド構築だけではありません。

社員の働きがいをも引き出すことができます。

インナーブランディングでは何を大切にしている会社か、どんな思いで営まれてきた会社なのか、社員とともにブランドに対する理解を深めていきます。

あなたはこれまで「こんな対応をしてくれるとは、いい会社だな」と思った経験はないでしょうか。

インナーブランディングに成功すると、社員は自分もブランドを築き上げる一員だという認識を持ち、誇りをもって働くようになります。

ブランドの一番のファンになり、ブランドにふさわしいサービスや商品を提供できるように振る舞い始めるのです。

そうすると、顧客にもブランドの魅力が伝わります。よいブランドは社員からも愛されているのです。

ブランディングを成功させるためには顧客向けのブランディングと同じぐらい、インナーブランディングが大切なのです。

 

「何の会社か分からない」と言われないために

 一見、地味で効果も見えにくそうなインナーブランディングが注目されるようになったのはなぜでしょうか。

企業の事業領域がより拡大し、複雑化してくると、一貫したブランドイメージを持たせることは難しくなります。

本社と海外支店で、あるいは、アパレル事業と飲食事業のように領域によってブランドのイメージが違ったら、顧客は同じひとつのブランドとしては認識しづらくなってしまいます。

同じ会社としてコーポレートブランドをコントロールしていくためにはまず、さまざまな社員の意識を統一する必要がでてきたのです。

「ああ、あの会社ね」と理解してもらうためには、まず社員の理解から。

インナーブランディングが注目される背景にはそうした時代の変化があるのです。

 

人材の採用・社員教育のためのインナーブランディング

インナーブランディングは、ブランドの内容や価値を認識させる社員教育が始まりとされています。

重要且つ根本的なマーケティング問題としてブランドへの関心が高まり、その構築と管理のあり方が活発に議論され出したのは、1990年代に入ってからのこと。

その契機となったのは、米国において1980年代に登場した「ブランド・エクイティ」(brand equity)の概念でありました。

現在とは比較にならないような小さな規模で企業活動が行われていたために、ブランド名やロゴマークを決めるだけでも、ブランディングの成果が出ることも珍しくありませんでした。

しかし、企業の活動内容が拡大し複雑化するようになると、顧客に対する一貫したサービスが提供できなければ、ブランドが構築できない状況となりました。

そのため、ブランドを効果的に構築するためには、従業員の意識統一するインナーブランディングの必要性が理解されるようになりました。

インナーブランディングは、社員が誇りとやりがいをもって働くことができる環境をつくる効果が期待できます。

社員が活き活きと働くことで、より良い商品やサービスを提供することできるようになりますし、社員が離職するのを防ぐことにもつながります。

ですので、より効率的な企業経営ができるようになるのです。

また、 社員を採用する段階から、きちんと企業が構築しているブランドのことを説明し、一緒にブランディングをしていけるような人を採用するべきでしょう。

 

自社だけでなく、協力会社にもブランドを認識してもらう

現在ブランディングが成功している企業の従業員を見てみると、そのブランドに相応しい対応をしていることが分かります。

このような対応は、単にマニュアルなどを覚えて仕事するだけでは不可能であり、インナーブランディングによってブランドの本質を理解して自発的に行動をしなくてはできないことです。

そして、自社の社員だけではなく、仕事を発注する協力会社に対しても、ブランドの理解をしてもらうように努力をしなくてはなりません。

どのような内容であれ、自社の商品やサービスの一部を担ってくれる協力会社のすることは、顧客からはブランドの一部と認識されますので、ブランドの方向性と異なることがないように注意をする必要があります。

 

社員にブランドを理解してもらうために

ブランドブック

社員に企業ブランドの価値や目指す姿を理解させるために、ブランド構築活動の中で作成される社員向けの小冊子をブランドブックと言います。

社内ポスターや社員向けブランド研修とならんで、インナーブランディング活動3種の神器と位置づけられています。

初期のブランドブックは、狭義の社員(正社員)に企業ブランドの目指す姿を、正しく理解させることが主な目的でした。

しかし、インナーブランディング活動が社員の意識付けや啓蒙だけを目的とした活動から、日常業務でのブランド価値向上への貢献活動へと進化した今日、単なる理解のためのツールから、実践のためのツールへと位置付けが大きく変わってきています。

クレド

クレド(英:creed)は「信条」「志」という意味で、あるべき組織像や人間像を言語化したものです。

クレドと混同されがちなものとして「企業理念(ミッション・ビジョン )」がありますが、企業理念が目的地だとすると、クレドはチームが進むべき道を示すコンパスで、理念を達成するために必要な社員の行動規範などを示したものになります。

例えば、楽天の企業理念は「インターネットを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」です。

このように、企業理念が示すものは比較的抽象的であることが多いのですが、その理念を達成するために企業がとるべき行動を明確に表したものがクレドになります。

社員に自社のブランドの価値を理解してもらうためには、経営者やブランド担当者だけでなく、社員全員が共通の認識を持つこと、ブランドブックを作ること、クレドを作ることを推奨します。

著者:上田謙悟

中堅中小企業にとってますます重要となっているコンプライアンスに関して、単に法令を遵守するにとどまらず、企業活動の社会的な責任を果たし、従業員のポテンシャルを引き出し、モチベーションを高め事業展開を活性化していくシステムを構築し浸透させていくための方策などについて多くの企業に紹介している。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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