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POSシステム活用応用編「受発注・在庫管理」

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POSシステムは売上管理というイメージが強い機器ですが、実は単品管理が出来ることで、受発注や最適な在庫管理が可能になります。POSシステムを活用した受発注・在庫管理の仕組みとメリットについてみていきます。

POSシステムと受発注管理の関係

単品出数が分かることの重要性

POSシステムで単品ごとの出数が分かるということは、売上の分析と言う販売面での効果の他に、在庫管理面では「出庫数」が分かるということになります。

在庫管理とは物の出入りの管理の事でありPOSシステムはその管理の一端も担っているということになります。

入庫データの取り込み

商品が出庫するデータはPOSから得られることがわかりましたが、入庫するデータは入庫した商品のバーコードを読み取ることで行われます。

POSシステムに接続しているバーコードスキャナーと似たような読み取り装置で、どの商品が入庫されたかを把握します。

その場合、商品一個一個をバーコードスキャナーで読み取ることも出来ますが、通常は商品がたくさん入った段ボールの物流用バーコードを読み取って入庫データとします。

発注作業の効率化

入庫データと出庫データがリアルタイムに把握できるということは、理論上の在庫数量がいつでも分かるということです。

理論上の在庫が分かれば、発注作業が可能になります。発注時点での在庫と、発注から入庫までの期間の売れ行きを予測して発注量を決めます。この売上予測が非常に重要になりますが、

POSシステムにより過去の曜日や天候、地域の行事データなどにより、かなり高精度に予測が立つようになっています。特にコンビニエンス業界は予測精度では抜き出ています。

POSを使った受発注・在庫管理のメリット

「利は元にあり」と言いますが、仕入商品を適正に管理することは利益に直結します。
POSシステムを活用した受発注・在庫管理には、次のような様々なメリットがあります。

過剰在庫、販売チャンスロスの防止

在庫は現金と同じ意味があります。
過剰在庫の状態になると、多くの現金が動かない状態になるのと同じことになります。

そのため、過剰在庫は直ぐに企業の資金繰りを悪化させます。
さらに、過剰在庫は生鮮食料品を中心に廃棄ロスを発生させるため、利益も減少させます。

反対に過少在庫は欠品をもたらし、販売機会を失い、売上を減少させます。
そのことが何度も続くと、「あの店はいつも品切れしている」というイメージが固定化され、店舗への来店そのものが無くなります。すると、来店客数×来店頻度×平均客単価分の売上が消滅します。
これだけ店舗が乱立している昨今、十分考えられることです。

逆をいうと、POSシステムを活用して最適在庫をコントロールすることにより、収益を維持拡大させることが出来るということになります。

夢の自動発注も可能

定番商品で需要の変動が少ないものは、発注の完全自動化が可能です。

コンビニ各社のシステムには理想的な発注数量が表示される仕組みが既にあり、ほぼ表示通りの数量を発注しています。

ただし、最大手のセブンイレブンは完全自動発注には否定的です。担当者の考えを重視しているためです。

一方、日本マクドナルドでは随分前から発注を自動化しています。
考え方はそれぞれの企業で違いますが、最適在庫を維持し、受発注の手間も省ければ、利幅は広がっていきます。

サプライチェーンにもメリット

POSの売行きデータは商品の仕入先やメーカーにも提供されています。
小売店頭での売れ行きが分かれば、卸売業は最適な在庫量を計画できますし、メーカーとしても、自社の製品の売行きが分かれば、的確な生産計画が立てられますし、新製品の開発のヒントにもなります。

さらに、メーカーのその先の原材料メーカーや農家なども計画的な経営が出来ます。

つまり、POSシステムはそのチェーンの内部の効率化だけでなく、関連するサプライチェーン全体にもメリットをもたらしてくれるのです。まさにWin-Winの関係です。

POSシステムは大規模ネットワークの入り口

POSシステムを活用した発注データはストアコントローラを経由してチェーン本部へ送られます。

本部は発注データを仕入先別に編集しなおし、各仕入先にオンラインで送信しています。
従来は紙ベースで発注データを処理していましたので、本部の作業は大変でした。

しかし、今は店舗・本部・仕入先・自社物流センターを全てデータが移動しています。
そのことをEDI(Electronic Data Interchange 電子データ交換)と呼んでいます。

さらに近年では、出荷予定のデータを店舗のストアコントローラに事前送信しておくことで、検品すら行わない「ノー検品」という制度も始まったり、納品後の請求や入金などもデータ送信で行うペーパーレス化が進んだりもしています。

まとめ

POSシステムを使った受発注と在庫管理の仕組みをみてきましたが、いかがだったでしょうか?

POSシステムは会計時間の短縮や売上げ分析など、どちらかというとフロント部分で活用するというイメージが強い機器ですが、実はバックヤードで最も大切な受発注や在庫管理、サプライチェーンにも繋がっているという事実は、意外に知られていません。

正にPOSシステムの多面的な機能を表しています。

次回は、店舗内で生産性を高めるためのツールとしての活用方法についてご紹介していきます。

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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