部下の様子がいつもよりおかしい、やる気がないように見える。このように感じたことはありませんか?これは部下が無意識のうちに発している「辞めそうなサイン」なのかもしれません。
せっかく育ててきた部下の退職は、上司自身のやる気を削ぐだけではなく、チームの生産性にも関わります。結果的には、会社自体の損害につながることも考えられるでしょう。
だからこそ、部下が辞めそうだと気付いたときには、迅速な対応が必要とされます。しかし、一言で部下が辞めそうだといっても、どのような言動が辞めるサインになっているのかを見極めるのは難しいもの。
そこで本記事では、会社を辞めそうな部下が出しているサインを始め、上司が取るべき対応まで詳しく解説していきます。適切なマネジメントを行うためにも、ぜひ最後まで参考にしてください。
会社を辞めそうな部下が出すサイン
まず、部下が辞めそうだと気が付くためにも、一般的に辞めそうな部下が出すサインを知っておかなければなりません。ここでは、会社を辞めそう、辞めたいと考えている部下が出すサインについて解説します。
仕事へのモチベーションが下がる
今の職場をやめようと考えた場合、基本的に自身の問題解決や転職先の方に考えが向くため、全体的に仕事へのモチベーションが下がる傾向があります。
仕事の結果を出したり、上の役職を目指したりする必要性を感じられなくなるため、仕事へのやる気をなくしてしまうのです。結果的に、仕事への集中力が下がりミスを連発したり、生産性が下がったりするようになります。
これらを端から見ていると「やる気を感じられない」「モチベーションが下がっている」と感じられるのです。以前の働きぶりと違う部分が目立つようになった場合、会社を辞めようと考えている可能性が高いと考えられます。
挨拶・雑談をしなくなる
会社を辞めようと考えている部下は、社内におけるコミュニケーションを避けようとする傾向もみられます。原因としては、会社を辞めてしまえば付き合いがなくなる人間関係なので、仲良くする意義を見出せなくなるからです。
以前のように休憩時間に雑談をしなくなった、挨拶をしなくなった、仕事後の付き合いがおざなりなどの例が挙げられます。
社内における人間関係を大切にしなくなると考えると、すでに会社を辞める決意が固くなっている可能性も高まります。気が付いた場合は、できるだけ早い対応が必要になるといえるでしょう。
遅刻早退が増える・仕事を休みがちになる
遅刻早退の増加、仕事を休みがちになる原因は、大きく分けると3つの理由が考えられます。
- 面接など転職を見据えた動きをしている
- プライベート・社内の人間関係悪化
- 家族・本人の体調不良(メンタルの不調含む)
どれも退職につながりやすい原因といえるため、こちらも迅速な対応が必要になります。 原因によっては、適切な対応を取ることで辞めないよう引き留めることも可能です。普段の人となりはもちろん、面談などを設けて理由をしっかりと確認していきましょう。
以前より愚痴・不満が増える
すでに会社を辞めようと考えている部下は、愚痴や不満を口にしやすくなる傾向もみられます。今の職場に居続ける必要がないと考えることから、人間関係の悪化や上司から目を付けられることに頓着しなくなるのです。
また、すでに転職活動を進めていた場合、転職先との違いが目に付きやすいという原因もあるでしょう。エスカレートすると、他の社員に影響を与えることもあるため注意が必要です。
会社を辞めそうな部下の特徴
そもそも会社を辞めやすい部下にはどのような特徴があるのでしょうか?もちろん、会社を辞める原因は人それぞれですが、一定の特徴もあると考えられています。ここでは特に注意したい部下の特徴について解説します。
仕事ができる優秀な部下
仕事ができる優秀な部下であれば、自身の未来を考える頻度も多くなります。このことから、現状の仕事や成果に満足できない場合、より納得できる職場を探すための転職に躊躇が少ないのです。
また、資格を持っているなどの強みがあれば、転職先に困ることもないため、一つの職場に執着する必要もありません。このような人が辞めると会社にとっても大きな損失です。改善可能な不満を長く溜めさせないよう注意が必要です。
大人しくコミュニケーションが苦手
一方、大人しくコミュニケーションが苦手な部下の場合は、人間関係に悩んで退職を決心する可能性があります。コミュニケーションが苦手な部下の場合、同僚とうまく話せなかったり、上司からの些細な一言で深く傷ついたりするなどの例が挙げられるでしょう。
話しやすい環境を整えることや、日頃から積極的にコミュニケーションをとるなどの対応が必要になります。
部下が会社を辞めそうなときに上司が取るべき対応
では実際のところ、部下の会社を辞めそうなサインを見つけた場合、上司はどのような対応を取ればよいのでしょうか。対応を間違えると、その場で退職の意思を伝えられることも考えられるため、事前に適切な対応を確認しておきましょう。
部下の状況を確認する
まずはなぜ部下が辞めようとしているのか、考えられる原因や部下自身の状況を確認します。部下に対する評価基準や部下自身の成果が適切に評価されているのか、不満を抱えていないのかを知ることが大切です。
また、休みがち・元気がないなどの原因は、社内ではなくプライベートにある可能性もあります。事前に部下から申し出が出ていないかを併せて確認しましょう。
面談の場を設ける
事前に考えられる原因を探ることも大切ですが、結局のところ本当の理由は部下本人にしか分かりません。そのため、1on1の面談などを設けて、部下本人の気持ちを聞き出しましょう。
この際に大切になることは、いきなり「辞めようとしているのではないか」とストレートに聞かないことです。実際に辞めようと考えている場合、本音を話してくれる可能性は著しく低くなります。
一方、辞めようとまで考えていなかった場合、この一言で退職に気持ちを傾けてしまう恐れも出てきます。まずは、カジュアルに困っていることはないかなど、悩みや課題に寄り添うようにしましょう。
部下が直面している理由に合わせた対応を取ることが重要
面談を設けた際に、悩みや課題を打ち明けられたのであれば、次は実際に悩みや課題を解決するための対応を考えましょう。一例を挙げれば以下のような対応が挙げられます。
- 人間関係の悩み:部署異動など
- 業務の向き不向き・やりがいを感じないなど:部署異動・業務内容の変更など
- プライベート・体調に関する悩み:一定期間の休職を提案
なお、評価方法に関することなど、すぐの対応が難しいケースもあります。
このような場合は、部下が望んでいる対応をしっかりヒアリングするなど、対応していく姿勢を見せることが大切です。部下本人も、評価など会社の根本的なシステムを変えるには、時間がかかることは理解できます。
だからこそ、悩みや課題を放置せず「この上司に話せば理解してくれる」と思ってもらうことが重要になるのです。併せて、実際に変革が必要だと思える場合は、会社側に働きかけるなどの行動も起こしていきましょう。
部下の【辞めるサイン】に気付くために必要なこと
部下が出す会社を辞めるサインは、早期に気が付くほど対応方法が増えます。では、実際にサインにいち早く気が付くにはどのようにすればよいのでしょうか?ここでは部下が出すサインに気が付くため、日頃から必要となることについて解説します。
日頃からコミュニケーションをとる
手軽に始めることができる上に効果が高い方法は、日頃からの積極的なコミュニケーションです。なぜなら、部下が出すサインは普段と違った言動をとる、という形で現れるからです。
普段の言動を知らない状態では、どれだけ部下の言動が変わったとしても、変化に気付くことができません。毎日の挨拶や休憩時間の気軽な雑談など、日頃から積極的にコミュニケーションをとるように心がけましょう。
また、日頃からコミュニケーションを取っておけば、悩みや改善が必要なことが出てきた際に相談しやすいというメリットもあります。職場の雰囲気を整えることも、上司の仕事の一つとして、できることから始めていきましょう。
パルスサーベイなどアンケートの実施
部下との日常的なコミュニケーションは、部下が抱える悩みや問題、退職のサインを見つけるために大切なポイントです。しかし、忙しい上司にとって、一人ひとりの部下と細かくコミュニケーションをとるのが難しいことも事実です。
特に抱える部下が多い場合など、どうしても取りこぼす部下が出る可能性は高くなるでしょう。そのような場合に有効なのが、定期的なパルスサーベイなどのアンケートを実施する方法です。
定期的にアンケートを行うことで、現在の部下の気持ちと併せて、過去のアンケート結果との差異を確認できます。また、アンケートを行うことは、部下自身も自分の気持ちと向き合うきっかけとなってくれるでしょう。
退職サインに気付きやすい環境を作ることも重要
本記事では、辞めそうな部下が出すサインや、サインに気付いた後の対応、サインに気が付くために必要なことについて解説してきました。
部下の退職の意思に気が付くことや、そもそも退職を頭によぎらせないためには、日頃からの密なコミュニケーションをとることが重要です。しかし、上司として部下とどのようにコミュニケーションを取ればよいのかを迷ってしまうこともあるでしょう。
そのようなときは、上司自身も「上司として自分がどうあるべきなのか」を知らなければなりません。日本経営開発研究所では、次世代経営者練成講座として、人と人とのつながりを大切にできる企業研修を行っています。
「人間力を高めて部下と向き合いたい」「考え方の柔軟性や適応力を高めたい」と考えた際にはお気軽にご相談ください。