中堅中小企業におすすめの資金調達方法として挙げられるのが、「クラウドファンディング」です。
クラウドファンディングの市場規模は年々拡大しており、今後もその需要が伸びることが期待されています。
しかし、まだクラウドファンディングの仕組みや方法については知名度が低いのが事実です。
そこでこの記事では、クラウドファンディングの仕組みや種類、具体的なやり方についてご紹介します。
ぜひ、資金調達におけるご参考にしてみてください。
クラウドファンディングとは?
まずはクラウドファンディングの概要や仕組みについてご紹介します。
クラウドファンディングのサービス内容と仕組み
クラウドファンディングは、「大衆(クラウド)」から「資金調達(ファンディング)」をすることを目的としたサービスです。
つまり一般の方を対象に、自社に対する出資を募ります。
クラウドファンディングサイトというサイトを経由して自社をPRし、出資を募ることで賛同する人からの出資が得られるというものです。
手軽さや、拡散性の高さでいえば、今までにない革新的な資金調達方法といえるでしょう。
現に、クラウドファンディングを用いて億単位の資金調達を実現している企業もあります。
クラウドファンディングの展望
クラウドファンディングは2010年初頭から着実に市場規模を拡大しています。
2014年から2018年の4年間の間で、その市場規模は約9倍にまで成長しているのです。
2018年には2,000億円を突破しており、今後も需要の高まりが見込めます。
クラウドファンディングの決済方法
クラウドファンディングには以下のとおり2種類の決済方法があります。
・All or Nothing(オール・オア・ナッシング)方式
・All in(オール・イン)方式
All or Nothing方式の場合は目標額の資金が調達できなかった場合、資金調達がキャンセルされるというものです。
それに対しAll in方式では、目標額に満たなくても集まった分だけ資金調達ができます。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングにはいくつかの種類があります。
ぜひ、自社にはどれが合っているかチェックしながらご覧ください。
寄付型
1つめは寄付型です。
これは文字通り、支援者がプロジェクトの企画者に対して寄付を行ないます。
例えば環境保護活動や、国際協力の側面を持つプロジェクトに多いスタイルです。
寄付を受けた企画者は、支援者にお礼の手紙や活動報告などを送ります。
この形式でのクラウドファンディングは、社会貢献性の高い事業の資金調達におすすめです。
購入型
続いて購入型です。
購入型では支援者からの出資を受ける代わりに、商品やサービスをリターンとして提供します。
リターンは物に限らず、割引クーポンやサービス券などといったものでも問題ありません。
この形式でのクラウドファンディングは、商材を明確にアピールできる事業の資金調達におすすめです。
融資型
融資型は「ソーシャルレンディング」と呼ばれることもあります。
これはクラウドファンディングサイトが投資家から資金を集め、それをまとめて企業に融資するというものです。
投資家は定期的に分配といった形でお金を受け取ります。
ちなみにこれは融資なので、企業側はクラウドファンディングサイトに融資額を返済する必要があります。
この形式でのクラウドファンディングは将来性のある事業などの資金調達におすすめです。
株式型
株式型のクラウドファンディングもあります。
クラウドファンディングサイトを介して企業が出資者に株式を発行するというものです。
投資家は非上場企業の未公開株を手に入れることができるというメリットがあります。
ただし、企業側は年間で1億円未満までしか株式を発行できないので注意が必要です。
ファンド型
日本ではまだあまり普及していませんが、ファンド型というクラウドファンディングの種類も存在します。
これは企業がサイトを通じて投資家に出資を呼びかけ、投資を募るというものです。
融資型と異なるのは、企業の売り上げに応じて投資家の受け取る利回りが上下するという点。
さらに企業側は金銭だけでなく、商品やクーポンといった特典をリターンとして用意することも少なくありません。
ふるさと納税型
ふるさと納税型のクラウドファンディングは、主に地方自治体が用いる方法です。
ふるさと納税を用いて資金を募り、地域の課題や問題に取り組みます。
クラウドファンディングのメリット
ではクラウドファンディングで資金調達をすることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからはクラウドファンディングを使うメリットをご紹介します。
どんな企業でも資金調達ができる
クラウドファンディングを使うのに、一般的に厳しい条件や審査はありません。
そのため金融機関の融資に難航しているという企業でも、簡単に資金調達することができます。
準備に時間や手間がかからない
クラウドファンディングは思い立ったらすぐに始めることができます。
銀行の融資に必要な書類集めや、資料の作成などは必要ありません。このような手軽さも、クラウドファンディングの魅力です。
成功報酬型なので初期投資が不要
クラウドファンディングサイトの多くは成果報酬型です。
つまり資金調達が達成できるまで手数料が発生しません。
そのため、元手がなくても安心して始めることができます。
自社をPRできる
クラウドファンディングを利用することで、自社や自社商品のことを多くの人に知ってもらうことができます。
資金調達ができるだけでなく、こうした知名度向上においてもクラウドファンディングは魅力あるシステムといえるでしょう。
自社のファンが増える
クラウドファンディングでプロジェクトを立てると、それに賛同して出資をしてくれる人が多くいます。
どんどん情報を発信し、自社のことを拡散していけば、それだけファンも増えるでしょう。
クラウドファンディングをうまく利用すれば、企業としてのブランド力を高めることができます。
クラウドファンディングのデメリット
ただしクラウドファンディングはメリットばかりではありません。
利用する前に、そのデメリットも知っておきましょう。
目標額に達しない場合がある
当然クラウドファンディングでの資金調達は、100%成功するとはいえません。
現在、クラウドファンディングにおける資金調達の達成率は約30%とされています。
資金調達を成功させるためには、何より出資者にとって魅力を感じられるプロジェクトを立てることが重要です。
情報の発信や拡散をまめに行ない、多くの人に知ってもらう働きかけも忘れないようにしましょう。
企画倒れになると信用が落ちるリスクがある
目標額が達成されず、企画倒れになってしまうと企業としての信頼が損なわれる可能性があります。
また、目標の設定時点であまりに突飛な額を設定すると、支援者から不審に思われてしまいかねません。
目標額は現実的なものにとどめ、それを実現できるように働きかけましょう。
クラウドファンディングのやり方
最後に、クラウドファンディングのやり方をご説明します。
クラウドファンディングサイトは数多くあるので、一般的なサイトの一例としてご覧ください。
①プロジェクトを立案する
まずは自社でどのようなプロジェクトを打ち出すか検討します。
考えるのは以下のポイントです。
・資金調達の目標額
・資金の使い道
・リターンの内容
ここでは支援者が「出資したい!」と思えるような価値を作り出すことが重要です。
例えば温泉旅館の経営会社であれば、「1泊宿泊券を支援者へのリターンとして、旅館のリニューアルに必要な300万円の出資を募る」などといった例が挙げられます。
この際、リターンは支援金額に応じて複数設定できるものがほとんどです。
また、リターンを設定しない場合はプロジェクト自体の魅力や社会的価値をブラッシュアップしましょう。
②クラウドファンディングサイトを選ぶ
続いて自社に合ったクラウドファンディングサイトを選びましょう。
クラウドファンディングサイトの選び方については別の記事で詳しくご紹介していますので、そちらをご覧ください。
寄付型なら寄付型に強いサイトを、購入型なら購入型の案件を多く扱うサイトを利用するのがおすすめです。
③ユーザー登録を行い、目標金額を設定する
クラウドファンディングサイトが決まったら、ユーザー登録を行います。
クラウドファンディングのユーザー登録は無料です。
サイトの手順に沿って登録を行なったら、いよいよプロジェクトを設定します。
プロジェクトのタイトルや目標金額、説明文、決済方法の選択などといった項目の入力が必要です。
④プロジェクトの審査が通る
プロジェクトを設定した後、クラウドファンディングサイトが審査を行います。
この審査に無事通ると、いよいよ資金調達が始まります。
自社のことを知ってもらうために、どんどん外部へ情報を発信しましょう。
⑤出資者にリターンやお礼を返す
リターンやお礼の品を設定している場合、支援してくれた人には迅速に返礼品を送りましょう。
この際、お礼の言葉とあわせて目標達成に向けた熱意をもったメッセージを添えることでより目標額を達成しやすくなります。
クラウドファンディングで確かな資金調達を!
クラウドファンディングについてご紹介しました。
クラウドファンディングは中堅中小企業ならではの資金調達方法といえます。
資金調達達成に難しさを感じる方も多いかもしれませんが、コツを抑えて運用することで達成率は大幅に上がります。
目標額達成のコツについては別の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひそちらもあわせてご覧ください。
著者:金田こはる
現在、フリーランスライターとして活動中。これまでビジネスを中心とした記事を500本以上執筆した経験あり。自身の就業経験や転職経験を活かしながら、読者に寄り添うスタイルの記事を多数執筆。より多様な働き方や事業の在り方を広めるべく、積極的に情報発信を行っている。