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中堅中小企業の社会変化対応マニュアル

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巨大プラットフォームを利用する

▼中堅中小企業だけのQCDの限界を突破
Quality: プラットフォーム(PF)とエコシステムのサポート(ES)を利用してQにレバレッジをかける
Cost: PFとESを利用して規模の経済、速度の経済、範囲の経済を実現しコスト優位確立
Delivery: PFとESを利用してグローバル展開

▼規模の経済が効く業種は限られる
規模の経済が効くのは、巨大設備投資研究開発投資ぐらい(高炉、素材産業、自動車など)

▼巨大PFを利用するメリットは速度の経済、範囲の経済
高速でPDCAを回し速度の経済実現、QCD向上させ、範囲の経済に入れるビジネスを生み出す

巨大PFをチャネルとして利用

①目的
PFをチャネルとして利用し、deliveryの限界突破

②ビジネスモデル構築要件
要件1:チャネルを活用し自社のガバレッジを広げる

例:顧客接点を持つ現地プラットフォーマーをチャネルとして利用している企業

要件2:顧客の多面的なデータを活用

要件3:PFを活用して自社製品の価値を高める

例:現地PFを利用した経験を生かして、新たなビジネスを展開し、範囲の経済を実現しコスト優位を確立している企業

巨大PFが必要とするコンテンツを提供

①目的
Quality: PFとESを利用してQにレバレッをかける
Cost: PFのデマンドpartner、サービスpartner、サプライpartnerとして、範囲の経済の入れる製品サービスを増やす

②ビジネスモデル構築要件 

要件1:PFバリューチェーンを分析し、ビジネス展開の課題・ボトルネックとなっている部分をみつけ、課題解決コンテンツを考える

要件2:顧客の多面的なデータを活用

要件3:PF課題解決コンテンツを提供することで自社製品の価値を高める

例:既に充分効率化された巨大PFのリアルな課題・ボトルネックの解決コンテンツが自社のQualityを向上させる企業

自社開発アプリ(暗黙知の形式知化)を巨大PFで展開

①目的
Quality: 自社の隠れたノウハウ技術力を表出化させ、Qを向上させる
Cost:表出化させたノウハウ技術力をコンテンツ化し、範囲の経済の入れる製品サービスを増やす
Delivery: PFで自社開発アプリを展開することでdeliveryの限界突破

②ビジネスモデル構築要件
要件1:自社の隠れたノウハウ技術力をアプリ化し外販(暗黙知の形式知化)

暗黙知の形式知化(表出化):中間管理職による対話・討論・体験共有・観察などで表出化させる

例:新製品開発というミッションを明確にすることで社員間の会話が活性化され、暗黙知の形式化、形式知の暗黙知化、暗黙知の共有を実現している企業

要件2:現場感に基づく課題ノウハウのコアコンテンツ化

例:クライアントの課題に寄り添う現場の声を吸い上げることの重要性

要件3:PFやESとの連携により自社アプリ/サービスの利便性を向上

要件4:機能を徹底活用し新たなビジネスモデルを効率的に試行

巨大プラットフォーマーが苦手な領域で独自のビジネスモデルを構築

▼中堅中小企業だけでQCDを磨く
Quality:自らサービサーとしてデータを集め、Qを磨く
Cost:リアル、デジタル、プラットフォームで密度の経済を実現
Delivery:リアル、デジタル、プラットフォームで顧客、商品、商圏を絞り込む

▼巨大PFとの競争を回避するための戦略
・弱者(ランチェスター)戦略で巨大PFとのリアルな競争を回避

・マーケティング・コミュニケーション・ミックスで巨大PFとのデジタルな競争を回避

・セグメンテッド・プラットフォームで巨大PFと共存

弱者(ランチェスター)戦略で巨大プラットフォーマーとの競争を回避

①目的
自らサービサーとして集めたデータで、one2oneサービスを実現し、価格競争を回避

②ビジネスモデル構築要件

▼弱者の戦略
強い敵とは戦わない・戦わずして勝つ・勝ち易きに勝つため、3つの戦略(商品・客層・地域)を展開

要件1:弱者の商品戦略
・大手が扱わない商品・ニッチ・細分化
・客層に対する新しい価値の提供:例、スタバの『第3の空間』
・手間のかかる手作り商品・人の能力が中心となる商品

要件2:弱者の客層戦略
・特定の「業種」「規模」「属性」「職業」にターゲットを絞り込む

例:値切り交渉する顧客を顧客台帳から外す

要件3:弱者の地域戦略
・競合より3倍多くターゲットにタッチできる地域まで商圏を絞り込む

マーケティング・コミュニケーション・ミックスで巨大プラットフォーマーとの競争を回避

①目的
SNSコミュニティの愛着推奨を得て、価格競争を回避

②ビジネスモデル構築要件
「マーケティング・コミュニケーション・ミックス」とは

市場の性質とプロモーションのタイミングの特徴に合わせて6つの販促ツールを選択することで、プロモーション活動の効果を最大化させる、マーケティングの権威フィリップコトラーが提唱する理論です。

▼6つの販促ツールとは
・広報:各種メディア、Facebook
・広告:各種メディア、Twitter
・販売促進:購入時の割引クーポンや入会特典など
・人的販売:営業マンや代理店など
・イベント:各種イベント、体験会、Twitter・LINE
・ダイレクト・マーケティング:Instagram、DM、メルマガ、レコメンド広告、SNSマーケティングなど

要件1市場の性質:製品市場タイプ別効果的な販促ツール
・生産財又は情報商材市場:人的販売、イベント
・消費財(消耗品・日用品)市場:広告、販売促進

要件2プロモーションのタイミングの特徴ⅰ:顧客の購買準備段階別の効果的な販促ツール
・認知させる段階:広告、広報
・確信させる段階:人的販売、イベント、ダイレクト・マーケティング
・購入させる段階:販売促進

要件3プロモーションのタイミングの特徴ⅱ:製品ライフサイクル段階別の効果的な販促ツール
・導入期:全体の2.5%ほどといわれる「イノベーター」に集中的に人的販売、イベント、ダイレクト・マーケティング
・成長期:不特定多数の人に、流行感や安心感をもたせる広報、広告
・成熟期:既存顧客の維持のための販売促進、ダイレクト・マーケティング
・衰退期:既存顧客を新製品へスムーズに移行させるための販売促進、人的販売、ダイレクト・マーケティング

セグメンテッド・プラットフォームで巨大プラットフォーマーとの競争回避

①目的
巨大PFでは満たせないニーズウォンツを充足させるプラットフォームを構築し、巨大PFと共存

②ビジネスモデル構築要件

要件1:PFのターゲットを絞り込む
・業界特化型:きめ細やかな課題(業界特有課題・ニーズ、エコシステム)を表出できるまで業界を絞り込む
・顧客層特化型:きめ細やかな課題(セグメント別課題・価格等)を表出できるまで顧客を絞り込む

例:国内の20~30代の女性を中心にPFを設計している企業

要件2:自社顧客と提供価値、ポジションの再定義
・コアと捉える顧客層の課題は何か?
・それを自社と顧客の関係性の中で解決が可能なのか?業界全体の複数のプレイヤーにまたがる課題なのか

要件3:オープン化でN倍のインパクトを生む
・供給者不足による顧客不満を回避するため、一定数の供給者をあつめる
・ネットワーク構築するためにアーリーアダプターなどキーとなる人物や組織を押さえる

要件4:ビジネスモデル・収益源を戦略的に設計
・資金をもっていて対価を支払う財力ある人を中心にPFを設計

まとめ

第1部「中堅中小企業が対応すべき社会変化~第四次産業革命」で紹介したように巨大プラットフォーマーは、コングロマリットプラットフォームとサブスクリプションを組み合わせた最強のビジネスモデルを既に構築しています。

IOT×5Gによって、誕生しようとしている「スマートシティ&交通インフラ」プラットフォーマーは生活のあらゆる事象のデータを独占するでしょう。

生活のあらゆる事象のデータを手に入れた巨大プラットフォーマーは益々強く、複利的に成長していく未来がみえます。

こうしたプラットフォーマーに敵対して競争することはドンキホーテでしかありません。

中堅中小企業は競争せず、成長していく巨大PFを利用して収益を上げていくことが、賢明な選択です。

巨大PFを利用して収益を上げていく手法の理論的側面はこの第2部第一章で、具体的実践例は第3部第一章事例1・2・3で紹介しています

巨大PFは収益の観点から、一定の規模未満の顧客群、コミュニティのニーズウォンツは無視せざるを得ません。

巨大PFでは満たされないニーズウォンツを持った顧客群、コミュニティは今後、ますます増えていくことが考えられます。

2010年スマホの登場で生まれたSNSコミュニティの趣味嗜好は、益々先鋭化しているからです。

こうした巨大PFでは満たされないニーズウォンツの領域で独自のビジネスモデルを構築することも中堅中小企業が生き残る術といえます。

もっとも独自のビジネスモデル構築に、経営者の優れた戦略的思考が不可欠なことは、第3部「中堅中小企業の社会変化対応事例」事例4.5.6の3つのケースを読んで頂ければわかるでしょう。

こうした戦略的思考の手助けにこの第2部第二章で弱者(ランチェスター)戦略、マーケティング・コミュニケーション・ミックス、セグメンテッド・プラットフォームの3つのビジネスモデルを紹介しました。

3つのビジネスモデルの理論的側面はこの第2部第二章で、具体的実践例は第3部第二章事例4・5・6で紹介していますので、参考にして頂ければ幸いです。

著者:maru

2011年から中小企業診断士として経営コンサルタントをはじめる。
通常の企業経営コンサルから、無農薬農業経営、介護施設運営等の幅広い業種に関わり、
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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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