日本経済の基盤を支えているのは、企業数全体における99%を占め、雇用の約7割を占める中小企業(及び小規模事業者)の存在です。
そのため、今後将来的に国内景気をより上向きにしていくためには、中小企業などの生産性や持続的な成長を支援していくことが不可欠になります。
そこで重要な役割を担うのが、ファイナンシャルプランナー(FP)の存在です。
ファイナンシャルプランナーは、単に個人のお金に関する相談やアドバイス、サポートをする業務だけでなく、中小企業が抱える課題に対し、専門的観点から適切な助言や提案を行い、企業をサポートする業務も担っているのです。
今回の記事では、今後需要の増加が見込まれるファイナンシャルプランナーと、多くの経営的課題に直面する中小企業をテーマに、どうファイナンシャルプランナーと連携し関わっていくかについて多角的な側面を踏まえて紹介します。
「優秀な人材が集まらない」、「売り上げが思うように上がらない」など、多くの課題に直面する経営者及び担当者の方はこの記事を参考に、ファイナンシャルプランナーの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
今後の中小企業とファイナンシャルプランナーの関わり方とは?
はじめに、中小企業とファイナンシャルプランナーの関わり方について紹介します。
ファイナンシャルプランナーと聞くと、資金計画に対する助言や資産設計への提案などと考えがちですが、現在におけるファイナンシャルプランナーの役割は多様化しています。
以下に挙げる項目を参考にして、ファイナンシャルプランナーを活用するメリットや全容を把握しましょう。
経済・財務面における支援
ファイナンシャルプランナーを採用するメリットの一つに、お金のエキスパートとして、経営や財務状況に対して、有識者から適切なアドバイスやプランニングによる支援を受けることができます。
中小企業の経営者の多くが、財務や経理の違いを曖昧にしたまま、財務面を軽視したり、いわゆる“丼勘定”のような状態で経営を行っているのが現状です。
しかし、整合性のあるクリーンな経営を目指すには、財務面に関連する資金繰りや予算管理、資金調達、余裕資金の計画などを適正に行うことが必要不可欠になります。
一昔前のような、「売り上げさえあげられればなんとかなる」や「とりあえず経費として一旦計上しておく」といった財務を疎かにした考え方では、将来的に会社が倒産するリスクも充分あり得ます。
自前主義で財務を分析するのではなく、プロの助言や提案を用いて、可視化した財務を心がけることで、財務の重要性を高め、将来のビジョンや戦略の立案につなげていくことが今後の経営には重要な要素と言えます。
ITサービスとの併用
従来の経営において、財務状況の確認や資金調達時におけるアドバイスといえば、銀行や証券会社、信用金庫などの金融機関、または会計士や税理士、今回挙げるファイナンシャルプランナーの起用が主な選択肢でした。
しかし近年では、AIやIT技術が進歩したことによって、自社内のリソースだけでも幅広い選択肢や財務体質の改善、資金調達などの施策を行えるようになりました。
しかし、IT技術やサービスだけで、資産運用や設備投資の資金を捻出したり、目標をクリアするのはなかなか困難と言えます。
そこでITサービスと合わせて併用したいのが、お金のプロであるファイナンシャルプランナーの存在です。
ファイナンシャルプランナー、IT技術双方の強みをうまく補完することで、資金計画や資産設計をより効率的に達成することができます。
そして、プランの過程で予測されるリスクや問題点の洗い出し、改善方法などを精度高く遂行できるため、より密度の濃い提案書や事業計画を策定することができるのです。
経営者を公私にわたってサポート
ファイナンシャルプランナーの業務内容は、個人の資産運用や資金計画だけでなく、法人の資金調達や資産運用のアドバイス、情報分析に至るまで多岐に渡ります。
そのため、個人・法人といった枠組みを設けるのではなく、公私にわたってファイナンシャルプランナーのサポートを受けることで、一貫したライフプランやニーズに沿った貯蓄や投資、事業継承に至るまで、さまざまなプランの立案や選択肢を考察することが可能になります。
従業員の金融リテラシーの向上
ファイナンシャルプランナーは、単に中小企業の資産運用や資産設計の助言を行うだけでなく、間接的に企業に働きかけを行うことにも役立ちます。
ファイナンシャルプランナーは、金融知識のエキスパートであり、ヒアリングやニーズの汲み取り、コミュニケーション能力に長けていることが多く、さまざまなテーマで執筆やセミナー等の講演を行っている場合も少なくはありません。
そのため、福利厚生の一環で従業員向けのファイナンシャルプランナーによる相談サービスを導入することで、従業員のお金に対する悩みを解消したり、経済的問題の軽減、金融リテラシーの向上などに寄与することから、従業員の満足度を高めることに結びつけることができます。
まとめ
今回の記事では、ファイナンシャルプランナーを中小企業で活用する上で、知っておきたいFPとの関わり方について紹介してきました。
ファイナンシャルプランナーを積極的に活用することで、中小企業の資金面の見直しや、将来的な戦略の立案など、幅広い業務や領域に役立てることができます。
しかし、中小企業におけるファイナンシャルプランナーの導入はあまり進んではいません。
これを機に、ファイナンシャルプランナーの導入を前向きに検討することで、企業の課題を洗い出し、事業発展につなげられるような施策を行うようにしましょう。
著者:ロッソ
現在、複数の会社を経営。
これまでに立ち上げた会社の売却を何度か経験しており、起業からEXITまでの業務経験あり。
今後はエンジェル投資家やNPO団体の立ち上げを模索中。