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「モノ」から「コト」への変化の経営的意味

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第2回は、第1回の「モノ」から「コト」への変化という大きな流れを、3つのビジネスモデルを通してその経営的意味を紹介します。

①「モノ」から「コト」への変化を経営的意味で捉えるアズ・ア・サービス。
②「コト」の循環に顧客を乗り続けさせるために必要な「一連の体験」を生み出すカスタマ・ジャーニー。
③「一連の体験」を金銭面で支え、更なる成長を可能にするサブスクリプション。

3つビジネスモデルを意識して記事を読んで下さい。

「モノ」から「コト」への変化を捉えるアズ・ア・サービス

アズ・ア・サービスの定義

従来の製品機能をサービスとして提供する価値の変換を言います。つまり、「モノ」の機能的価値を、意味的価値や使用価値、創造価値として「コト」を一連の体験へ価値を変換することです。

「コト」ビジネスの典型例

toBの場合は、建設機械に対するコマツの「KOMTRAX」のように、故障すると作業が全く進まなくなる「モノ」に対する保守点検サービス(使用価値)があります。

また、toCの場合は、コンタクトレンズに対するメニコンの「メルスプラン」のように紛失破損リスクが高い、なくなると困る「モノ」に対する代替サービス(使用価値)が挙げられます。

具体例紹介

  • 「KOMTRAX」(コマツ)

建設機械に装備する稼働管理システムです。
建設機械の機能的価値を、保守点検や車両管理サービスという使用価値として「コト」へ価値を変換しています。

  • KINTO」(トヨタ)

トヨタ自動車のサブスクリプションです。
車の機能的価値を、使用料や税金、保険料、メンテナンス費用などソリューションという意味的価値として「コト」へ価値を変換しています。

  • my route」(トヨタ&西日本鉄道等)
    交通・店舗・イベント情報のMaaSアプリです。

サービサー8社の協力のもとトヨタと西日本鉄道が福岡県福岡市で実証を進めています。

公共交通機関の機能的価値を、一括予約、決済などソリューションという意味的価値として「コト」へ価値を変換しています。

アズ・ア・サービスのメリット

「コト」を一連の体験として提供することで、「4つの確実性」を享受できる点がアズ・ア・サービスのメリットです。

①収益の確実性:モノによる売り切りではなく、「コト(一連の体験)」化で継続的収益を確保します。

②客数の確実性:「コト」化による定期契約でスイッチングリスクが減少しています。

③保守需要の確実性:定期契約によりアフターサービスとしての保守需要を確実に確保することができます。同時に「モノ」本体の価格競争を回避できる点が最大のメリットです。

④データ取得の確実性:継続して取得し続けるデータをカスタマ・ジャーニーの生みだす体験に使うことができます。

アズ・ア・サービスの種類

1「XaaS(X as a Service)」は、「X」とは「何か」の意味であり、つまりアズ・ア・サービスの総称を意味します。

2「SaaS(X as a Service)」は、クラウド経由で利用するソフトウェアのことを意味します。

3「PaaS(Platform as a Service)」は、サービスとしてのプラットフォームを意味します。

4「IaaS(Infrastructure as a Service)」は、サーバーやストレージ、CPUやメモリなど、いわゆる「ITインフラ」のクラウドサービスを意味します。

5「Maas(Mobility as a Service)」は、クラウド経由で自家用車以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして提供しています。

6「AaaS」(Analytics as a Service」は、データの解析や分析をクラウド上で実行するサービスです。

「コト」を一連の体験として提供するカスタマ・ジャーニー

カスタマ・ジャーニーとは

カスタマ・ジャーニーとは、その世界観を体現したサービスの循環に顧客が乗り続け、企業は顧客に寄り添い続けるビジネスモデルです。

そのため、「モノづくり」の競争力の低下を、ジャーニー全体で補完するとともに、顧客を囲い込み、高い収益率を実現します。

カスタマ・ジャーニーの3つの要素

顧客は世界観に共感し、利便性が高いサービスを好み、信頼できる企業のサービスにみ時間を消費します。

・共感できる世界観
・利便性の高いサービス
・企業の信頼性

などが挙げられます。

例Amazonのカスタマ・ジャーニー

Amazonのミッションは、「顧客ファースト」です。また、世界最大手の物流企業「フェデックスFedEx」の質の悪さから、Amazonは自ら利便性の高い物流サービスを構築し、「顧客ファースト」を実現しています。

「コト」の一連の体験とは

「顧客は自分たちが欲しいものを知らない」これは故スティーブ・ジョブズの言葉です。

インターネットを通じてニーズや欲求を満たせる製品・サービスが簡単に手に入るようになった今日。

隠れているニーズウォンツを刺激できる顧客体験を提供し「気付き」を与えられるカスタマジャーを構築することができれば、顧客は降りないで乗り続けてくれます。

従って、「コト」の一連の体験とは「隠れたニーズウォンツを刺激する新たな体験」と解するのが自然です。

例Netflix、Apple TV

顧客の使用データに基づきレコメンデーションされるオリジナルの動画コンテンツです。

その内容がユーザーに「気付き」を与える「隠れたニーズウォンツを刺激する新たな体験」となるコンテンツになっているため、解約アクションを回避することに成功しています。

「コト」の一連の体験を金銭面で支え、更なる成長を可能にするサブスクリプション

サブスクリプションとは

①サブスクリプションの定義
「月額」利用料を支払うことを条件に何回でも「交換できる」利用券を与えるビジネスモデルです。

②サブスクリプションのメリット
未来への投資に使える金額を安定的に稼げることで、更なる成長が見込めることがメリットです。

特に各種クラウドサービスのサブスクは、システム構築以降はユーザーが増加してもコストは増えないので複利的に収益が発生します。

これに対してユーザー増加毎にシステム構築以外に変動費が発生するサブスクでは変動費分投資へ回せる金額が減ります。

③サブスクリプション成功のカギ
それは「レコメンデーションによる新たなコンテンツ」の継続的提供です。

新たなコンテンツ、しかもレコメンによりカスタマイズされたものを提供し続けられれば、月額契約の解約アクションを回避できる確率が高まります。

具体的内容についてはカスタマ・ジャーニーの「コト」の一連の体験と同義と考えて良いでしょう。

具体例紹介

いずれも複利的収益と未来への投資で成長している例です。

①「Netflix
オリジナルコンテンツが人気の動画配信サービスです。

動画配信サービスのシステム構築以降はユーザーが増加してもコストが増えないので複利が発生します。CAC(顧客獲得費用)のほとんどがシステム構築だけで済んでいるからです。

複利の収益は、ユーザーにレコメンデーションする新たなコンテンツ作りに投資され、解約アクションを回避することに成功しています。

②「Apple TV+

Apple TVと異なり、オリジナル制作のコンテンツを視聴できる動画配信サービスです。
Netflixと同様、未来への投資がカギを握るビジネスモデルです。

おわりに

第2回は、第1回の「モノ」から「コト」への変化という大きな流れを3つのビジネスモデルを通してその経営的意味を紹介しました。

この3つを同時に構築できる条件は思ったより厳しいのかもしれません。成功の典型例がAmazonでありNetflixです。いずれもサブスクリプションのメリットを生かし、更なる成長をし続けています。

第3回では「モノ」から「コト」への変化の先進事例を取り上げ、更なる成長が見込める事例、希望が持てる事例、課題が残る事例の3つを紹介していきます。

著者:maru

2011年から中小企業診断士として経営コンサルタントをはじめる。
通常の企業経営コンサルから、無農薬農業経営、介護施設運営等の幅広い業種に関わり、
エンターテインメント施設の開業のための市場調査から、債務超過企業の事業デューデリジェンスまで、企業成長段階に応じたコンサルタントを行っています。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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