障害者雇用の取り組み方(第2回/全5回)

第2回:障害者の種別について

障害者の種別

障害者とは何らかの原因によって日常生活または社会生活に影響の出るような制限を受けている人物のことを指します。
障害者は大きく分けて3つの障害種類があります。
それが「身体障害」「知的障害」「精神障害」です。

身体障害

身体障害とは、身体機能の一部に不自由があり、日常生活に制約がある障害のことを指します。
身体障害者福祉法上では以下の5種類に分類されます。

【5つの身体障害の種類】
・視覚障害
・聴覚・平衡機能障害
・音声・言語・そしゃく機能障害
・肢体不自由
・内臓機能などの疾患による内部障害

知的障害

知的障害は、日常生活で読み書き計算などを行う際の知的行動に支障がある障害で知能指数が基準以下の場合に認定されます。
具体的には児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医又は障害者職業センターによって知的障害があると判定された者です。

精神障害(発達障害含)

精神障害は、脳および心の機能や器質の障害によって起きる精神疾患によって、日常生活に制約がある障害を指します。
主に統合失調症や躁うつ病、うつ病などの気分障害、神経症、パニック障害、適応障害など、様々な疾患が該当します。
いわゆる三障害と言われますが、身体障害と知的障害の二障害は比較的早くから法整備がなされ、対策も講じられてきました。
精神障害は比較的新しい障害で、近年特に数が増えていることから、注目されている障害となります。
精神障害の中でも、発達障害はさらに新しい障害でもあり、いまだ海外でもその定義を変えながら研究を進めている段階でもあります。

 

重度障害者と軽度障害者

障害にはその障害の度合いにより、「軽度」「重度」などに分かれます。
身体障害者は「重度」「中度」「軽度」の3つに分類され、知的障害者は「重度」「軽度」2つに分類され、精神障害者は「1級」「2級」「3級」と3つに分類されます。

身体障害者

身体障害者はそれぞれの身体障害の度合いによって1級から7級までに分類されます。
特に障害度合いが高い1級と2級を「重度」、3級と4級を「中度」、5級と6級を「軽度」と定義されています。

知的障害者

知的障害のレベルで主に「軽度」「中度」「重度」「最重度」の四分類されます。
・軽度知的障害:おおむねIQが50~70で、自分の身辺自立は多くの場合は一人でできます。
・中度知的障害:おおむねIQが35~50で、自分の身の回りのことを一人で行うことは難しいので、衣食住には保護や介助が必要になる場合もあります。
・重度知的障害:おおむねIQが20~35で、言語・運動機能の発達が遅く、身の回りのことを一人で行うことは困難となります。
・最重度知的障害:IQが20以下で、言葉が発達することはなく、身の回りの処理は全くできず、親を区別して認識することが難しい場合もあります。

精神障害者

精神障害者は1級~3級と分類されていますが、重度・軽度に定義されていません。

なぜ、重度障害者とそうでない障害者と明確に定義する必要があるのかと申しますと、これは企業の障害者雇用に必要な定義だからです。
企業が義務付けられている障害者雇用において、「重度障害者」は1人雇用することで2人雇用したとみなされる制度があります。

これが「ダブルカウント制度」というもので、雇用が難しいと言われている重度障害者の雇用推進を目的に制度化されたものです。
※ 根拠法令「障害者の雇用の促進等に関する法律」(第三章 身体障害者又は知的障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進 第一節 身体障害者又は知的障害者の雇用義務等(一般事業主の雇用義務等)第四十三条4及び5
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO123.html

つまり、身体障害者の重度障害者(1級または2級)と、知的障害者の「重度または最重度障害者」を1人雇用することで2人雇用分の申請が可能となるのです。(精神障害者は1~3級いずれもダブルカウントには組されておらず、全て1人は1人カウントとなります)
仮に障害者雇用人数が大幅に不足している企業においては、この重度障害者を安定雇用できる仕組みがあれば、法定雇用を大幅に改善することができる、ということになります。

 

求人ニーズが高い障害種別は?

企業側の採用したい障害者ニーズはまだ偏っている状況は否めない事実です。

一般的に企業が採用したいのは軽度の身体障害者で、仕事に支障が少なく、通勤やサポートもあまり必要ないということが背景にあります。
身体重度障害者の方は1級または2級と非常に大きな障害を抱えていることもあり、実際の職場環境では、完全サポートが難しいとも言われています。
また軽度の知的障害者も比較的ニーズが高いとも言われています。

一般的には知的障害の方は読み書き計算が苦手でもあるため、清掃などの作業系、単純作業のブルーワーク、飲食店での食器洗いなどに多く就業しています。
一部、単純な入力作業などでパソコン業務ができる方もおり、軽度の知的障害者はニーズが高いと言えます。
しかしながら、知的重度障害の方はサポートが不可欠でもあり、一般的な就業現場での雇用はノウハウと体制がないと難しいとも言われています。
このように身体障害者、知的障害者の方々は比較的仕事を見つけやすい状況となっていますが、課題は精神障害者(発達障害者含む)の就業です。

では、なぜ精神障害者の就業が困難なのでしょうか。

以下、その背景です。

【精神障害者雇用の課題】
・ 企業側が精神障害者のサポートノウハウがない(雇用経験がないなど)
・ 安定就業が難しい(身体や知的障害者に比べて短期退職が多い)
・ トラブルとなるケースが比較的多い
・ 精神障害者の数が圧倒的に増加傾向
など

メンタル不調者は全国で300万人以上いると言われており、その数も増え続けていると言われています。

精神障害者の手帳保持者は氷山の一角でもあり、予備軍としても母数が大きく、今後も増え続けることが予想されています。
精神障害者の方は外見で判断できるものではなく、採用が難しいことも挙げられ、サポートも千差万別で人によって症状が大きく異なることも採用に至らない背景にもなっています。

短期退職となることも多く、企業側からは正直避けられている障害と言っても過言ではないでしょう。

しかしながら、視点を変えることで障害者雇用を大幅改善することも可能です。

なぜならば、精神障害者のニーズが低く、かつ人数も増えていることから、精神障害者は採用市場に多く存在しているからです。
仮に企業側が精神障害者の安定雇用体制を確立できれば、今後自社の障害者雇用全体を安定化することが可能となるという見方もできます。

また、精神障害者雇用のノウハウを蓄積し、サポート体制を整えることで、仮に自社内でメンタル不調者がいる場合、その対策やノウハウも蓄積できることにつながるかもしれません。

人気のある身体障害者や知的障害者が採用市場に見当たらない昨今、精神障害者の雇用を推進することも一つの選択肢となるでしょう。

 

筆者:嵐 正樹
■プロフィール:
障害者雇用サポート支援として、身体・知的・精神障害者全ての雇用サポート実務を経験。
障害者雇用コンサルタントとして、東証一部上場企業を含めた10社以上の障害者雇用体制立ち上げを経験。
業務切り出しから採用、定着までの一貫した雇用サポートに強み。

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