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顧客管理に必要な機器構成

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顧客管理の考え方や基礎理論についてお伝えして来ましたが、今回は、小売業や飲食業、サービス業など、店舗を構える企業を例にとって、顧客管理に必要な機器について、具体的にご紹介していきます。

 

顧客管理に必要な機器

顧客管理に必要な機器とは、大まかに分けて、顧客を識別するための「カードシステム」、顧客の利用動向を掴むための「POSシステム」、遠隔地の店舗やチェーン店の顧客データを集めるための「データ収集システム」、得られた顧客データをデシル分析やRFM分析する「データ分析システム」、最後に分析結果を活用する「データ活用システム」などがあります。

 

カードシステム

顧客カードは、従来、銀行のキャッシュカードのようなプラスチックカードが良く使われて来ました。

しかし、そのようなカードである必要はありません。

最近は磁気を読み取るというより、バーコードをスキャナーで読み取る機器が安価で普及していますので、紙カードにバーコードを印刷したものでも構いません。

また、磁気方式のプラスチックカードは元になるカードを大量に発注しなくては1枚当たりのコストが下がらないため、不経済です。

バーコードを任意のカードに印刷したものとPOSシステムに接続されたスキャナーがあれば充分です。

 

POSシステム

販売時点管理システムとも言われ、お会計の際に取引内容(日付・購入商品・金額など)をデータとして保存できる、レジとパソコンの機能を兼ね備えたような機器です。

お会計データと同時に顧客のID番号も記録できるように、バーコードリーダーやカードリーダーが接続されている必要があります。

 

データ収集システム

取引データを分析するシステムまで集める仕組みです。

チェーン店や遠隔地にPOSシステムがある場合は、電話回線などでデータを集めることが必要になります。その場合は、電話回線、モデムやルーターと言われる通信装置が必要になります。

店舗内でデータを集める場合は、LANケーブルといわれる通信ケーブルで接続するか、USBメモリなどの記憶媒体でデータを集めることも出来ます。

 

データ分析システム

得られた取引データを元に、顧客の取引動向を分析します。取引データをランキングで分析するデシル分析や、取引日・取引回数・取引金額を複合的に分析するRFM分析などを駆使して、自店の顧客の動きを把握します。

データ分析をする仕組みそのものには、以下の3種類があります。

【ローカルシステム型】

パソコンに分析ソフトをインストールし、自社の担当者が運用していく方式です。ソフトウェアの活用にはビジネスソフト(ワープロや表計算)を使えるレベルの能力が必要です。また、ソフトウェアには、バージョンアップや障害対応に関する費用を考えておく必要もあります。

Webシステム型】

分析用ソフトウェアをインターネット上に置いて利用する方式です。クラウドシステムともいわれます。インターネットにつながっているパソコンがあれば、どこにいても分析業務が出来ます。ソフトウェアを購入するのではなく、月額料金を払って利用します。

【アウトソーシング型】

データ分析に関わる作業を外部委託する仕組みです。顧客名簿や取引データを紙またはデータで送ると、処理結果を帳票やデータで返してくれます。個人情報保護に関する契約が必須となります。

 

データ活用システム

分析された顧客データを元に、顧客に対する販売促進を支援するシステムです。自社の販売戦略や予算、コンセプトに基づいて活用しましょう。

【帳票・リスト機能】

分析された結果にもとづいて、顧客リストを出力できます。さらに、取引額、取引日、会員の属性(性別・年齢・地域など)などの条件を組み合わせてリストアップすることが出来ます。

【コミュニケーション機能】

顧客に対して、メールやDMシールなどでセールの案内などが出来る機能です。最近はSNSを活用した顧客へのアプローチも出来るようになっています。

【マッピング機能】

地図データと顧客の住所情報を元に、顧客の分布を地図上で把握することが出来ます。小売業であれば、チラシの配布範囲を検討したり、高級店であれば上位顧客に対する訪問計画の立案をしたり、新店の出店計画の参考にもなります。

 

ステップを踏んで導入

顧客管理システムは、その企業の実情や目標に合わせて導入を考えることが重要です。

仮に、どんなに素晴らしいシステムがあったとしても、運用する担当者がいなければ、宝の持ち腐れですし、資金的にも無駄になります。

一般的には、ステップを踏みながら導入することが理想です。

1.まずは会員制度をスタート

会員制度を実施していない企業は、まず会員制度を導入するところからスタートします。簡易的なポイントカードからでも結構です。

その際、出来れば、将来取引データを収集することを想定して、顧客IDをバーコード印刷したもの(紙カードでも可)を用意します。

2.ご利用動向を把握

会員数が一定以上蓄積されると、取引データを収集できる仕組みを導入しましょう。必要な機器としては、バーコードリーダーが接続されたPOSシステムなどです。

その際、POSシステムから取引データをUSBメモリなどで取り出せる仕組みが必要です。取り出し

3.分析・活用システムの導入

取引データが順調に取得出来るようになると、次は本格的に分析・活用システムの導入を検討しましょう。

 

国や都道府県の補助金や減税制度を活用

顧客管理システムを導入する場合、複数の機器が必要になります。資金手当て方法としては、リースや銀行借入れが殆どですが、中小企業にとっては経営上の負担も大きくなります。

そこで、国や都道府県が行っている、設備投資に対する補助金や減税制度を上手に活用して、経営上の負担を減らしていきましょう。

詳しくは、商工会議所の経営相談窓口で調べたり、中小企業庁のHPで調べたりすると良いでしょう。

参考:「中小企業庁 平成30年度版中小企業施策利用ガイドブック

まとめ

顧客管理を実践するための機器についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

顧客は売上を上げてくれる、非常に重要な存在です。顧客管理というと、ポイントカードを導入して満足している企業が多いものですが、自社にとって大切なお客様を明らかにして、追跡し、ケアしていくことによって、安定した売上を確保していくことが可能になります。

そのために、取引データを分析・活用する機器が必要になるわけです。

しかし、顧客管理機器は中小企業にとっては一定の資金負担が必要な設備投資です。

目的を明確にして、成果を検証しながら、段階を経て着実に進めていくことが重要です。

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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栗原誠一郎 株式会社日本経営開発研究所 代表取締役

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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