上司として、部下の仕事の成果や成長を評価したり、コメントしたりする機会は多いと思います。 部下への評価やコメントは、上司の重要な役割の一つです。
なぜなら、部下への評価やコメントが、部下の仕事に対する自信ややる気を高めたり、強みや弱みを明確にしたり、目標設定やキャリアプランを支援したり、信頼関係やコミュニケーションを深めたりするからです。
しかし、部下への評価やコメントを適切に伝えなければ、逆効果になることもあります。
例えば、以下のような場合です。
・評価基準や目標が不明確で、部下が納得できない
・評価内容やコメントが曖昧で、部下が具体的な改善点がわからない
・評価内容やコメントが否定的で、部下が傷ついたり落ち込んだりする
・評価内容やコメントに対する部下の反応や感想を聞かず、一方的に押し付ける
このような場合、部下はモチベーションを失ったり、上司に不信感を抱いたりする可能性があります。 そうならないためには、部下への評価やコメントの伝え方には、工夫が必要です。
では、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
ここでは、部下への評価やコメントの伝え方におすすめの4つのポイントと具体例を紹介します。
部下への評価やコメントの伝え方のポイント
部下への評価やコメントの伝え方には、以下の4つのポイントがあります。
評価基準や目標を明確にする
部下への評価やコメントを伝える前には、まず評価基準や目標を明確にすることが必要です。
評価基準や目標が明確であれば、部下は自分がどういう観点で評価されているか、どういうレベルに達しているかがわかります。
また、上司も部下に対して公平で客観的な評価をすることができます。 評価基準や目標を明確にする方法としては、以下のようなものがあります。
・仕事内容や役割に応じたKPI(重要業績指標)やOKR(目標と結果)を設定し、共有する
例文:「今回の評価は、あなたが担当したプロジェクトのKPIに基づいて行いました。KPIは、売上高、顧客満足度、納期遵守率の3つです。それぞれのKPIに対して、あなたの達成度はどうでしたか?」
評価内容やコメントを具体的にする
評価基準や目標が明確になったら、次に評価内容やコメントを具体的にすることが必要です。
評価内容やコメントが具体的であれば、部下は自分のどこが良かったのか、どこが悪かったのか、どうすればもっと良くなるのかがわかります。
評価内容やコメントを具体的にするためには、以下のような方法があります。
・評価内容やコメントには、事実やデータを基にした根拠や理由を添える
例文:「あなたは売上高のKPIを120%達成しましたね。素晴らしいです。売上高の増加に貢献した要因は何だと思いますか?データを見ると、あなたが担当した顧客からのリピート率が高かったことがわかります。あなたはどのように顧客と関係を築いてきましたか?その方法を教えてください。」
このように、評価内容やコメントを具体的にすることで、部下は自分の仕事の成果や課題を明確に把握することができます。
評価内容やコメントを肯定的にする
評価内容やコメントを具体的にするだけでは、部下への評価やコメントの伝え方は完了しません。評価内容やコメントを伝える際には、部下の感情やモチベーションに配慮することも大切です。 部下への評価やコメントを伝えるときは、肯定的な言葉遣いやトーンを心がけることが重要です。
肯定的な言葉遣いやトーンとは、以下のようなものです。
・部下の悪かった点や失敗した点を否定せず、改善の余地があると伝える
例文:「あなたはこのプロジェクトで素晴らしい成果を出しましたね。あなたのプレゼンはとてもわかりやすく、顧客からも高い評価を受けました。あなたのプレゼンスキルはチームの中でも際立っています。あなたはどのようにプレゼンスキルを磨いてきましたか?」
このように、評価内容やコメントを肯定的にすることで、部下は自分の仕事に対する自信ややる気を高めることができます。
評価内容やコメントに対する部下の反応や感想を聞く
評価内容やコメントを伝えたら、最後に部下の反応や感想を聞くことが大切です。部下の反応や感想を聞くためには、以下のような方法があります。
・部下にオープンエンドの質問を投げかける
例文:「あなたの評価内容やコメントを伝えましたが、あなたはどう思いますか?私の評価内容やコメントに対して、何か質問や意見がありますか?気軽に言ってください。」
このように、部下の反応や感想を聞くことで、部下は自分の仕事に対する理解や責任感を高めることができます。
部下への評価やコメントの具体例
ここまで、部下への評価やコメントの伝え方のポイントを紹介しました。では、実際に部下への評価やコメントを伝えるときは、どのような言葉遣いやトーンを使ったら良いのでしょうか?
ここでは、部下への評価やコメントの具体例として、以下の3つのシーンを紹介します。
仕事ができる部下に対する評価・コメント
仕事ができる部下に対する評価・コメントは、以下のようなものです。
・部下の成果や貢献を高く評価し、具体的にほめる
例文:「あなたはこのプロジェクトで優秀な成果を出しましたね。あなたが担当した機能は、顧客からも高い評価を受けました。あなたはどんな工夫をして開発しましたか?その工夫は素晴らしいです。あなたは開発スキルが高く、創造力も豊かです。あなたの開発スキルと創造力は、チームにとって貴重な資産です。」
このように、仕事ができる部下に対する評価・コメントは、部下の成果や貢献を高く評価し、部下の強みや特徴を明確にし、部下の目標やキャリアプランに関心を持ち、チャレンジさせることで、部下のモチベーションやパフォーマンスをさらに高めることができます。
仕事ができない部下に対する評価・コメント
仕事ができない部下に対する評価・コメントは、以下のようなものです。
・部下の成果や貢献を否定せず、改善の余地があると伝える
例文:「あなたはこのプロジェクトで苦労した部分があったと思います。あなたの担当した機能の開発には、予定より時間がかかりました。その理由は何だと思いますか?ただ、開発工程やテスト方法、仕事のやり方について考える必要があります。同じようなプロジェクトでは少しやり方を変えてみましょう。」
このように、仕事ができない部下に対する評価・コメントは、部下の成果や貢献を否定せず、改善の余地があると伝えることで、部下の自信ややる気を失わせないようにします。
新人・若手部下に対する評価・コメント
新人・若手部下に対する評価・コメントは、以下のようなものです。
・部下の成果や貢献を認めてほめる
例文:「あなたはこのプロジェクトで初めて仕事を任されましたね。あなたはどんな気持ちで仕事に取り組みましたか?あなたは仕事に対する情熱や向上心が高く、素晴らしい成果を出しましたね。あなたが担当した資料は、とてもわかりやすく、クオリティも高かったです。」
このように、新人・若手部下に対する評価・コメントは、部下の成果や貢献を認めてほめることで、部下の自信ややる気を高めるようにします。
また、部下の失敗や課題を指摘するときは、原因や改善策を一緒に考えることで、部下のスキルや能力を向上させるようにします。
おわりに
部下への評価やコメントは、上司として部下を育てるために欠かせないことです。しかし、部下への評価やコメントの伝え方によっては、部下のモチベーションやパフォーマンスを下げることもあります。 そうならないためには、以下の4つのポイントを守ってください。
- 評価基準や目標を明確にする
- 評価内容やコメントを具体的にする
- 評価内容やコメントを肯定的にする
- 評価内容やコメントに対する部下の反応や感想を聞く
これらのポイントを踏まえて、部下への評価やコメントを適切に伝えることで、部下のモチベーションやパフォーマンスを高めることができます。
また、上司と部下との信頼関係やコミュニケーションも深めることができるでしょう。