中堅中小企業の種類別イノベーション

イノベーションとは、個人や企業が、まったく新しい製品や生産プロセス、アイデアを構想したり、既存の製品やプロセス、アイデアを新しい方法で取り入れたりするプロセスを指します。

このイノベーションは領域ごとに5つに分類されます。この記事では、5つのイノベーション領域の特徴や中堅中小企業における事例をご紹介します。

中堅中小企業のイノベーションの種類

市場の変化のスピードに遅れないために、イノベーションを実現することは重要です。

技術の進歩があらゆる産業構造を変革する中、企業は時代に取り残されないよう、イノベーションを起こさなければなりません。

20世紀の経済学者シュンペーターは著書「経済発展の理論」において、イノベーションを5つの要素に分解しています。

5つの種類のイノベーションに焦点を絞ることで、より効果的で戦略的なイノベーションを実現するための参考になります。

プロダクトイノベーション

プロダクトイノベーションとは製品やサービスのイノベーションを指します。

最も一般的なイノベーションの形態であり、多くの企業が商品やサービスによって競合他社と差別化を図ろうとしています。

プロダクトイノベーションはさらに
①ビットコインやAmazon電子版のような全く新しい製品②iPhone11のデジタルカメラの解像度アップのような既存製品の改善
③かつての携帯電話のカメラ機能の導入などの既存製品の新機能追加
といった3つの要素があります。

プロダクトイノベーションは消費者から見て最も分かりやすく、売上拡大のための最も単純な方法でもあります。

プロセスイノベーション

プロセスイノベーションのプロセスとは商品やサービスを生産、販売、サポートするために使用される設備や技術を指します。

プロセスイノベーションの事例として以下のようなものが挙げられます。

  • 製品の設計や開発に使用するソフトウェアの変更
  • サプライチェーンや配送システムの改善
  • 商品のメンテナンスに使用するツールの変更

商品やサービスのイノベーションは消費者から見て分かりやすいですが、プロセスの変化は社内からしか確認できません。

しかし、品質の向上やコスト削減といった効果を及ぼし、プロダクトイノベーションと密接な関係にあります。

マーケットイノベーション

マーケットイノベーションとは、顧客ニーズに対応し、新しい市場を開拓すること、または市場において自社製品のポジショニングを図り、売上を伸ばすことを意味します。

例えば、ECサイトがネット専業の銀行や証券サービスを開始したり、カメラ・フィルムメーカーが医療機器分野に参入したり、といった異業種への参入もマーケットイノベーションの一種です。

ビジネスモデルイノベーション

ビジネスモデルイノベーションとは、製品やサービス自体ではなく、それらを市場にどのように投入するのか、どのように顧客に提供するのかという「方法のイノベーション」を指します。

具体的にはそれまでと異なるチャネルや流通・販売路、テクノロジーを利用して、顧客に価値を提供することです。

例えば、Amazonは、従来の小売流通チャネルを排除し、テクノロジーによって顧客と直接的な販売経路を築くことで、顧客への新しいチャネルを開発しました。

オーガニゼーションイノベーション

オーガニゼーションイノベーションとは、会社組織の変革を意味します。

会社の経営資源や資産の新しい活用、ワークフローの改善、ビジネス文化の変更、取引コストの削減といった組織に関わるあらゆることがイノベーションの対象になります。

最近では、コロナの影響で在宅勤務を導入する企業が増えています。

在宅勤務の導入によって職場の満足度や生産性が向上することもオーガニゼーションイノベーションの一例です。

中堅中小企業の種類別イノベーションの事例

中堅中小企業のイノベーションには5つの種類があることを解説しました。

どれも重要なイノベーションの要素であり、複数を組み合わせることでより強力な効果を発揮します。

ここからは、中堅中小企業におけるイノベーションの実現事例を種類別に紹介します。

プロダクトイノベーション

株式会社木村技研は東京都に本社を持ち、ゼネコンの下請けとして、給排水衛生設備の設計・施工を行っていました。

しかし、トイレの節水事業に参入し、節水型自動洗浄装置「アクアエース」の開発に成功します。

さらにトイレには異常を検知する独自の画像解析アルゴリズムを導入。これによって、忘れ物や倒れ込み、長時間滞在といった異常を検出します。

このシステムの導入は平成27年のことです。現在、AIやIoTという用語がさかんに使われていますが、はるか以前から通信やデータ解析を活用したサービスを提供してきました。

プロセスイノベーション

奉還町商店街振興組合は岡山県岡山市の商店街組合です。岡山市は岡山城や白山神社などの観光資源が豊富な街ですが、コロナを契機として観光客が減少し、商店街の来客も減少していました。

そこで、商店街に参加している店舗で購入したレシートを他の店舗で提示するとサービスや特典がもらえる「ぐるり奉還町」というプロジェクトを開始しました。

その結果、プロジェクト開催期間中は商店街の店舗を回遊する利用客が増加しました。

商店街で平均して10%の売上が増加し、利用客もそれまで知らなかった新しい店舗の魅力を知るきっかけになりました。

マーケットイノベーション

株式会社ニシウラは鳥取県で営業する道路や砂防ダムなどの公共工事を請け負うインフラ会社でした。

しかし、政府の緊縮財政もあり、公共事業の件数が減少し、需要が増加する介護業界へ参入しました。

当初は「建設業者に介護の何が分かる」という批判もありましたが、介護住宅のリフォーム事業から入り、障害者用おむつの開発、車いす用テーブルと事業の幅を広げていき、建設業界から介護業界への参入を成功させました。

今では、鳥取県を含む山陰地方の病院・介護施設へのオムツ納入シェアは50%を超えています。

まとめ

この記事では、5つのイノベーションの種類について特徴や中堅中小企業の事例をご紹介しました。

5つのイノベーション領域はそれぞれを単一で実施するだけではなく、組み合わせることでより大きな効果を発揮します。

他社の事例を参考にしながら、イノベーションの実現に向けて動き出しましょう。

著者:篠田啓介
都内の大学卒業後、都市銀行に入行。中堅中小企業のお客様向けに融資や保険、M&Aを含む事業承継などの提案営業に従事。その後、上場企業などの大企業営業、本部の広報部や人事部も経験。メインとなる法人営業では、赤字企業向けに経営計画や資金繰り表の作成サポート業務にも従事。

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