人工知能パート2
前回「人工知能パート1」からの続きとなります。
人工知能は「ビジネス」をこう変えていく!
将棋と囲碁の世界で一躍名を挙げたAI(人工知能)。
ビジネス社会でも徐々に浸透しつつあります。
例えば金融業界です。
株式売買における証券では千分の一秒単位の変化を読み、その未来予測を人工知能がすでに担ってきています。
AI(人工知能)を利用できていない証券会社は既に負け組に分類されつつあります。
保険会社の商品開発などにも、すでにAIの未来予測が欠かせない存在になってきています。
銀行には、コールセンター業務にすでにAI「Watson(ワトソン)」が導入され、対応時間の短縮化を実現しています。
銀行窓口業務も近い将来、AIが担うことも視野に入ってきました。
みずほフィナンシャルグループ(FG)が10年間で1万9,000人分の業務量削減を、新テクノロジー導入により実現すると発表されたのも記憶に新しいことかと思います。
しかし、AIは、金融業界のみならず、一般ビジネスにも浸透しつつあります。
ネットショッピングにおけるAI
先行しているのはインターネットショッピングです。
アマゾンなどのインターネット上で買い物をすると「お勧め商品」が出てきますが、この「レコメンド機能」もAIです。
同じような属性のユーザーがどのようなものを購入する傾向が強いのか、膨大な過去データを解析した上で表示させています。
同じように、ネット上の広告表示も同じです。
最近では、一人一人の生活習慣も認識しはじめています。
時間によってパソコンによる広告表示が最適なのか、スマートフォン表示が最適なのか自動で判断しています。
仕事中の日中には何を表示するのが最適か、夕方以降のプライベート時には何を表示するのが最適なのか、一人一人の属性を理解したうえで表示することも可能になっています。
その他ビジネスにおけるAI
ネット分野だけではありません。
タクシー業界でもすでに導入されています。
NTTドコモが開発した「AIタクシー」。
一般的に「流し」と呼ばれる、タクシーを動かしながらお客様を探す方法があります。
多くの場合、ベテラン運転手が感と経験で売上を上げる世界でした。
しかし、今は過去の乗車した場所、乗車時間などをAIに読み込ませることで、最適な「流しルート」を確立しています。
実際に活用した事例では、約1.5倍に売上アップを実現させていると言われています。
さらに人材業界も活用し始めています。
大手の人事アウトソーシング会社では、応募者の書類選考段階でAI活用による自動分類も進められてきています。
過去の入社データ、退社データなど様々な過去データから、自社に適した人材の分類にも「最適解」を導き出しています。
AIは、すでに多くの分野に導入されており、今後、すべての産業に導入される技術であるといっても過言ではありません。
AIの市場規模
このように、学ぶべきものを学ぶことができるようになってきたAI。
すでに人の手を介さずに、自ら学び続けることが可能となってきました。
ここからAI(人工知能)は、さらに「加速的に」進化するでしょう。
AI(人工知能)がより高度な学習を自ら行うようになれば人間の負担は減り、業務は飛躍的に効率的になると予想されます。
AIは2035年までに16の業種で経済成長を平均1.7%向上させ、2035年までに生産性を40%以上向上させる可能性があると発表もされています。
出典:アクセンチュアリサーチとフロンティアエコノミクス発表
https://www.accenture.com/jp-ja/company-news-releases-20161117
さらに、人工知能市場は、2016年から2021年までに年間平均成長率は73.6%、2021年の市場規模は、2016年の約16倍となる2,501億900万円になると予想されています。
出典:IDC Japan「コグニティブ/AI(人工知能)システム」国内市場予想2017年11月
まとめ
AIはすべての産業、業界に多大な効率化、改善をもたらし始めています。
現在、大手企業が中心となって導入していますが、すでに先進的な中小企業でも活用し始めています。
人材不足が本格化する中、生産性向上、効率化は有効な対策の一つです。
効率化だけではありません。
マーケティング分野でも大きなパワーを発揮します。
競合市場でも、AIを活用できる企業と、乗り遅れる企業では、この先市場シェアも大きな差が出てくるのではないでしょうか。
同業他社が活用する前に、今、AIの活用方法を検討する必要があるのかもしれません。
AIなくて、未来は語れません。
今、AIをどのように活用するのか、その設計をした企業がその業界で生き残る、その分岐点にいるのではないでしょうか。
著者:嵐
元東証一部上場企業のベンチャーキャピタリスト。
主に国内アーリーベンチャー企業に対し発掘、支援に従事。
多くのベンチャー企業経営者と面談、新技術や新サービス分野に強み。