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事業革新:産業革命時代における企業のあり方

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こんにちは!栗原誠一郎です。

産業革命:技術革新と産業構造変化の波

産業革命は、一般的に18世紀後半にイギリスから始まった技術革新による産業構造の変化のことです。

蒸気機関による動力の獲得(人力による生産から機械による生産)による変化の流れを第一次産業革命とすれば、その後も技術革新・産業構造の変化は生じてきたわけです。

ポイントをどこに置くかで年代の区分は異なりますが、イギリスを中心とした第一次産業革命の次の波は、1860年頃からアメリカ、ドイツを中心に起きた技術革新・産業構造の変化といえるでしょう。

 

第二次産業革命で起きた変化とは?

第二次産業革命で起きた変化を見ていくと、歴史上、以下のような流れがあります。

1859年にアメリカで地中深くから連続的に石油を採掘する方法が確立され、アメリカで油田掘削が一気に広がり、それまでは高価だった石油の価格が低下。

一方、1886年にドイツのダイムラーがガソリンエンジンの実用化に成功。
貯蔵と運搬が容易な液体燃料を使用する内燃機関の登場は、自動車の商業実用化や飛行機の発明を可能にし、特に輸送の分野に大きな発展をもたらします。

そして1908年にアメリカでフォードがT型フォードの大量生産方式(ベルトコンベアー方式)を開発します。

また、イギリスが圧倒的な生産量を誇っていた製鉄においても技術革新が起こります。

1868年アメリカでカーネギーが鋼の大量生産を確立。その後、1889年にはイギリスの鋼の生産量をアメリカが追い抜きます。
当時、イギリスで中心的に製造されていたものは錬鉄(炭素含有量が多く、強度に欠ける)でした。

そして電気による動力もこの頃に実用化されます。

1886年にアメリカのスプレイグが実用的な直流電動機(モーター)を発明。1887年にはこの電動機を使った路面電車を走らせ、1892年には電動エレベーターも開発されます。

このように、石炭から石油へ、錬鉄から鋼鉄へ、蒸気機関から内燃機関そして電動機へ、技術革新が進んでいきます。
また産業が重工業化するにつれ、企業規模も大規模化していきます。
規模の経済を追求するために、企業の統合合併が進んでいったのです。

こうした第二次産業革命の流れの中で、第一次産業革命によって世界一の工業生産力を誇っていたイギリスは、以前掲載した記事のデータが示すとおり、アメリカ、ドイツに追い上げられます。

アメリカは1860年頃から工業生産力を飛躍的に伸ばし始め、1900年にはイギリスを抜いています。

これは上述した技術革新の流れを踏まえれば当然の帰結と言えるでしょう。

 

イギリスはなぜ第二次産業革命の流れに乗ることができなかったのか?

実は第二次産業革命で起きた技術革新の種自体はイギリスで生まれています。

例えば、カーネギーによる鋼の大量生産を可能にした生産方式の基礎を発明したのはイギリスのベッセマーであり、電動機の原理を発明したのもイギリスのファラデーです。内燃機関の原型であるピストンエンジンもイギリスで発明されています。

では、なぜイギリスはアメリカやドイツに後れを取ることになったのでしょうか?

これには色々な理由が議論されています。

例えば、イギリスは初等教育や工科大学の数がアメリカやドイツに比べて劣っていたからという説などは説得力のある理由だと私も思います。

しかし、私自身は、イギリスが第二次産業革命の波に乗ることができなかった一番の理由は、結局、第一次産業革命で工業化に先行し、事業として確立されていたことだと考えています。

イギリスは世界で最も早く工場制機械工業を導入したおかげで発展を遂げた訳ですが、工場制機械工業の発達の中で、多くの専門工を抱えていました。

そうした労働者階層が増える中で、労働組合も合法化され、1871年には労働組合法でストライキ権が保障されます。

このような状況の中では、既存の労働者の職を脅かすような新技術の導入に対してはあまり積極的にならないことは想像しやすいことです。

ましてや、その頃のイギリスの企業は個人の所有がほとんどであり、家族が豊かな生活を送る上では十分な富の蓄積ができていたわけですからなおさらですね。

 

常に事業を革新する意欲こそ、企業の存続発展の必須条件

成功すれば安定志向が増すのはどの時代でも同じです。しかし、競争相手が必ずいる中では、そもそも現状維持は不可能です。

例えば、中国は、競争力のある良質なエンジンを自主開発するのは技術的に困難であるため、電気自動車に的を絞って開発投資を行っています。しかし、それを見て、やはり日本の方が技術力に優れていると安心することはできません。

彼らは電気自動車で世界を制するために、自動運転技術も含め交通システム自体の開発にしのぎを削っています。
この開発努力により「移動」という目的において最適なシステムができれば、日本の自動車産業は競争力を確実に失うでしょう。

逆に、日本はエンジン車での優位性があるがゆえに、既存の事業も守りつつ、電気自動車にも投資を行うということになります。当然、投資は分散しますし、エンジン車が花形である企業文化の中で、電気自動車を開発するということは簡単なことではありません。

ここでは自動車を例にとりましたが、どの業界でも同じことは言えるでしょう。

今、IoTやAIにより個々の製品やサービスの優劣だけではなく、製品やサービスを使用する消費者にとって最適なシステムを提供する企業がこれからの産業を制する時代になってきています。

この第四次産業革命と呼ぶべき変化が世界で進行している中、既存の事業における経験によって積み重ねた知見が競争優位性確立のためには全く役に立たなくなることも充分ありえます。

日本は法的にも社会慣行的にも、従業員の解雇が難しい中で事業を革新していかなければなりません。

安定志向が強い日本ですが、企業存続のためには今の事業にどう新しいことを取り入れていくかが鍵となります。

その中で、日本企業はどうあるべきか、そして企業人はどうあるべきできでしょうか?
さて、皆さんはどう思いますか?

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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