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「ヒト」への投資

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こんにちは!栗原誠一郎です。

2018年春季賃上率2.56%

経団連の発表によると2018年の春季賃上げ率は2.56%となったとのこと。

昨年の賃上げ率は2.34%でしたから、昨年以上の賃上げが成されたことは事実ですが、安倍首相が要請していた3%には遠く及びませんでした。

この数字は定期昇給込みの値です。日本企業は新卒採用が基本ですから、1年目の社員が2年目の社員の賃金を追い越さないように、賃金体系は右肩上がりになっています。

この賃金体系を維持するための昇給が定期昇給ですね。

角度が低くなる賃金カーブ

しかし2.56%のうち例えば2.5%が定期昇給だとすれば、もし22歳の初任給が20万円だとした場合、毎年2.5%昇給しても50歳で40万円、つまり、新卒初任給の2倍にしかなりません。

実は高度成長期のはじめ頃、1960年代においては50歳の賃金は新卒初任給の5倍近くの水準でした。

ところが、高度成長期やバブル経済で人手不足になり、初任給相場が上昇する中、既存社員の賃上げは抑制され、だんだん右肩上がりの賃金カーブが寝てくることになり、今では2倍ちょっと超えるくらいにしかなっていないのです。

この50歳の社員のイメージは平社員ではなく、おおよそ部長クラスですから、最近、管理職になりたがらない社員が多くなったとよく言われます。

責任が重い割に給料が上がらない訳ですから、それも当然と言えるでしょう。

処遇改善=「ヒト」への投資

近年、日本企業も海外から経営陣を迎えることもあり、社長も含め役員クラスの報酬を引き上げる動きもありますが、管理職クラスの水準是正もしっかり取り組むべきだと思います。

もちろん、誰でも年齢が高ければ、また勤続が長ければよいということではありません。

能力主義を徹底し、役割に応じた処遇を行っていく必要があるでしょう。

そもそも、人件費は極力抑制気味でという発想では、今後の変化する企業環境の中で生き残れる企業になることは難しいと言わざるを得ません。

イノベーションを起こすのは結局「ヒト」

AIが進化しているとは言え、イノベーションをAI自体が起こしてくれるわけではありません。

AIなどの新しい技術を活用して、今まで世の中にないサービスや製品を考えるのは、やはり「ヒト」でしかないのです。

賃金は勿論のこと、先が見えない環境の中でヒトに対する投資を行える胆力のある会社こそが、結果として生き残れる会社になることでしょう。

人口が減少しても経済発展は可能

そして、日本の多くの企業がそのような姿勢で経営に挑めば、人口減少はあったとしても日本経済も発展し続けることは可能なのです。

そもそも人口が減少しているとは言え、1年当りの変化は1%未満です。

日本はかつて年率3%以上の生産性向上を実現してきました。

したがって新しい付加価値を世に生み出すことも含めて生産性向上を実現することは絵空事ではないのです。

日本企業は過去の長い不況の中で、人件費と言えば抑制すべきものという意識が固定化されています。今こそ、その発想を変える時なのです。

さて、皆さんの会社は「ヒト」に対する投資ができていますか?

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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