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人手不足はAIによって解消するのか?

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こんにちは。栗原誠一郎です。

人員削減を進める金融機関

最近、大手金融機関が国内の事務作業の自動化やデジタル化による業務効率化計画を次々と発表しています。

MUFG 「23年度までに9,500人相当の労働量の削減する方針」
三井住友FG 「20年度までに4,000人を事業部門へ再配置」
みずほFG 「2021年度に8,000人分、26年度までに1万9,000人分の業務量を削減」

もちろん、この計画はあくまでも「業務量」の削減計画であり、「人員削減」そのものの数字ではありません。

しかし、例えばMUFGでは、このような業務量の削減により、23年度までに自然減で6,000人程度人員が削減できるという見通しを出しています。

大手金融機関は世界経済の低成長や規制強化によって厳しい経営を迫られています。だから、AIにより既存業務の効率化・自動化を行って「人員削減を進めねばならない」のです。

 

AIによって人手過剰時代が来る?

このような記事を見ると、少子高齢化によって今は人手不足ですが、AIの進展によって、近い将来は逆に人手過剰になるのではと思ってしまうかもしれませんね。

実際、AIの進展により2030年には最大で人口の最大9割の人が失業すると予測する専門家もいます。

これは「最大」での「予測」ですが、この予測が正しければ人手過剰時代になるといってよいでしょう。

一方で、厚生労働省は異なった推計を行っています。
(平成29年版「労働経済の分析」p112~ http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/17/dl/17-1-2-1_03.pdf

AIの進展により2030年までに就業者は約161万人減少するものの、働き手の数を示す労働力人口はそれ以上に減少しており、単純に試算すると、 失業者は増加せず、むしろ約64万人労働力が不足するというのです。

 

AI時代における雇用環境の見方

私自身は、厚生労働省の推計の方がリアリティーがあると感じていますが、もちろん結果がどうなるかは、誰にも分りません。

でも、AI時代における雇用環境において確実に言えるだろうということもあります。

それは、企業が欲しいと思っている人材と応募してくる人材の能力とのギャップが益々広がるということです。

上述した金融機関と同じように、足元で人手不足が進む中、企業は人手に頼っている既存業務をAIも含めた機械化・自動化により削減していかなければなりません。

そうなると企業が欲しい人材は、技術の必要な職種や人間的な付加価値を求められる職種に限られてきます。一方で、少子化によって数値的には大学進学率は年々上昇しているものの、残念ながら大卒の平均的レベルは下がる一方でしょう。

そうなると、純粋に「頭数」でみれば人手過剰になる可能性はあっても、「質的」にみれば人手不足の状況は変わらないということになります。

 

高まる人材育成の重要性

長期雇用慣行のある日本においては、昔から採用の失敗は40年以上の負債を抱えることと同じといって、いくら人手不足といっても採用基準は絶対に緩めてはならないと言われてきました。私もそのとおりだと思います。

ただ、人がいなければ事業は成り立たたないのも事実です。

したがって、物足りないと思う人材でも、採用後に教育によって戦力にしていくのだという「覚悟」と、実際に人材育成を行っていく「体制」が重要になってくるのです。

ゆとり教育や大学教育の質の低下を嘆いていても仕方がありません。

AI時代の本格的到来にむけて、学校教育に頼ることなく企業としてどんな準備を具体的に行っていくべきか?今から真剣に考え、行動に移していくことが必要だと私は思います。

 

さて、皆さんの会社は、AI時代の雇用環境に対応するために、今、どんな準備をしていますか?

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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