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企業に所属する意味を示す

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こんにちは!栗原誠一郎です。

「会社に所属する意味はあるのか」

これは、名著「ストーリーとしての競争戦略」の著者としても有名な一橋大学の楠木教授のインタビュー記事のタイトルです。

記事の中で楠木氏は、

インターネットの発達によって、物やサービス、そして人間まで市場で簡単に取引できるようになりました。だからこそ『長期契約という形で会社という組織に所属するのか』ということは、今一度みんなで考えなければならないと思います。

と話しています。

確かに、副業が解禁され、クラウドワークスやランサーズのような個人が自分のスキルを取引できるようなインターネットサービスも出現しています。

一方では人手不足により人材の流動化が進むという状況の中で、社員がいつまでも自社に所属し続けてくれると思っているとすれば、それは大きな間違いです。

実際、皆さんの会社の中にも若手を中心に離職者が増加している会社もあることでしょう。

最近の転職サイトのTVCMで「条件は今より良い会社」といったキャッチフレーズを展開しています。

昔に比べて転職を気軽に捉えるような風潮がある今、離職者側にも問題はあるのかもしれません。

実際、転職しても結局その会社で上手く行かず、またすぐに転職するという話もよく聞きます。

しかし、離職者に対して、自社に所属し続けることの意味が理解されなかった事は事実でしょう。

 

労働条件を超える価値を創る

長期雇用慣行を前提とした「日本的経営」にはメリットもあればデメリットもあります。

知長期雇用により、知見の集積が実現しやすいといったメリットがありますが、一方で企業側から社員を解雇することはできませんから、コストも含めて硬直化しやすいというデメリットもあります。

したがって、単に優秀な人材の離職を減らすためだけではなく、年功序列ではなく、能力や貢献に見合った処遇を行うことは必要なことです。

また女性の高学歴化が進み、基幹社員における女性の構成比が高まる中で長時間労働の是正も必要でしょう。

しかし、それは優秀な人材が自社に所属しつづける前提条件ではあっても、十分条件ではない。いや、そういった労働条件は前提条件でさえないとも言えるのです。

以前の私の記事(本当の働き方改革)でも書きましたが、本当に仕事が好きであれば労働条件はさほど重要な問題ではなくなるのです。

実際、私が講師をしている異業種交流型研修の受講生の中にも、口では会社の労働条件に文句は言いながら、楽しそうに仕事をしている優秀な社員は沢山います。

楠木氏の言葉を借りるとすれば「明るく疲れる」ことができる会社であれば、世間でいわれるところの労働条件は悪くても、優秀な社員の離職も少なく、また会社も長期的には発展していくでしょう。

 

「自社ならでは」に拘る

では、社員が「明るく疲れる」ことができるようになるためには、何が必要でしょうか?

それは「自社ならでは」の理念でありビジョンだと私は思います。

皆さんの会社にも理念やビジョンはあるでしょうが、「自社ならでは」というものになっているでしょうか?

顧客満足の追求だとか、〇〇年までに売上〇〇億円みたいな理念やビジョンであれば、会社は変わっても大した違いはありません。

逆に言えば、ユニーク過ぎて共感できない人もいるかもしれないという位でもよいと思います。

その代わりに共感してくれる人材は、会社を離れることはないでしょう。

これは、マーケティングでも同じですよね。あまりにも沢山の顧客をターゲットにしてしまうと、メッセージがぼんやりしていまい、結局、どの顧客にも伝わらなくなります。

そもそもいくら優秀な人材だけを集めても、それは「機能」を集めているだけでしかありません。

「機能」の合計だけでは、想定以上のパフォーマンスは発揮できないし、逆に不調和で想定以下のパフォーマンスになることもあるでしょう。

「自社ならでは」の理念やビジョンに共感してもらえていれば、侃々諤々の議論があったとしても、そのゴールに一歩一歩近づいていくのだと思います。

 

さて、皆さんはどう思いますか?
皆さんの会社には「自社ならでは」の理念やビジョンがありますか?

そして、皆さんはどうして今の会社に所属し続けているのですか?

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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