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研究開発投資のあり方

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こんにちは!栗原誠一郎です。

日本の大企業は中央研究所を廃止する?

本日(2018/2/26)の日経新聞に、日本企業が海外優良企業と比較して、研究開発投資の効率が低いといった記事が出ていましたね。

この効率の違いは、研究開発のスタイルの違いが影響しています。

日本の研究開発投資は「自前主義」ですが、海外優良企業は他社と連携して研究開発を進める「オープン・イノベーション」が主流であり、日本企業の中でも研究開発の投資効率が高い企業は「オープン・イノベーション」に舵を切っているとのこと。

その流れの中でコマツは2015年に中央研究所を廃止したそうです。

中堅中小企業こそ「オープン・イノベーション」のノウハウを蓄積すべき

よくよく調べると、コマツは新規事業開発より、既存事業の強化に重点をおいたため、研究開発体制を再編したというのが実態で、「廃止」という言葉はややキャッチーな印象を受けます。

この「オープン・イノベーション」という考え方は、大企業のように自社で巨額な研究開発投資ができない中堅中小企業こそ、そのノウハウを蓄積すべきだと言えます。

もちろん、この記事を読んでいただいている方の中には、「うちの会社でも大学と共同研究はやっている」という方もいるでしょう。

でも、そのレベルであれば、大企業だって昔からやっている訳で、大企業と伍して戦うための取り組みとしては不十分です。

企業の存続発展のために、自社が実現したい事、解決したい課題があるなら、もっと貪欲に可能性を探索しなければなりません。

優良中堅中小企業が気を付けるべき「大企業病」

よく海外の大企業と比較して日本の大企業は昔から、中堅中小企業の技術を正当に評価してくれないという話はよく聞きます。

これこそが日本の大企業が飛躍できない原因であり、優良中堅中小企業もこうした「大企業病」に陥る危険性がある訳です。

経済産業省がまとめた「民間企業のイノベーションを巡る現状」によると、日本の大企業が技術連携に躊躇している様子がよく分かります。

・他社との連携は自社の技術力や技術員の否定することになる。
・他社との連携は知財権や情報漏洩も含め色々なリスクもある。
・だから、必要だと思ってはいるものの二の足を踏む。

そこそこ安定した業績であればなおさらです。

そもそも「安定」は無いし、「リスク」も無くならない

しかし、この認識は的外れ以外の何物でもありません。

そもそも現在の競争環境や技術革新のスピードを踏まえれば、現在は安定した業績を実現できていたとしても、長期的にそれを維持できる可能性は低いといってよいでしょう。

いくら自社に優れた技術資源があったとしても、すぐに陳腐化していくのです。

だからこそ、常に自社の自前主義にこだわっていては成長もできませんし、長期的には生き残ることさえ難しくなるのです。

他社との連携によるリスクは確かに存在するかもしれませんが、自前で事業を行っていても様々なリスクがある訳で、だからと言って現在の事業を止めることはないのです。

したがって、ことさらに他社との連携に関するリスクを強調するのは、単に他社との連携をやりたくないからする言い訳にしかすぎません。

イノベーションに「オリジナル」は無い

先述した経済産業省の資料にアメリカのP&Gの事例が掲載せれています。
P&Gはイノベーションの50%を外部との連携で実現するという目標を打ち出し、業績を拡大させました。

P&Gのような超優良企業でさえ、自前の技術力だけでは成長は難しいと判断した訳です。

そもそもイノベーションはゼロから新しいものが生まれる訳ではありません。
いくつかの知見が結びついて生まれるものです。

そう考えれば元々「オリジナル」などない訳ですから、自前に拘る意味もないわけです。

意味の無いプライドに拘ることなく、どうすれば顧客に新しい価値を提供し、自社が成長できるか、その1点を考えて、貪欲に社外にアンテナを張り、そして柔軟に連携を進めていくべきでしょう。

 

さて、皆さんの会社では、オープン・イノベーションはどこまで進んでいますか?
そして自社でオープン・イノベーションを進めるために、何が必要だと思いますか?

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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