中堅企業が取り組むべきコンプライアンスの徹底方法その4

企業のコンプライアンス違反とその影響

コンプライアンス違反とは

コンプライアンスとは一般的に「法令遵守」のことを指しますが、近年法律の間隙を縫って不正を行ったり、下請けの従業員や消費者(利用者)などへの倫理性の欠けた行為(コンプライアンス違反)が問題となり、各企業が法律のみならず企業倫理や社会通念に則って取り組むことが必要になっています。

 

中堅企業におけるコンプライアンス違反とは

上場企業においては、2007年の金融商品取引法の施行によって、コンプライアンス違反における内部統制報告制度が導入され、内部統制の構築とその整備・運用が義務付けられています。

しかし、中堅企業においては経営者のワンマン体質等により、その対応が非常に遅れています。

景気不調や競争激化などを背景に企業は生存をかけ、経営のスリム化や業績拡大などの利益追求の姿勢を強化する傾向にあります。

一方で利己的な利益追求に傾きすぎてしまうと、コンプライアンス違反を犯さざるを得ない場面に直面してしまう可能性があります。

そこで倫理感の欠落した判断をしてしまうと、目先の利益追求のために違反をしてしまい、その結果、会社の信用低下・存続危機を招いてしまいかねません。

コンプライアンス違反を冒してしまわないためにも、コンプライアンス強化は必要です。

 

中堅企業におけるコンプライアンス違反の影響

企業におけるコンプライアンス違反は、損害賠償訴訟などによる法的責任や信用失墜による売り上げ低下などの責任を負います。

近年の景気回復基調に伴って増加する仕事量に対して、資金繰りや社内体制強化が追いつかなくなる中小企業も多い傾向にあり、粉飾決算・融通手形・循環取引・不透明な資金操作・詐欺など法令違反が相次いで明るみに出ています。

2015年度までのコンプライアンス違反による企業の倒産件数は増加傾向にあり、前年比三割増、過去最多を更新するほどです。

コンプライアンス違反による倒産の原因を類型別に分類すると、不正取引や循環取引・融通手形などで決算数値を過大にさせる「粉飾」が最大です。

その他にも近年の増加傾向が大きい「資金使途不正」、「業法違反」が主要なコンプライアンス違反の原因にあります。

複数の金融業界の破綻のみならず、循環取引による連鎖倒産も多数発生したのが近年のコンプライアンス違反の増加の一因です。

具体的には以下のような影響があります。

 

信用の失墜

法令違反そのものも大きな問題ですが、同時に「社内のコンプライアンス体制に不備があり、内部統制の効いていない企業」というイメージが一気に広がってしまいます。

消費者・取引先からの信用

消費者や取引先の信用を失うと、不買や取引自粛などによって売上げが大きく低下することになります。

株主からの信用

売上・収益が低迷すれば株価が下がるのは当然のことです。

その原因がコンプライアンスの問題であった企業は、その企業を信頼して長期的に株式を保有していたような安定株主からも見放されてしまう恐れがあります。

求職者からの信用

一般にコンプライアンス違反は、その企業の社内風土に問題があると考えられているので、違法行為が発生するような企業風土の中で長期間働きたいと考える人は少ないでしょう。

良い人材が採用できないと、長期的に企業力が低下していく恐れがあります。

行政からの罰則・処分

法令違反に対する行政の対応は、近年着実に厳しくなっています。

行政側が処罰を厳しくしている背景には、企業内のコンプライアンス体制の整備を後押ししていこうという狙いがあります。

損害賠償・株主代表訴訟

コンプライアンス違反で企業がダメージを受けた場合、株主は経営陣に対して、必要なコンプライアンス体制の構築を怠った責任を問い、損害賠償を求める訴えを起こすことが多いです。

その結果、司法が経営陣の責任を認めれば、取締役は私財で賠償を行わなくてはなりません。

企業風土の荒廃

違法行為を当然とするような事業運営を行っている企業では、従業員が不正を当たり前と感じるようになってしまい、消費者や取引先への不当な営業、あるいは自社の物品や資金の横領、不良品の見逃しといった問題を起こしやすい環境になり、その結果、離職者も増えることになるでしょう。

 

コンプライアンス違反の事例

これは前年度の191件と比較して減少しており、コンプライアンスの考え方が以前よりも浸透していることが伺えます。

実際に違反した事例で最多だったのは業法違反や法令違反で、次に多いのが脱税などの税金関連の違反です。

うちは法令違反なんかしていないから大丈夫だよと思った方がいらっしゃるかもしれません。

ですが、法令違反や脱税だけではなく、より身近なところでコンプライアンス違反をしてしまっている可能性があります。

例えば、サービス残業、パワハラもコンプライアンス違反に該当する危険性が十分にあります。

気づかないうちにコンプライアンスに違反してしまったということにならないためにも、どのような行動が違反に該当するのか知っておきましょう。

 

コンプライアンス違反が起こる原因

コンプライアンスの原因の一つとして、自分がとった行動が違反していることに気づいていないことが挙げられます。

違反している状態そのものが当たり前になってしまうという危険性があります。

また、仮にコンプライアンス違反だと気づいていても、それを報告、相談しにくい環境では改善することは難しいでしょう。

例えば、サービス残業が当たり前になっている会社では、社内で報告しづらいことが予想できます。

コンプライアンスの正しい知識が社内に浸透しておらず知らないうちに違反してしまう、あるいは社内が相談しにくい環境にあり、気づいていてもそのままになってしまっているといった原因が考えられます。

 

コンプライアンスで気を付けるポイント

気づかないうちに違反してしまうことがないよう、まずはコンプライアンスに関する正しい知識を身につけることが重要です。

書籍を読んだり、外部の講師を社内に呼んで研修を行ったり、セミナーに参加したりといったさまざまな方法があります。

また、社内でコンプライアンスに関する相談がしやすい環境を作るという方法もあります。

 

会社によっては、CCOChief Compliance Officer)と呼ばれる社内のコンプライアンスを統括する役職を設置していることもあります。

CCOの設置が難しい場合、社内で相談できる窓口を作るなど、相談しやすい環境作りが大切です。

また、東洋経済では内部通報が多い企業ランキングを発表しています。

内部通報が多い会社にネガティブな印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、内部通報が多ければ、それだけ社内がコンプライアンスに関して相談しやすい環境といえます。

同じ業界でランクインしている企業があれば、参考にできるポイントがあるかもしれません。

「うちは社員も少ないし、コンプライアンスまで手が回らないよ」と思われるかもしれません。

ですが、相談しやすい環境を作る、コンプライアンスに関する知識を共有するといった小さなことからでも取り組むことができます。

 

ご紹介した違反事例も参考にしながら、自社でできそうな施策を模索していきましょう。

 

著者:上田謙悟

中堅中小企業にとってますます重要となっているコンプライアンスに関して、単に法令を遵守するにとどまらず、企業活動の社会的な責任を果たし、従業員のポテンシャルを引き出し、モチベーションを高め事業展開を活性化していくシステムを構築し浸透させていくための方策などについて多くの企業に紹介している。

 

 

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