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web3.0、industry4.0、Society 5.0等の体系化と経営的意味

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ビジネス用語体系化

内閣府のSociety概念によるビジネス用語体系化

(1)Society概念によるビジネス用語体系化全体像

内閣府は社会の変遷を上記画像のように5段階に分けて捉えています。
この分類に従ってシリーズ化されているビジネス用語を年代順に並べてみると以下のように体系化できます。

(2)管理社会の誕生:Society1.0から2.0
狩猟社会から農耕社会への変遷のポイントは管理社会が生まれたことです。
安定した収穫をあげるために分業による管理が必要になったのです。

このマネジメントの概念が産業革命で発展していきます。

(3)モノづくりからデータ処理へ:Society3.0から4.0/5.0

Society概念の変遷で一番重要なのが、3.0から4.0への移行です。

ビジネスの主役がハードからソフトに変わり、垂直統合による「すり合わせ」から水平分業による「トライ&エラー」による経営が必要になったのです。

この変化に日本企業が対応できなかったことは第2回記事でまとめています。

産業革命(industry)と情報革命(Web)

(1)現在の社会構造を作った産業革命

農業革命と産業革命(industry)1.0はほぼ同時に起こりました。
大規模農業が発展する過程で、農村を追われた小作人が工場労働者となり都市化が進んだのです。

大量生産が可能になったindustry2.0で大量の労働者を管理する手法が開発され、それが企業や教育、社会そのものを管理する手法に発展していきます。

IT技術によるオートメーション化で生産が安定したことで、時間給の概念が生まれました。

(2)GAFAを生み出した情報革命

情報革命で生まれたコングロマリットは、産業革命時代のコングロマリットとは全く異なるものです。

従来のコングロマリットが吸収した存在をうまく活かせなかったことと異なり、サブスクリプションのコンテンツとしてシナジーを実現し複利的に力を増幅させているのです。

これからのビジネス環境

(1)GAFAから情報を奪い返すWeb3.0

ユーザーが作り出したコンテンツとデータがプラットフォームで一元管理され、利益も管理者に集約されてしまう現状に対して、Web3.0では、それぞれの端末で分散的に管理できるので、特定企業に利益が集中することを回避できます。

(2)新しい経済圏の誕生

新しいサイバー空間として話題となっているメタバースは、現在3つの世界に分かれているという(上記図表参照)。

しかし、三菱総合研究所「内外経済の中長期展望 2018-2030年度」によれば、単なるコミュニケーション空間でなく、経済活動が営まれる1つの社会が生まれるとのことです。

それはリアルな世界とは異なる人格(アバター)が動き出す「多重世界」になることが予想されています。

(3)マズローの欲求5段階とビジネス環境変化の整合性

マズローの欲求5段階とは、自己実現に向けて低次の欲求から変遷していく個人の心理をまとめたものです。

しかし、その過程は、これまでまとめてきたビジネス環境の変遷と極めて高い整合性を有します。

Industry2.0で大量生産が可能になった20世紀初頭、最低限度の衣食住の充足が可能となり、物理的欲求を充たせるようになりました。

インターネットが普及するようになると精神的欲求を充たすため、企業にCSR活動が求められるようになり、所属欲求と承認欲求を充たすSNSが日常的なコミュニケーションツールとなっています。

これからのビジネス環境のフォーマットになるWeb3.0は、成長動機を満たすために構築されていくことが予想されます。

ビジネス用語の経営的意味

industry(産業革命)1.0~4.0

都市集中や官僚的組織スタイル、時間給など現在の社会構造を創り出したindustryシリーズは、AIと融合することで4.0に入ったとされています。

しかし、オートメーション化と省人化が進展しただけで、3.0の範疇から抜け出せていない段階ともいえます。

Web(情報革命)1.0~3.0

Webは基幹技術の変化と共に大きく登場人物が変わることが特徴です。

テキスト中心のWeb1.0はテキスト作成に優れたマスコミとその記事を集積したWebサイトが中心でした。

AIが登場し動画コンテンツがメインとなるWeb2.0では、多くのデータを集めた者がそれを活かして利益を独占しています。

しかし、端末ごとにデータを分散的に記録・処理できるブロックチェーン技術が開発されたことで、その利益はコンテンツ作成者に帰属するという自然な流れが生まれようとしています。

Marketing1.0~5.0

Marketingとは、ターゲットのニーズ・ウォンツを捉え、売れる仕組みを作ることです。

そのため、マズローの欲求5段階と高い整合性を有します。

特に所属欲求と承認欲求を充たすSNSとスマートフォンの日常生活への浸透と、生活のあらゆる場面で活用されるIOTによる自己実現というこれからの社会への示唆は、ビジネスの未来を予測するうえで大いに参考になります。

最新ビジネス用語(Web3,0の世界)

最新のビジネス用語は、Web3.0の基幹技術であるブロックチェーンから生まれたものが多く、Web3.0の世界を体現するものばかりです。

(1)ブロックチェーン
平成30年度情報通信白書によれば、ブロックチェーン技術とは、「情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を、暗号技術を用いて、分散的に処理・記録するデータベースの一種」です。

特定管理者に依存しない透明性とトレーサビリティ、改ざん不可能性、高い耐障害性が特徴です。

いずれの特徴も端末ごとに分散的に処理・記録できるDecentralizedに由来するものといえます。

(2) DAO
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの頭文字をとった略で、「分散型自律組織」と訳されます。

Decentralizedが使われていることからわかるように、特定管理者に依存しない透明性とトレーサビリティ、改ざん不可能性、高い耐障害性をもつブロックチェーン技術で構成される意思決定組織です。

組織といっても誰でも参加可能で、プログラミングが得意な人は組織そのものの構築に参加し、プロモーションが得意な人は、マーケティング戦略でその力を発揮することで、DAOに貢献するのです。

その対価も仮想通貨やNFT等のブロックチェーン技術を使ったトークンです。

(3)DeFi
DeFiとは、Decentralized Financeの頭文字をとった略で、「分散型金融」と訳されます。

透明性やトレーサビリティ、改ざん不可能性、高い耐障害性等ブロックチェーン技術の特性が活かせる分野です。

さらに場所や時間を選ばず審査も無いので手数料は安くなり、アフリカ等、従来の金融システムでは進出できなかった地域でさえ、スマートフォンがあれば利用できるのです。

従って、Defiを活用することでこれまでアプローチできなかった市場で、取引できる可能性が広がります。

(4)NFT
NFTとは、Non Fungible Tokenの頭文字をとった略で、Fungibleは代替可能性を意味し、「非代替性トークン」と訳されます。

トークンとは、プログラミング上意味を持つ文字配列です。

ブロックチェーン上にその権利を証明する所有記録や鑑定記録として文字配列されることで、デジタル上のコンテンツに所有と譲渡の概念をもたらすことに成功しました。

JETRO「米国発NFTの最前線」によれば、2021年のNFT市場は140億ドルに達しているとのことです。

おわりに

第1回記事では、ビジネス用語を体系的にまとめてきました。
その体系はマズローの欲求5段階で整理すると分かり易くなります。

これまでのビジネスは、欠乏動機をどう満たすかで進化してきました。

しかし、これからは成長動機をどう満たすかでビジネスが展開される時代に入っています。

衣食住に足りないところがあっても、所属する社会や集団に承認されなくても、自分の信じる価値向上のためにモノやサービスを求める時代です。

そしてその成長動機を充たす空間がWeb3.0で生まれようとしています。

第2回記事では、こうしたビジネスの変遷に、日本企業、特に日本の中堅中小企業はどう対応し、どう位置付けられてきたのか、をまとめています。

著者:maru
2011年から中小企業診断士として経営コンサルタントをはじめる。
通常の企業経営コンサルから、無農薬農業経営、介護施設運営等の幅広い業種に関わり、
エンターテインメント施設の開業のための市場調査から、債務超過企業の事業デューデリジェンスまで、企業成長段階に応じたコンサルタントを行っています。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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