今まであまりICTを取り入れてこなかった企業が導入を考えるとき、変化を考えて小さく試した方が良いと言うお話はこの連載でもしてきました。
その中で、必ず検討した方がいいと思えるツールはGoogleの提供するツール類です。
最近「Google Documentで共有します」など言われることはありませんか?メール、文書、表計算、プレゼンテーション、Webの分析ツールなど現在のインターネット上にあるサービスはGoogleのテクノロジーの影響下にあるといっても過言ではないほど、Googleのツール類は様々なサービスを網羅しています。
無料プランでもかなりのサービスを使うことができるのですから、使わないのは損!としか言いようがありません。
この記事では、数々のGoogleツール類の中でも基本的なものを5種類ご紹介することにしましょう。
Googleはなぜこんなにたくさんのツールを提供している?
インターネットで調べ物をするときにGoogleの検索を使っている方は多いと思います。
しかし、Googleのツールは30種類近くのものがあり、ほとんどは無料プランでも利用することができます。
なぜこんなに多くのサービスを無料で提供しているのでしょうか?
Googleは広告収入で利益を得ています。沢山の人がGoogleのサイトを見れば、それだけGoogleの広告が表示され、宣伝効果が高まります。
ですから、世の中の人はますますGoogleを見て物を買うことが多くなり、Googleに広告を出すと効果があがる、と良い循環が出来上がっていくのです。
もう1つは、その広告のために、無料のサービスで膨大なデータが集められることです。
どんな属性(年齢、性別、住所など)の人がどんな検索をしたか、というデータがGoogleには集められます。
それらを直接使うことはありませんが、統計として集められ、「こういう人はこういう興味を持っている」といったマーケティング用のデータがGoogleには溜まっていきます。
これによって、さらに1人1人の興味にあった広告が表示され、そこから物を買う可能性が高くなっていくのです。
Googleアカウントはどうやって作れる?無料アカウントはいくつ作ってもいいの?
Googleアカウントはここから作れます。1アカウントで1つのメールアドレス(Gmail)、15GBのGoogleドライブと呼ばれるクラウド上の保存領域、そして各種Googleのツールを利用することができます。
Googleのアカウントは1人で複数作ることができますので、顧客からの問い合わせを受け付けるためのアカウントと個人的にやりとりするためのアカウントを分けたり、個人でGoogleアカウントを持っていても仕事用の別アカウントを持つこともできます。
もっとも、会社のシステムとして活用するなら有料版の「G Suite」がおすすめです。
ほとんどの会社では、「XXXX@company.com」といった独自のドメインのメールアドレスを持っていることが多いでしょう。
これをGoogleツールと組み合わせて使えた方が従来のメールとGoogleアカウントが別になっているよりも使いやすいですよね。1アカウントあたり月680円(いつでも契約、解約できるフレキシブルプランの場合)でGoogleドライブは30GBまでとなります。
G Suiteでは企業用のSNS「Currents」を使うことができますので、企業内でのコミュニケーションを活性化させるためにも有効活用が可能です。
使って損はないGoogle基本ツール5種類
(出典:Googleサービス一覧ページより)
Gmail~世界標準のメールツール
Googleの標準メールツールGmailは今やEメールのスタンダードとも言えるでしょう。
PC、スマートフォンで快適に使えるほか、複数のアカウントの切り替えもスムーズにできます。
また、メール内の検索機能がGoogleの技術を使っているため非常に優れています。
メッセージの内容がうろ覚えでもかなりの精度で探し出してくれるのが助かります。
迷惑メールのフィルター機能にも優れていて、他のメーラーよりも迷惑メールが来にくい仕組みになっているのも嬉しい所です。
Googleドライブ~Googleで作ったファイルではなくても保存・共有可能
無料アカウントであれば15GB、有料アカウントであれば30GBの大容量を保存できるGoogleドライブ。
Googleで作った書類、ファイル類しか保存できないと思っている人も多いのですが、実は何のファイルでも保存できるのです。
仕事上の共有ドライブとして利用しても便利ですし、変更履歴なども残るのが便利です。
もちろん、ファイルの検索機能にも優れています。ここで必要なファイルを共有して、見える化するだけで組織の生産性が上がる場合も多くあります。
Googleドキュメント~文書作成はこれでOKな便利ツール
文書作成、いわゆるMicrosoft Wordなどに当たるGoogleのツールがGoogleドキュメントになります。
タイトル、見出しなどを付けたり文字の大きさ、色を変えたりといった基本機能はもちろん、図表や画像もいれた文章を作ることができ、作ったドキュメントはMicrosoft WordやPDF形式でのダウンロードも可能です。
このツールの便利な機能は、実は音声入力。
Google ChromeのブラウザでGoogleドキュメントを開くと、音声入力ツールを使うことができます。
この精度は日本語であっても非常に優れており、かなり難しい内容を話す講演会であっても、9割がた問題なく文字起しができました。
もちろん、普段の文書作成に音声入力を活用することで仕事を効率化することも可能です。
Googleスプレッドシート~表計算の基本的な機能は網羅
表計算、いわゆるMicrosoft Excelに当たるGoogleのツールがGoogleスプレッドシートになります。
数式による計算、関数、グラフ、データのフィルターや並べ替え、マクロなど少しExcelとは使い勝手は違いますが使えます。
さらに、Google Chrome上では「アドオン」と言われる追加機能を入れることができ、詳細なデータ分析や美しいレポートを出力するなど、追加機能を入れて仕事に役立てることも可能となっています。
Google Chrome上で「Chromeウェブストア」にアクセスすると、翻訳機能やレポート、グラフ機能、またZoomやLINEなどほかのアプリケーションとの連携機能のアドオンがインストールできます。
Web上多くは無料ですので、ぜひ活用してみましょう。
Googleプレゼンテーション~プレゼンピッチはこれ1つで十分
Microsoft Powerpointなどにあたるプレゼンテーション資料を作れる機能になります。
シンプルで美しいデザインテンプレートが用意されており、誰でも見た目にわかりやすいプレゼンピッチを作ることが可能です。
また、アニメーションやYouTubeの埋め込みなどもできますので、動画と組み合わせたプレゼンテーションが可能となっています。
いかがだったでしょうか。
Googleのツールは使いこなせばそれだけでビジネスが進んでしまうほど充実していますが、まずは必須と思われる5種類のツールを紹介しました。
ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションに関しては、Windows、Mac、スマホ共に使えますし、ファイルを共有して複数人で編集することも可能ですからグループでの仕事がはかどります。
次回は、さらにビジネスを加速させるGoogleツールについてご紹介していきます。
著者:中尾 凛
働き方改革コンサルタント、ITライター。約20年にわたるIT業界の経験から、企業がリモートワークやツールの導入でどのように生産性を上げられるかを実践中。海外での事例などを調査し、Webメディアなどでの紹介もしている。