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導入前に責任者が知っておくべき健康経営の歴史

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近年「健康経営」と呼ばれるキーワードが登場しています。

健康経営は、経営者や人事担当者だけではなく、現場の従業員にも浸透してこそ、経営全体に大きな影響を与えるものです。

健康経営が気になっていて、専門家にも御社には必要だと言われているなら、まず最初に健康経営の歴史について学んでみてください。

健康経営とはどのようなもの?その歴史と変遷

健康経営が登場した社会的背景

「健康経営」は、企業が従業員の健康管理を経営課題として捉え、積極的に改善に取り組むことで、生産性の向上や組織の活性化が得られる優れた経営手法です。

しかし、これまでの健康管理といえば、従業員個人が任意で実施すべきものでした。

ところが、近年の研究結果において、従業員の健康を保持・増進すると、企業全体のパフォーマンスに大きく寄与することがわかってきています。

そのため、健康経営を次なる企業成長への投資として捉えて、積極的に健康経営に取り組むような流れが進んでいます。

日本での健康経営は、経済産業省やNPO法人健康経営研究会などが推進・活動を行っていることから、大企業はもちろん中堅中小企業でもよく認知されてきています。

少子化がもたらした労働力不足

健康経営が登場した理由の一つに、少子化による急激な労働力不足が挙げられます。

日本の生産年齢人口は、過去20年間で1,000万人以上も減っている事実も見逃せません。

そして、将来も生産年齢人口の減少は確実に進むことが予想されているからです。

『第2節 日本の人口動態と労働者構成の変化』(中小企業庁)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b2_1_2_1.html

定年退職年齢の引き上げや社員の高齢化

生産年齢人口の減少に合わせるかのように、定年退職年齢は引き上げられています。
それでも労働力不足の解消にはなっていません。

しかも、2025年からは、定年退職が65歳以上に引き上げられ、職場の平均年齢が高齢化します。

問題は高齢社員になるほど、健康に不調をきたす恐れがあることです。

こうした理由から高年齢層が健康に働ける職場環境の整備が必要となり、健康経営が注目されるようになったというわけです。

健康経営の変化によって経営や社会にどのような影響をもたらしたのか?

従業員の健康状態が生産性を左右する

従業員の健康状態は企業の生産性を左右することは、昔からわかっていたことでしたが、その裏付けとなる証明がなかったことが残念です。

しかし、海外では従業員の健康と企業の生産性の関係を科学的に証明する研究が少しずつ進んでいました。

健康経営を科学的に証明する研究が登場

「健康経営」の概念を提唱したのは、アメリカの臨床心理学者ロバート・ローゼンです。

ロバート・ローゼンは、アメリカの企業の事例を分析・調査し、健康な従業員が多ければ、組織全体のパフォーマンスが向上することを証明しました。

「Healthy Company(ヘルシーカンパニー)」の新しい概念が登場

臨床心理学者ロバート・ローゼンによって、経営と従業員の健康管理を統合した「Healthy Company(ヘルシーカンパニー)」と呼ばれる新しい概念を打ち出しました。

「Healthy Company(ヘルシーカンパニー)」は、従業員の健康を増進すれば、会社の業績向上に繋がることを証明した優れた研究成果として健康経営の分野ではよく知られています。

健康経営を経営施策として実践している中堅中小企業の事例

辻木材株式会社

従業員の健康診断の数値の改善。
朝から運動をする機会を設け、仕事にも好影響。

参照
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/mie/kennkouzukuri/94F2FBC3AD204D4395F6174B02D216AD.pdf

株式会社笠間製本印刷

福利厚生がしっかりしていることを社外にアピールできている。
残業時間の大幅な削減に成功。

参照
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieiyuryohojin_jireisyu200327.pdf

ナガオ株式会社

離職率は10年間で0.5%の低水準を維持。
ワークライフバランスを志望動機にする従業員が増え、自社の働き方に合致する人の応募が増加した。

参照
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieiyuryohojin_jireisyu200327.pdf

中堅中小企業が健康経営を実施する場合の注意点

不健康な状態をしっかりと認識すること

健康経営を始めるにあたって、経営者も自社の従業員も自らの不健康な状態をしっかりと認識することが重要です。

誰もが健康な状態を常に維持している、というわけではありません。
役員も健康づくりの責任者となって企業全体で取り組む体制を構築すべきです。

健康診断受診後の振り返りや健康増進を啓発する施策を実施しましょう。

自社が健康経営を取り入れるべき企業かどうかの確認

健康経営を進めるにあたって、社員の健康状態のチェックを定期的に行いましょう。

データの分析を行い、部署や業務別に問題点を洗い出し、適切な課題を見つけて、目標設定を行いましょう。

課題が多いということであれば、自社が健康経営を採用すると大きなメリットが得られるという意味です。

長続きしない場合は手軽に導入できる施策を地道に行うこと

健康経営を始めたけれど、盛り上がりに欠ける場合や従業員が無関心で受け身だ、という場には、手軽に導入できる施策から始めてください。

例えば、オフィスにいながらにして手軽に野菜不足を解消できる「置き野菜」サービスなどもすでに多くの中堅中小企業で実施されています。

参考
OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)
https://www.officedeyasai.jp/lp/l19/?source=vw

まとめ

「健康経営」というキーワードは経営者でもあまり聞き慣れない、というケースも多いはずです。

まずは健康経営の歴史について学び、導入後の効果やメリット・デメリットを正しく理解してから始めてみましょう。

自社にマッチした健康経営の施策を実施し、役員も積極的に参加して全社で取り組む姿勢が健康経営成功には必要です。

著者:yomi

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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