ブロックチェーン技術パート1
ブロックチェーンと言えば、ビットコインというイメージが強いかと思います。
しかし、ビットコインというのはブロックチェーン技術を応用した1つのプロトコルに過ぎません。
ブロックチェーンとビットコインを混同して理解し議論することは、ブロックチェーンの本当の破壊力を見誤るように思います。
今回はブロックチェーンについてお伝えします!
ブロックチェーン技術とは
ブロックチェーンとは、ビットコインを実現するための技術として登場したのが始まりです。
ビットコインは2008年11月にサトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)氏が執筆した、いわゆる「ナカモト論文」をきっかけに生まれた考え方です。
論文の執筆者であるサトシ・ナカモト氏の正体は、日本人だろうと言われていますが、現時点でも誰か分かっていません。
ブロックチェーンは「分散型台帳技術」とも呼ばれます。
「皆で監視しあう分散型の取引履歴」と表現するとわかりやすいかもしれません。
世界中に点在するコンピューターにデータを分散することで、中央集権を置かずに破壊・改ざんが困難なネットワークを作る技術です。
すべての取引履歴が公開されており、相互に信頼関係の無い不特定多数の参加者間で、権利の移転を実現することに適しています。
ブロックチェーン技術の信用担保方法とは?
それでは、ブロックチェーン技術について分かりやすくご説明いたします。
ブロックチェーンでは、個々の取引を直接データベースに書き込むのではなく、いくつかの個々の取引をまとめて1セットにして、そのセット毎にデータベースに記録していきます。
この複数の取引のセットの事を「ブロック」と呼びます。
そして中に入っている個々の取引の事を「トランザクション」と呼びます。
トランザクションの情報を「ブロック(固まり)」にして、それを「チェーン(鎖)」でつないで集めたものが「ブロックチェーン」になります。
ブロックチェーンでは全てのデータが繋がっているわけですから、データを改ざんしようとしても、ネットワーク上にある複数のコンピューターのデータを前から遡って全てを改ざんしなければならなくなります。
前後のブロックがつながることでデータの改ざんを困難にしている技術となります。
このブロックチェーンを(参加者)全員で共有し、それぞれがコピーを保有します。
このようなブロックチェーン技術を活用し、仮想通貨は取引が世界中で監視され、その取引データに不正がないことが証明されて、信用を確保しています。
ブロックチェーン技術のメリットとデメリット
そして、今、ビットコインが広く世に知られるに従い、ビットコインの核心的な技術であるブロックチェーンを、他にも応用できるのではないかと考えられ、金融や流通、契約等の分野で注目が集まっています。
ブロックチェーンという概念は、ビットコインの技術だけではなく、他の分野でも応用できる概念として注目されてきています。
【ブロックチェーン技術を使うメリット】
ブロックチェーン技術を使うメリットは以下のようなものが挙げられます。
安全性
ブロックチェーンは分散型のコンピューターネットワークであり、一つの場所に貴重なデータを置くような仕組みではありません。
帳簿が全世界に向けて公開されているので、特定のサーバや管理者を攻撃しても意味をなしません。
皆でシステムを監視しあっているため、不正やハッキング、ウィルス感染等のリスクを防ぐことが可能となります。
経済性
ブロックチェーンは第三者機関、中央集権が存在せず、その管理費用などが軽減されます。
仲介料などの無駄な手数料が殆どないことも大きなメリットです。
監視や制限が存在しない
一つの中央集権的機能を必要としないため、直接監視や制限することができません。
強力な権限による関与や規制などに左右されないことも大きなメリットです。
中央集権的管理者などが故意に操作したり、管理者が破綻したりするリスクがない、という点もメリットとなります。
【ブロックチェーンのデメリット】
ブロックチェーンは大量のデーターベースがあり、それを適切に同期して更新しなければいけません。
そのため、中央集権型に比べて速度は遅くなり、高い処理速度を求められる取引には向いていません。
また、大量のデータ処理のための安価で大量の電力が必要でもあります。
現在、この速度面、コスト面のハードルが一つ課題ではありますが、この課題を乗り越えることができれば、多くの分野でブロックチェーンが活躍することが見込まれています。
なお、1秒間で40万件以上の取引処理ができる超高速次世代ブロックチェーンが実用化も向けて開発中ですので、今後このブロックチェーン技術が活躍できる土壌は整いつつあると言っても過言ではないでしょう。
パート2へ続く
著者:嵐
元東証一部上場企業のベンチャーキャピタリスト。
主に国内アーリーベンチャー企業に対し発掘、支援に従事。
多くのベンチャー企業経営者と面談、新技術や新サービス分野に強み。