競合他社との違いを分かりやすく分析する手法・ポジショニング分析

マーケティングには様々な分析手法やフレームワークがありますが、難解なものも多く、モノによっては全く理解不能なものもありますね。

有効な手法であっても経営者や現場担当者まで理解できなければ、それは専門家のマスターベーションにしか過ぎません。

今回は、数あるマーケティング手法のうち、手軽に始められて、理解がしやすく、意外に深いところまで分析できる「ポジショニング分析」をご紹介します。

ポジショニング分析とは

ポジショニング分析とは、競合店やライバル会社との違いや位置関係(ポジション)を明確にすることによって、次のようなことが出来るようになるマーケティングツールです。

具体的には「ポジショニングマップ」といわれる図表を作成して分析します。

以下は既存のコーヒーショップと缶コーヒー、チルドカップ飲料の位置関係をポジショニングマップにした例です。

既存のコーヒーショップビジネスと缶コーヒー、そしてチルドカップ飲料との位置関係を表しています。それぞれのビジネス同士が、どのように戦っているかが分かりますね。

参考資料: 独立行政法人 中小企業基盤整備機構J-Net21
じわりと市場を拡大しているチルドカップ飲料

様々なポジショニング分析の活用シーン

ポジショニング分析は、二次元の世界で対象の製品や企業を比較するシンプルなツールですが、実は意外に用途が広く、次のような効果が期待できます。

新商品開発の方向性の検討

ライバル社の商品や自社商品の位置関係を調べて、人気商品に近い位置や、敢えて手薄な位置を狙って新商品を開発したりもします。

ポジショニング分析の極めてオーソドックスな活用方法です。

ライバルとの差別化を図るヒントを得る

ポジショニングマップを作って分析しているうちに、特定の象限(ポジショニングマップを描いたときに区切られた4つの領域のこと)にヒット商品が集中していると、その理由を考えるきっかけになります。

同じ分野で高品質な製品を生み出すのも手ですが、敢えて対角線上にニーズを模索することも出来ます。

製品コンセプトを創造することが出来る

ポジショニングマップではライバル製品や自社製品のラインナップを一同に表示することが多くあります。

そのマップを概観していると、製品群の中にある一定のコンセプトを見出すことも出来ます。新たな製品コンセプトを模索するヒントにもなります。

価格競争から脱却できる

同じ象限にライバル製品や企業がひしめいている場合、原則的には体力がある企業が市場を制圧していきます。

特に価格競争になった場合、大企業が有利です。中小企業は非価格競争が出来るスポットを探すことが出来ます。

市場の真空地帯を発見できる

ポジショニング分析を進めていくと、どの製品や企業も参入していない不思議な象限を発見することがあります。

そんなポジションは人気の無い製品やサービスもありますが、中には対応次第では競争の少ない「真空地帯」である場合もあります。

経営戦略やマーケティング戦略の妥当性を検証できる

新しい経営戦略を策定する場合、自社の経営理念や強み・弱み、外部環境の機会・脅威を分析して、今後向かっていくべき方向性 (戦略ドメイン)を決めたりしますが、その方向性を考えたり、決めた方向性で間違っていないかを考える時にも、ポジショニング分析を良く使います。ライバルとの位置関係を知るのは戦略上とても重要です。

製品のトレンドを時系列に把握することが出来る

消費者に対するアンケート調査をもとに製品のポジショニングを作る場合、ある時点での位置関係は分かりますが、時間の経過と共に消費者の印象は変わっていきます。

その際は、アンケート項目を同じにしておき、定期的に収集したアンケート結果をもとにポジショニングマップを作成してみることをおすすめします。

時系列に変化する消費のトレンドが見えてきます。

ポジショニングマップの作成手順

では、具体的にポジショニングマップを作成する手順を見ていきましょう。

1.分析したい対象(製品や企業)を決めます。

2.対象の特徴を表す2つの項目 (尺度)を決めます。

良く使われる項目として、ターゲット顧客の種類、商品の特徴、提供方法などがあります。

例えば、

【ターゲット】・・・・年齢、性別、収入、地域、嗜好、購入パターンなど
【製品】・・・・・・・品質、機能、価格など
【提供方法】・・・・・店舗販売、通信販売、レンタル、業務用など

などの分類があります。

3.2つの項目 (尺度)を使って二次元の4象限座標を作ります。

その際、項目に尺度をつけます。数値で表現する場合と、言語情報で尺度を決める場合があります。分かりやすくするために、多くの場合は言語情報で表現します。

例えば

【年齢】・・・・・高齢者⇔若者、大人向け⇔子供向けなど
【品質】・・・・・高品質⇔低品質、プロ向き⇔初心者向きなど
【価格】・・・・・高級志向⇔大衆志向など

言語情報で尺度をつけると、分かりやすいというメリットもありますが、半面、作図する人の主観が入るため、本来必要の無い項目を選ぶ場合があります。

4.対象を座標上に記入していきます。

ポジショニングマップ作成のコツ

ポジショニングマップを作る上で最も重要なのは項目 (尺度)として何を選ぶかです。

この項目に妥当性がないと、同じ象限に全ての対象が入ってしまったりして対象間の位置関係が明確になりません。

また、項目は分析する側の都合で決めず、あくまでその製品の消費者の気持ちを代弁するような切り口で決めましょう。

座標上にプロットする対象は、製品の場合、その製品の画像をプロットすると、イメージが湧きやすいでしょう。

また、企業の場合はロゴマークや売上規模に応じた円の大きさで表現しても分かりやすいでしょう。

まとめ

今回は、ポジショニング分析がどんなものか見ていきましたが、いかがだったでしょうか?

シンプルな二次元の空間マップでライバルとの違いを分かりやすく教えてくれるツールでしたね。

まだ導入したことが無い企業であれば、自社の現状把握という意味も込めて、自社の製品と他社製品とのポジショニングマップを一度作ってみることをお勧めします。

新鮮な気持ちで自社の製品やビジネスモデルを見直すことが出来ます。

また、ポジショニング分析には、意外にも多くの機能やメリットがあることがお分かりいただけたと思います。

次回以降では、具体的な活用シーンを見ていきたいと思います。

 

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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