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中堅中小企業のリモートワークの必要性・現状・課題

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度重なる自然災害や、最近の新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、リモートワーク(テレワーク)の必要性が叫ばれています。

リモートワークとは一体どんなものか、どんな点を考慮すれば良いのか、中堅中小企業における導入の必要性・現状・課題を探っていきます。

今なぜ、中堅中小企業にもリモートワークが必要なのか

ここ最近、急激にリモートワークの導入が始まっていますが、そもそもその必要性とは、どんなところにあるのでしょうか?

まずは、災害の回避

現状起こっている災害を回避しながら業務を遂行するために、リモートワークは有効です。

特に感染症などの病気が蔓延している時には、通勤による移動や社員同士の接触が無いリモートワークは、災害の回避と業務実行を同時並行で行えるからです。

BCP(事業継続計画)の一環としての側面

企業がリモートワークで業務を行うということは、感染症も含めた災害時にも企業活動が継続できる状態にしておくということです。

このことは、近年の震災などで注目されているBCP(事業継続計画)の有効性を高めることにつながります。

働き方改革推進のきっかけ

2019年4月より、働き方改革が推進されています。リモートワークはまさにこの働き方革を実践する機会になります。

通勤時間の削減による残業の抑制や、家庭でも働ける多様な働き方の実践など、国の方針を実行してみるまたとない機会でもあります。

企業におけるリモートワークの現状

日経新聞が公表した民間の調査会社による調べによると、新型コロナウィルス蔓延防止のための緊急事態宣言(2020年4月7日)が出された後のテレワーク実施率は、前月比2倍の27%となりました。

対象の7都府県は38%、東京都は49%で、新型コロナウィルスの感染防止に向けて政府が要請した出勤者7割減には達していません。

テレワーク(リモートワーク)が実施できない理由としては、「テレワークで行える業務ではない」47%が最も多く、印鑑や書類の必要性など、従来型の業務形式に起因しているようです。

また、テレワーク(リモートワーク)を実施する際に不安になることとして、「相手の気持ちが分かりにくい」が37%で最も多く、「仕事をさぼっていると思われないか」が28%、「出社する同僚の業務負担の増加」26%と続いています。

【参考】日本経済新聞社 「緊急事態宣言後のテレワーク実施率、3割弱 民間調査」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58176480X10C20A4000000/

中堅中小企業のリモートワークの課題

中堅中小企業がリモートワークに直面する際、色々な課題に直面するはずです。どんな課題が発生するか、まず何をすべきか、列挙してみましょう。

IT機器の普及、活用知識の獲得

まず、自宅で業務する場合、自宅にIT機器を設置できるかどうかという点が問題になります。

その他に、少なくともインターネットに接続する環境が必要になります。基本は、常時接続できる環境にあるかが最初に確認すべき事項です。

最近は多くの家庭で、「Wi-Fi」と言われる、インターネットに常時接続できる環境が普及してきましたが、全員ではありません。

機器の設置・購入に関しては、各都道府県で助成金制度が始まっています。ぜひ参考にしてください。

【参考】「公益財団法人東京しごと財団 事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」

https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/kinkyutaisaku.html

適用業務範囲

どんな業務をテレワーク化するかということが、まずテーマになります。事務処理やソフトウェア開発などパソコンや電話を使った業務は基本的にテレワーク化が可能です。

しかし、商品を実売する店舗や工場での製造工程では現物(商品や製品)を扱うため、適用は困難です。
営業はルート営業などで得意先が固定化されている場合は、効率を高める可能性もあります。

セキュリティへの配慮

事業所以外の場所で業務を行うわけですから、企業秘密や個人情報の漏洩のリスクが当然高まります。

パソコンなどの機器は、可能な限り会社から貸与し、個人の機器は使用しないこと、自宅以外の場所からはアクセスしないことなどが最低限必要になるでしょう。

従業員の動機付け、コントロール

リモートワークの普及に伴い、従業員の労働環境は大きく変わります。

危機に際して従業員の生命を守ることが最も大切な目的ですが、会社としては、従業員の労務管理が難しくなってきます。

対面で従業員を統制できない分、特に就業態度や残業等労働時間も難しくなります。

しかし、前出の実態調査にあるように、従業員側も「仕事をさぼっていると思われないか」などのように不安感も持っています。

一方的に従業員をコントロールしようとして規制や報告を多くすると、逆に労使間に猜疑心が生まれ、生産性が低下します。

せっかく、通勤時間を削減でき、介護や育児などとのバランスを取りやすいリモートワークを導入するのですから、プラスの発想を会社側も持ちたいものです。

こだわりと割り切り

新型コロナウィルス感染防止策の一環として、リモートワークのニーズが急激に高まっていますが、じっくりと必要な機器や業務内容を検討している時間は、実はありません。

ある程度のリスクは勘案したうえで、早急に決断する必要に迫られています。

例えば、最低限の機器を用意し、ビデオ会議やメール、業務上必要なソフトウェアの使用を最優先にして、その後は状況に応じて変えていくという臨機応変さが重要です。

まとめ

災害と言えば、1959年に発生した伊勢湾台風は、死者行方不明者5千人を超える大災害をもたらしました。近畿鉄道の名古屋線も各所で寸断され、復旧には途方もない時間がかかると考えられていました。

しかし当時の佐伯勇社長は、社内の大反対を押し切り、これを機になかなか出来なかった名古屋線の全線のレール幅変更を断行しました。

そのおかげで名古屋から大阪まで乗り換えなしの特急が走れるようになり、同社と地域に大きな貢献をしました。

リモートワークは、震災や感染症など、ほぼ国難と言える状況において本格的に始まったと言えます。

危機に対応して現状業務を遂行することは、もちろん最大に大切なことですが、「危機の時こそ変革」です。リモートワークは、会社を大きく前進させるチャンスと捉えていきましょう。

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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