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中堅企業が取り組むべきコンプライアンスの徹底方法その3

腕を組む男性
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中堅企業のコンプライアンス経営

昨今企業経営における「コンプライアンス(compliance)の徹底」が強く求められていることから、中堅企業においてもコンプライアンス経営を進める企業が増えています。

そもそもコンプライアンスとは基本的な解釈は「法令遵守」であり、企業活動に適用される法令を間違いなく遵守することが「コンプライアンス経営」の基本となるのですが、その範囲は法令遵守にとどまるものではなく、法令遵守を徹底するためには企業倫理の確立が不可欠な前提条件となります。

さらにコンプライアンス経営は企業の不祥事を未然に防ぐためのものでもあり、リスクマネジメントという側面をも有しているのです。

 

リスクマネジメント

中堅企業においてもコンプライアンス経営が社内の不祥事を未然に防ぐための一つの重要な手段として位置づけられることは大企業となんら変わりはありません。

さまざまなリスクコントロールを行い、それを制度として構築し、マニュアル化する手法は中堅企業においても非常に有効です。

しかし、大企業とは異なり経営資源に乏しい中堅企業の場合においては、コンプライアンス経営だけのために多くの人手や労力・時時をかけることはできません。

中堅企業の経営者にとっては単に法令を覚えるというよりも、

「もしかしたらこれは危ないかもしれない」
「非常に危ないことになるかもしれない」
「単に法令違反というだけはなく、重大な違法性のあることであるかも知れない」

というような法令感覚を涵養していくことです。

コンプライアンス経営の体制を構築するには少なからずコストが発生するのですが、危機管理に鋭敏な企業は「コンプライアンスに未対応であることこそが企業経営にとって大きなリスクになる」ことを理解しています。

企業は顧客、取引先、従業員など多くのステークホルダーと密接なつながりを持っており、それぞれの関係には法令など遵守すべきルールがあります。

企業が起こす不祥事は時として取り返しのつかない結果を招いて、従業員すら知らなかったというような企業のずさんな経営体制が露呈して、社内外の信用を一瞬のうちに失ってしまうという事例は枚挙にいとまがありません。

これからコンプライアンス経営に取り組もうとする中堅企業は、

イ、企業経営者が掲げる企業倫理がすべての従業員に認知されているか?
ロ、自社の事業に関連する法令は何か?

など、あらためて企業の内部・外部の状況を確認してみる必要があります。

このような活動を通して、自社が遵守すべきルールや企業としての倫理観の高さが明らかになり、これを知ることがコンプライアンス経営の第一歩につながっていくのです。

 

企業体質の問題

多大な悪影響が発生するのが明白であるにもかかわらず企業の不祥事が続発しているのは、「企業体質」に問題があるからです。

たとえば。オーナー企業の場合においては、経営者に権威が集中してだれも意見を述べることができなかったり、利益至上主義で従業員に過剰なセールス目標が与えられているなどのような企業においては、

「経営者自身のやり方」
「企業のメンツ」
「売り上げの拡大」

が重視されがちになります。

そのため、企業は社会の一員として法令を遵守し、倫理的な活動をしていかなければならないという意識が希薄になっています。

企業が不祥事を防止するための制度を整備したとしても、それを実現する誠実な企業風土がなければ防止の効果は望むべくもありません。

 

消費者から選ばれる条件

企業の不祥事が続発しているなかで、消費者は不誠実な企業に対して厳しい目を向けています。

その一方で、

「公益性を重視した透明で誠実な経営を行う企業」
「目先の利益だけではなく、従業員の生活にも配慮する企業」

を高く評価しています。

最近は「環境」「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」などがキーワードになっております。

たとえば消費者はCO2s削減など環境に配慮した企業の商品を優先的に購入していますし、育児休業などワークライフバランスに配慮する企業に良いイメージを持つようになってきています。

 

コンプライアンス経営の重要性

消費者契約法について考察すると、同法を遵守して商品のメリット・デメリットを包み隠さず丁寧に説明する企業の姿勢は、顧客からの高い評価につながります。

日頃から法令などルールの遵守を徹底することによって必然的に企業内の倫理観が高まり、不要なトラブルに巻き込まれることも少なくなることでしょう。

コンプライアンス経営を行う企業においては、トラブルになった場合でも営業担当者あるいはクレーム処理担当者が的確かつスピーディーに対処し、また複雑なケースについては弁護士など専門家に相談する準備もされています。

一方消費者契約法を知りながらその対応をおざなりにしている企業には、突然のクレームが寄せられることもあります。

企業間の取引に際しても、コンプライアンスに積極的な企業は、そうでない企業に比べて信頼度が高く、新規取引や既存取引の拡大などのビジネスチャンスを獲得できる可能性が高まります。

また、トラブルに巻き込まれる頻度や有事発生時の対処に大きな差が出ます。

 

諸規程の整備

コンプライアンス経営を行う際の基本となる書類(規定)を整備します。整備する規定はさまざまですが、「コンプライアンスガイドライン(企業倫理規定)」などと呼ばれる、コンプライアンス経営の目的や行動規範を定めたものが中心となります。

ほかには、個々の業務ごとに「業務遂行マニュアル」が作成されることもあります。

従業員の日ごろの活動の基本になるだけではなく、コンプライアンス経営を対外的にアピールするツールにもなります。複数の規程を請求することが難しい場合は、最低限、就業規則の服務規定に従業員の法令遵守(具体的な不正取引、飲酒運転、セクシャルハラスメントの禁止など)を定めます。

同時にそれに違反した場合の懲戒規定も定め、「○○した場合は、○○の罰を受ける」ということを従業員に周知します。

他社との差別化は決して高度なテクニックや営業スキルが優れているといったことではありません。

正しいことを決められたとおり継続実行することです。

目先の利益も大切ですが、会社が存続していくためにはルールを守ることです。

 

経営者のリーダーシップ

中堅企業がコンプライアンス経営を行う際は 経営者の強いリーダーシップが求められます。

経営者自身が社内外での言動に留意して規範になるとともに、朝礼などの場を利用して、自社が社会の一員として果たす役割を伝える必要があります。

朝礼の都度、企業理念を唱和して、組織への定着を図ります。

また、経営者が従業員に訓示をする際は、従業員の誤解を招かないように分かりやすい言葉で伝えるとともに、間違った伝わり方をしていないかを定期的に確認しなければなりません。

そうでないと、経営者の言葉が歪曲されて従業員に伝わり、不祥事につながることがあります。

コンプライアンス経営を実行していくためには、日々の正しい報連相と組織人としての 基本動作(マナー・ルール)の徹底が欠かせません。

 

著者:上田謙悟

中堅中小企業にとってますます重要となっているコンプライアンスに関して、単に法令を遵守するにとどまらず、企業活動の社会的な責任を果たし、従業員のポテンシャルを引き出し、モチベーションを高め事業展開を活性化していくシステムを構築し浸透させていくための方策などについて多くの企業に紹介している。

  

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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