中堅企業が取り組むべきコンプライアンスの徹底方法その6〜実務パート2〜

中堅企業のコンプライアンスの実務パート2

研修・教育の企画と実施

反復継続して行うことにより、コンプライアンスを重視する職場風土が形成される

社内ルールが確立されても、従業員に周知・徹底されていなければ意味がありません。

特に、コンプライアンス問題については、ちょっとした気の迷い、油断から誤った行動に出てしまうおそれがあります。

また、利益至上主義など、コンプライアンスを軽視するような組織風土、企業体質があると、改めるのは容易ではありません。「皆がやっている」「どうせ見つからないだろう」などの理由から、不正・不当な行動を是認してしまうケースもあり、悪い要因や心理は、放置しておくとエスカレートする危険性をはらんでいるのです。

このような事態を防止し、日ごろから社内ルールに対する考え方を確立するために、継続的な研修・教育を行っていく必要があります。

研修によって問題意識を喚起し、時に意識改革を迫ることで、組織内における高い倫理観・モラルの構築を図ることが重要です。

ただ、教育・研修プログラムで、コンプライアンスの知識を得ることができても、その重要性が腹落ちしなくては、なかなか行動に移せません。

そのためには、理解から納得のレベルにまで引き上げ、倫理的な規範に根付いた行動ができるような人材の育成をはじめ、そうした意識改革を組織内部で徹底できるかが問題です。

 

例えば職場単位では、職場内のコミュニケーションを強化するために、ワークショップや対話型の研修が有効でしょう。

ここではコンプライアンスに関して身近なテーマを選択し、部門を越えたディスカッションを行い、多様な価値観・考え方を共有し、社会的な期待・要請に対応できる心構え・意識を醸成していくのです。

 

また、トラブルや事故、問題が起きやすい領域では、定期的な研修・教育を行うことが大切です。
継続的な点検の反復で、従業員に対して深く理解・納得させて
いきます。

このような作業を組織的な取り組みとして繰り返すことによって、コンプライアンスの内容を周知徹底することができるのです。

 

内部通報制度の構築

内部通報によって、社内的な「自浄作用」を発揮する

20066月「公益通報者保護法」が施行され、内部告発に対する法的な保護が認められるようになり、その結果、内部統制システムの一環として、内部通報制度を整備することが一般的になっています。

日本経団連の「企業行動憲章実効の手引き」でも、通常の指揮命令系統から独立した内部通報制度を整備・活用して、企業行動の改善につなげることを促しており、通常の業務ラインとは別に、重要な情報が現場から経営層に伝わるルートを整備し、相談者の権利保護などに配慮するように求めています。

 

内部通報制度を効果的に運用するには、いくつかのポイントがあります。

  1. 通報の対象をどの程度にするのか問題ですが、現場に混乱をきたさないためにも、通報すべき事項と通報すべきでない事項をガイドラインで明示すること
  2. 通報者の匿名性を守ること。内部通報を受ける側の関係者に厳しい秘密保持義務を負わせ、その管理を厳正に行うことが不可欠
  3. 外部組織の活用。人間関係が遮断された外部組織の方が安心して通報できるから
  4. 匿名の通報も受け付けて、調査の対象にすること。事実、重要な問題が匿名で通報されることも少なくないからです。なお、通報者に対しては、調査結果をフィードバックする努力が求められます。会社としての対応を知らせることは、その内部通報が外部への内部告発に発展することを防止するためにも不可欠です。何より、内部通報制度をうまく機能させることによって、社内的な「自浄作用」を発揮することになのです。

 

今後は、内部通報制度を健全に機能させるため、政府などが設けている「民事事業者向けガイドライン」などを参考に、内部通報制度に関する社内規程を整備し、コンプライアンスに関する研修でも内部通報制度の意義に触れ、十分に理解してもらう必要があります。

 

苦情対応窓口の設置と対応

誠意を持って、公正・公平に対応する

コンプライアンスを推進していくためには、社外からの企業に対する苦情や相談の窓口、あるいは不正に関する通報窓口を用意することです。

窓口に持ち込まれたさまざまな問題やトラブルを適切に解決することによって、企業における自浄作用が働き、コンプライアンス経営が実現できるからです。

その点からも、自社内部からの内部通報制度とは別に、外部からの苦情対応窓口を設置し、トラブル対応の体制を整備する必要があります。


外部からの苦情対応窓口での対応については、相手の立場を考え、電話だけでなく、
eメールや文書での受け付けもできるようにしておくとよいでしょう。

また、企業イメージが直接問われる場となるので、丁寧な対応であることはもちろん、公正・公平をモットーに、事案に応じた適切な対応が求められます。

きちんとした社内ルールやガイドラインを策定し、問題情報、解決方法などを共有し、公平な対応ができるようにすることが肝要です。

 

第三者委員会の活用

経営陣から独立した外部の視点で徹底検証する

第三者委員会とは、不祥事が起きた際に直接の利害関係を持たない中立的な立場である第三者の有識者などが、不祥事の事実関係や原因などを調査する委員会のことです。

近年では、重大な不祥事が起きた場合には、経営陣から独立した外部の目で徹底検証する必要性から、適切な第三者委員会を速やかに立ち上げることが求められています。

第三者委員会の構成メンバーは、企業法務に詳しい弁護士や公認会計士などから選任されることが多いです。

しかし、調査対象の企業から依頼される関係もあり、調査や報告内容に手心を加える危険性が指摘されています。

そこで、第三者委員会の実効性を確保するために、客観的に独立性が認められる外部有識者から起用する必要があります。

ただ、第三者委員会を設けないで、社内調査委員会での対応が適切であるケースや、その中間的な委員会に委ねることも少なくありません。

いずれを選択すべきかは、相互の利害得失(独立性、客観性、透明性、スピード対応、コスト面など)考慮して適切に判断してください。

 

著者:上田謙悟

中堅中小企業にとってますます重要となっているコンプライアンスに関して、単に法令を遵守するにとどまらず、企業活動の社会的な責任を果たし、従業員のポテンシャルを引き出し、モチベーションを高め事業展開を活性化していくシステムを構築し浸透させていくための方策などについて多くの企業に紹介している。

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