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顧客管理理論基礎 デシル分析・RFM分析

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今回は、顧客管理の考え方がどう変わっているのかを、商店街の事例を見ながら理解するとともに、顧客管理の具体的方法論に入っていきたいと思います。

顧客管理の具体的な手法は様々ありますが、先ずは企業規模を問わず活用できる顧客管理手法である「デシル分析」と「RFM分析」の考え方や必要な仕組みなどをご紹介します。

 

顧客管理の考え方のシフト

顧客管理の考え方は、単に名簿からDMを出力するだけの固定データ管理から、顧客の利用動向に応じた管理という変動データ管理に考え方が変わってきています。

なぜ、顧客管理の考え方を変えていく必要があるのか、事例を交えて説明していきます。

 

顧客は平等ではない?

さらに、「全ての顧客を平等に」という従来の顧客管理の考え方から、「ご利用動向に応じて顧客を区別する」という考え方に変わっていっています。

多頻度で利用する顧客を大事にしようというFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)の考え方ですね。

しかし、これは、お客様を決して「差別する」というわけではありません。

 

商店街の福引にみる逆差別

今ではあまり見かけなくなった、年末の商店街の大売り出しの販促イベント「福引」を思い出してください。

福引は、その商店街で買い物をした顧客に福引の参加券を渡し、商店街の広場なんかで六角形のくじ引き機械を回して、出た玉の色に応じて景品がもらえる、懐かしい販売促進です。

昔は、景品も意外と豪華で、家電製品や自転車、中には温泉旅行なんていう豪勢なものもありました。

買い物額に応じて福引を受けられるこのイベントは、一見平等な感じがします。しかし、どんなに多く買い物をしても、最後は「くじ引き」という確率が待っています。

つまり、多額の買い物で貢献している地元の主婦への景品がポケットティッシュばかりで、今日その街で、たまたま初めて買い物したサラリーマンがハワイ旅行を獲得することもあるわけです。

この顧客管理や販売促進は、果たして正しいと言えるでしょうか?

 

顧客と企業はWIN-WINであること

では、企業と顧客との関係は、どうあるべきでしょうか?企業は、より顧客に利用してもらいたいと思うでしょうし、顧客は、より自分にメリットのある店舗や企業を選びたいと思うでしょう。ごく自然なことですね。

そのためには、企業にとって、良い顧客は誰なのか?顧客に対しては、どう報いていったら良いのかを考える事が必要です。

 

デシル分析とは

優良顧客を見つけ、報いていくためには、まず、優良顧客が誰なのかを見つけ出さなくてはなりません。

業種業態によっても変わってきますが、消費者向け商品販売の場合、購入者のうち、上位約2030%の購入者数で、その企業や店舗の売上の80%をまかなっていると言われています。

2:8の原則とか、パレートの原則などと言われる法則です。この法則に基づき、上得意顧客を探していくのがデシル分析です。

デシルとは10本の指という意味です。顧客の利用動向(購入金額・利用回数など)を上位から10グループに分類し、グループに応じた販売促進を講じていくための分析手法です。

 

RFM分析とは

デシル分析は、シンプルで分かりやすい分析手法ですが、さらに顧客の動きを詳細に分析する手法として、RFM分析という手法をご紹介します。RFM分析では3つの要素で顧客をグループ化します。

その要素は、以下のようになっています。

R(recency購入間隔)・・・最終利用日からどのくらい経過しているか
F(frequency購入回数)・・購入の回数はどのくらいか
M(monetary購入金額)・・購入金額はどのくらいか

これらの要素を組み合わせて、顧客の動きを詳細に分析していきます。

例えば、購入額は少ないがしょっちゅう利用してくれる顧客、かつて利用が多かったのにさっぱり来なくなった顧客、めったに利用しないが多額の買い物をしてくれる顧客など、購買行動が見えてきます。顧客の動きが分かれば、打つ手(販売促進策)も見えてきますね。

 

デシル分析やRFM分析を行う上で必要な準備

デシル分析やRFM分析は、顧客の動きをとらえ、ピンポイントで販売促進するために有効な手法ですが、どんな準備が必要なのでしょうか?

 

カードシステム

具体的には、まず、会員制度とカードシステムが必要です。カードの形式は問いませんが、顧客を識別出来る仕組みがなければ、一人一人の顧客に対応した販売促進が出来ません。

お客様がご利用の際に、顧客IDをカードリーダーやスキャナーなどで、データとして取り込む仕組みが重要です。

 

POSシステム

そして、次に必要なのがPOSシステムです。POSとはPoint Of salesの略語で、「販売時点情報管理」という意味です。

レジでお会計をした状況が瞬時に把握できる、レジがコンピュータ化されたような仕組みです。コンピュータですから、会計された明細情報がデータとして残ります。

このシステムは、顧客の利用日、利用金額を収集するために必要です。その際、顧客IDと紐づいていなくてはなりません。

一般的にはPOSシステムと、顧客IDを読み取るカードリーダーやスキャナーが一体になっている仕組みが使われます。

 

集計・分類システム

顧客のIDデータとご利用データを収集し、集計・分類することで、初めて顧客の動向が明らかになります。

具体的にはPOSシステムなどに蓄積された全支店分データを、オンラインで収集し、データベース化し、色々な条件で抽出出来るようにした状態で、専用の分析ソフトを活用して顧客動向を分類・分析していきます。

これらの仕組みを準備するためには、一般的にその業界に特化したシステム会社が持つパッケージソフトウェア(既に作られた汎用的なソフト)POSシステム、パソコンを導入することが一般的です。

手作業で収集・分析することも不可能ではありませんが、膨大な作業になります。コンピュータシステムを活用したほうが現実的です。

 

まとめ

今回は、新しい顧客管理の考え方の重要性と、具体的な分析手法、必要な準備についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

顧客管理は、一応やっているという企業が多くありますが、固定データを使ってバースデープレゼントのDMを送るくらいの活用しかできていない企業が多いのではないでしょうか?顧客と企業がWIN-WINの関係まで構築できている企業は、まだまだ少ないのが現実です。

この機会に、「うちの大事なお客様は一体誰なのか?」「どうしたらもっと効果的な販売促進が出来るのか?」など、今後の貴社の顧客管理の改善ポイントを考えてみましょう。

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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