ブロックチェーン技術パート2
前回「ブロックチェーン技術パート1」の続きとなります。
ブロックチェーン技術は「ビジネス」をこう変えていく!
ブロックチェーンは、仮想通貨の取引のみならず銀行取引にも応用されようとしています。
入出金や振り込みなどの銀行取引は通常、銀行システムを経由して行われますが、ブロックチェーンを応用することで、中央管理サーバはなくなります。
中央管理サーバがなくなると、データ改ざんが殆ど不可能となることに加え、管理コストがなくなり、サーバがダウンするといったことが起こらなくなるメリットがあります。
金融取引を担う技術としても注目を浴びており、開発段階の企業も多く存在します。
ブロックチェーン技術の活用例
また、ブロックチェーン技術は、金融業界以外でも様々な分野での活躍が期待できます。
ブロックチェーンは、世界中の誰もがアクセスできるオープンなデータベースですが、プライベートブロックチェーンという特定のユーザーの中で共有するクローズ型のブロックチェーンも開発されています。
このクローズ型ブロックチェーン技術を応用することで、不動産業界や医療業界、公共分野など、データ改ざんが許されない現場での導入も開発されつつあります。
以下、5つのブロックチェーン技術の活用例をご紹介いたします。
不動産×ブロックチェーン
・不動産情報の記録・管理の容易化
不動産売買の仲介をする場合、現在は不動産情報を収集するために複数の役所などをめぐる必要があります。
また、過去の取引価格や修繕履歴などについても、煩雑な情報収集が不可欠です。
しかし、ブロックチェーン上に不動産情報を加えていくことで、過去の取引を含めた連続的な情報をスマートフォンなどの手元にあるデバイスから一括して取得することが可能となる可能性が高まっています。
ブロックチェーンの活用によって、不動産登記手続きの効率化にもつながると言われています。
・スマートコントラクトによる不動産取引の効率化・自動化
スマートコントラクトとは、契約の自動化(自動実行される契約)のことです。
もともと不動産取引は多くの契約プロセスを経るため、手順が非常に複雑で、また一般的には紙の契約書も必要となり、取引負担が多いことも大きな課題でした。
ブロックチェーン上のスマートコントラクトは、「コンピュータが読めるプログラムを書き、当事者双方の署名付きでブロックチェーンに登録することで、それを契約締結と見なし、法執行機関なく自動的に執行されるようにする」 というアイデアです。
ブロックチェーン上で契約と執行をプログラム化し、決まった形式ができると、契約内容が自動で執行され、大幅な業務効率化につながると言われています。
自動車リース×ブロックチェーン
車のリースは従来、リース契約だけでなく保険契約や決済など多くの書類が必要な業務でした。
ブロックチェーン上のスマートコントラクトを活用することで、自動車リースの契約が大幅に効率化・自動化できると言われています。
リース・レンタカーの個別車体情報と利用法人または利用個人も簡易認識できます。
IoTと融合することで、自動車それぞれの走行距離、ガソリン残量などが随時把握され、ガソリン残量が少なくなると最短距離のガソリンスタンドを推奨できます。
ガソリンスタンドではフィンテック技術と融合し、ワンタッチの自動決済。
過去の給油履歴を表示させて、高速道路決済を含め、経費報告など、他のシステムにデータをエクスポートすることも可能となります。
法人利用のレンタカーは、契約から毎月の経費決済も含めて、効率化、自動化できる仕組みが実現する見通しとなっています。
TOYOTAは、この「自動車のウォレット化」に注力しており、実用化しつつあります。
医療×ブロックチェーン
者個人の医療情報を共有する仕組みも進められています。
患者本人のヘルスレコードを暗号化し、ブロックチェーンに書き込むことも可能となります。
特に重篤な病気を抱える方などは、外出時意識を失った場合の病歴や血液型などの情報を地域医療へ共有することも可能となります。
マイナンバーと連動しながら、救急搬送の際もスムーズな治療に役立ちます。
今後、IoT技術が家庭内に張り巡らされることから、個人個人の健康状態もこのヘルスレコードが連動する可能性もあります。
例えば、毎日の体温、心拍数、血圧、排尿・排便回数、さらには検便情報も含めてデータ蓄積が可能となります。
これらすべての情報を管理することが可能となります。
食品業界×ブロックチェーン
ブロックチェーン技術が「食の安全性」の透明化を実現しつつあります。
食品の安全性に対する関心は高まりつつあります。
誰が、いつ、どこでどのように収穫し、生産、加工したのかを消費者は求めています。
ブロックチェーン技術の「追跡性」が有効となります。
食品が生産者から出荷され、消費者の元に届くまでの経過をブロックチェーン上に細かく記録することで、サプライチェーン(供給網)の透明化が進められています。
例えば、集団食中毒が発生した場合、短時間で原因が突き止めることも可能となります。
海外からの輸入食品も同様です。
発展途上国の労働者の生活向上を目指し、フェアトレード(公平な取引)にも活用されつつあります。
少額決済(マイクロペイメント)×ブロックチェーン
ブロックチェーンの特徴の一つとして「取引コストが低い」というものがあります。
仲介者なしの直接取引が可能となったため、手数料などが発生しないためです。
このメリットを応用することで、少額決済(マイクロペイメント)の事業が成り立つ可能性が高まります。
BtoC事業、またはCtoC事業において可能性が広がります。
例えば、動画閲覧1円、音楽ダウンロード2円、電子書籍閲覧3円、1取引50円といった低単価事業も収益化する可能性がでてきます。
こういったマイクロペイメント事業は、ブロックチェーンで作成されたアセットを個人情報と紐づけることで解決することもできます。
ブロックチェーン技術の市場規模
ブロックチェーン技術自体の市場の規模は今後急速に拡大し、2021年には298億円、2016~2021年の年間平均成長率は133%になると予測されています。
※出所:IDC Japan
Note: 2016年は実績値、2017年以降は予測
まとめ
仮想通貨が今、信頼性を欠いている状況下、このブロックチェーン技術も不安視する傾向があるのは事実です。
ただ、仮想通貨はブロックチェーン技術の一例にすぎません。
ブロックチェーン技術は、もともとビットコインと合わせて発明された技術ですが、今や金融業界以外にもこの技術は活用されつつあります。
大手企業だけの話ではありません。
中小企業にも徐々に浸透しつつあります。
そして個人の生活にも大きく影響を及ぼしつつあるのが、このブロックチェーン技術です。
すべての業界、業種にかかわるブロックチェーン技術。
IoTやフィンテック技術と融合しながら、すべての法人取引にも影響が出てくる可能性がある、今注目の新技術と言えるかもしれません。