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一国主義 vs 多国主義

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こんにちは!栗原誠一郎です。

RCEP年内合意?

RCEPとは何か?と聞かれれると、パッとは答えられない人もいるかもしれませんね?

RCEPとは、Regional Comprehensive Economic Partnershipの頭文字をとった言葉で東アジア地域包括的経済連携のことです。東南アジア諸国連合加盟10ヶ国に、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6ヶ国を含めた計16ヶ国でFTAを進める構想。

ウィキペディアより

こう説明してもまだ分かりにくいですよね。何しろ、つい先日までは日本のマスコミはTPP一色でしたから。

TPPとは、Trans-Pacific Partnership Agreementの頭文字をとった言葉で、環太平洋パートナーシップ協定のことです。環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定である。

ウィキペディアより

 

一方、RCEPも、別に急に沸いてでた話ではなく、2012年12月のアセアン関連首脳会議で交渉立ち上げ式が開催され、その後、年4~5回の交渉会合が行われ、2018年5月までに22回の交渉会合が開かれました。

しかし、交渉内容が非公開となっているため、いったいどんな議論になっているのかがあまり見えてこないため、具体的な反対の声もなかなか上げづらいというの実情でしょう。

そう、RCEPとは、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)と同様に、他国間での経済協定です。幅広い経済関係の強化を目指して,貿易や投資の自由化・円滑化を進める協定です。

細かく言えば、TPPはFTA(自由貿易協定)、特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定です。

RCEPはEPA(経済連携協定)、貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定です。(外務省広報資料参照)

 

米国の抜きのTPP合意の意義

つまり、RCEPはTPPに比べて、より多くの経済事項における合意がなされるという点でより大きな意味を持っていますし、何にもましてTPPは協定参加国11カ国のGDPの合計は世界全体の13%程度にすぎません、

しかし、RCEPの協定参加国16カ国のGDPの合計額は世界全体の約3割をカバーするほど世界経済における与える影響も大きいのです。

TPPも当初はアメリカも協定対象国で、アメリカが参加していれば世界経済における影響力も大きいものがあったのですが、トランプ大統領の就任後、アメリカは協定締結協議から離脱し、影響力という点では弱くなってしまいました。

しかし、アメリカの協議離脱後、日本が主導してTPPの合意に至り、2018年3月に参加国による署名式を行うところまでこぎつけました。

トランプ大統領がTPPからの離脱を表明したために、対象国の経済規模でみればインパクトは小さくなったようにも見えますが、アジア太平洋地域で初となるメガFTAであることには変わりありません。

貿易協定や経済協定は過去成立した協定がベースになっていきますから、RCEPの交渉においてもTPPの協定内容が反映されることになります。

つまり、日本の多国間貿易交渉の本命は、このRCEPで高い開放レベルのルールづくりを実現することにあったと言えます。

今まで、日本はRCEPの合意に向けて積極的に動いていたとは言えませんでしたが、TPPの合意が成立した今、急に積極的にRCEPを推進しようというという流れになっている訳です。

RCEPに対する中国の思惑とRCEP合意の行方

一方で、中国の思惑はどうでしょうか?

そもそも、RCEPは、米国主導のTPPの交渉が進むことにより、東アジアの広域FTAも米国主導で進むことを警戒した中国が、自身が主導して進めていた東アジア自由貿易地域構想(EAFTA:ASEAN+日中韓)を諦め、日本が提案した東アジア包括的経済連携協定(CEPEA:ASEAN+日中韓+インド・オーストラリア・ニュージーランド)と統合することによってできたものです。

その意味では、TPPから米国が離脱し、中国の当所の思惑は外れたわけです。

しかし、その代わりにと言っては変ですが、米国の保護主義により、米中の報復関税の応酬が貿易戦争の様相を呈してきた今、米国の譲歩を引き出すためにも、RCEPの合意を早期に実現したいということになってきている訳です。

日本も中国ほどではないにしてもアメリカの保護主義の圧力を受けており、中国同様にRCEPの合意により、アメリカとの交渉を優位に進めたいのが本音でしょう。

したがって、年内合意という目標は絵空事ではないと思います。

RCEPの合意が実現すれば、潜在成長力の高い東アジア地域において、保護主義に走る米国は蚊帳の外におかれることになります。

東アジアは自国の消費力の増大により、アメリカの消費(=アメリカへの輸出)への依存度は年々低下しています。

したがって、どちらが先に音を上げるか?と言えば、アメリカになるのではないでしょうか?

さて、皆さんはどのように予想しますか?

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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