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顧客管理データの活用方法・RFM活用編

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これまで、顧客管理の考え方や、必要な機器構成などについて触れて来ましたが、今回は顧客管理システムを使った、具体的な活用方法について見ていきます。

顧客データの分析方法は様々ありますが、中でも最もポピュラーで、深い分析が可能なRFM分析について、店舗に来店する顧客を想定して、その考え方・活用方法を見ていきます。

 

元になる考え方CRM

RFM分析の手法を説明する前に、その元になっている考え方を理解していただくと良いと思います。

RFM分析の元になっている顧客管理の考え方は、「CRM」といわれるものです。カスタマー・リレーションシップ・マネジメントの略で、「顧客との関係性」を重視した顧客管理の考え方です。

顧客の利用頻度と売上の関係を分析すると、実は取引額の多い上位2030%の優良顧客で、売上の7080%を占めていると言われています。

売上を上げていく方法としては、「顧客数を増やす方法」と、「顧客の利用頻度を高める方法」が考えられます。顧客数を増やす典型的な方法としては、新店舗の出店があります。

しかし、近年の少子高齢化に対して、新店舗出店で何とかしようと言うのは、現実的に難しくなっています。

現代は、コンビニの前にコンビニがあるようなオーバーストア状態(店舗が多すぎる状況)です。しかも、店舗を出店するには莫大なコストがかかります。

これらのことを総合的に考えると、現状の優良顧客は誰であるかを明確にし、その優良顧客をケアして維持していくことが、安定的に売上を維持・向上していくためには、最も重要なことというのがわかります。

そして、このCRMの考え方を具体的に達成する方法のひとつがRFM分析というわけです。

 

顧客管理データの分析方法の種類

顧客データを活用する方法は様々ありますが、一般的に良く使われる方法として、顧客の取引データを購入金額や購入回数の多い順に10ランクに分類して分析するデシル分析や、今回説明するRFM分析、顧客の購買動向を予測するCTB分析などがメジャーです。

 

RFM分析とは

RFM分析とは、Recency(購入年月日)Frequency(購入回数)Monetary(購買金額)3つのデータで顧客の動向を把握し、販売促進に繋げていく分析手法です。

これらの3つのデータはいずれも顧客の購買データから得られる要素であり、店舗販売においては、通常POSデータから収集することが出来ます。

RFMそれぞれの要素で動向を把握したり、ランキングしたりします。また、各要素に重みの数値を掛けて、総合評価やランキングを出して動向を把握したりもします。

 

RFM分析の活用方法

RFM分析はRecency(購入年月日)Frequency(購入回数)Monetary(購買金額)の要素を使って顧客を層別し、その層毎に販売促進を講じていきます。

この層別する基準は企業によって様々あり、あまり公開されていない、一種のノウハウのようになっています。

そのため、今回はどんな企業でも使えそうな、RFMの中でもシンプルに活用できる、セルを使った分析をご紹介します。

セルとは、部屋という意味です。顧客の購買動向のタイプ別に顧客を部屋に分けて分析・活用しようとする手法です。

この場合、以下の二つの要素だけを使って、図のようなセルを作ります。

Recency(購入年月日)・・・・最終来店日はいつか?最終来店日で、最近までの利用があるかどうかを判断します。

Frequency(購入回数)・・・・一定期間の累計購入回数をカウントします。

消費者が、その店舗で初めて利用して顧客となり、その後ベストカスタマー(上得意客)になっていったり、興味を失って流出していったりするなどの行動が、この二つの要素によって作られる、二次元のセルによって、把握できます。

【新規客のセル】

顧客はまずこのセルに入ります。購入年月日(最終来店日)がごく最近であり、購入回数(累計)が最も少ないセルです。この客層には、まずは次回来店してもらうためのクーポンの発行などによるタイムリーな販売促進が有効です。

【流出客のセル】

一度購入した顧客が商品やサービスに失望し、来店しなくなった客層のセルです。購入回数が少ないまま、最終来店日が古くなっていっています。このような層には、購入した商品関連の新商品の案内等を送り、再チャレンジを促すことが有効です。

【優良客のセル】

いわゆるベストカスタマーと言われる客層のセルです。最終来店日も常に新しく、購入回数(累計)も最も多い層です。この客層には、ディスカウントなどによる経済的メリットは相対的にあまり必要ではありません。

この層に対しては、これ以上の購入を望まず、精神的なメリット(お名前でお呼びするなど)を提供し、口コミによる新規客の誘導を期待します。

【離反客のセル】

このセルの客層は、以前はベストカスタマーだった層です。しかし、何らかの理由で「来店したくなくなった」または「来店できなくなった」ことが考えられます。

この層に対しては、離反して言った理由を確認し、改善することが重要です。例えば、従業員の接客態度に不満を持った場合もありますし、単に転居したという場合もあります。

この層に対しては、手紙をお送りして時候の挨拶にアンケートと返信用封筒を加え、送ります。その際、必ず手書きで、封書には記念切手を貼りましょう。場合によっては、訪問することも重要です。

この層に、なぜそんなにフォローが必要かと言うと、この層は、以前は優良顧客だったわけです。

店に対する不満があった場合、「可愛さ余って憎さ100倍」という気持ちも持っている可能性があります。

その思いを悪い口コミとして発信する恐れがあります。悪い口コミは、その店舗を知らない見込み客の来店チャンスを奪います。

 

まとめ

今回は、具体的な顧客管理システムの活用方法のひとつ、RFM分析についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

一見難しいように見えるこの理論も、実はシンプルなデータの組み合わせであることが、ご理解いただけたのではないでしょうか?

そして、シンプルなデータの組み合わせなのに、意外に顧客の行動を良く表している理論であると言えます。

RFMのそれぞれの要素のデータの基準をどうするか?という部分で試行錯誤が必要ですが、顧客の購買行動を捉えて販売促進に活かすには最適な手法だと思います。是非、トライしてみてください。

 

著者:hanbaishi
中小企業診断士。専門は経営・マーケティング・起業家指導・IT化支援。・TBC受験研究会にて診断士講座講師、福岡県産業・科学技術振興財団ベンチャースクール講師を経て、現在、専門学校で販売士検定・起業論・就職指導を行う。著作「中小企業のためのASPサービス導入に関する調査・研究(中小企業診断協会)」「繁盛店への道(財団法人福岡県企業振興公社刊)」等。趣味は黒鯛の落とし込み釣り、魚料理。

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記事監修者

栗原 誠一郎
大阪大学基礎工学部化学工学科卒業。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(旧三和総合研究所)に入社。
経営コンサルタントの中核メンバーとして、人事関連分野を中心に活動。

2016年2月、20年来の業務提携関係にあった株式会社日本経営開発研究所にシニアコンサルタントとして入社。
2017年4月、株式会社日本経営開発研究所の代表取締役所長に就任。

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